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【20】世界樹の森の番人



――――森の精たちが導いた木の洞には不思議な渦が現れていた。


「うえにつながるのれす?」

「森の番人さんにあえるのれす?」

「世界樹もおいでってゆってるのれすー!」

世界樹も……?私たちを歓迎してくれていると言うことだろうか。

緊張しながらもみんなで木の洞をくぐり、抜けた先も森であった。

次は月が隠れてしまった再びの暗闇。ラシャが魔法を出そうとして、急いで私を後ろに下がらせるとクレアが慌てて抱き締めてくれる。

そしてジェームスとジェシーも武器片手に身構える。


そして私たちの侵入を察知したかのように松明の光が灯り、謎の集団が私たちを取り囲む。

しかし彼らはラシャの姿を見て驚いているようだった。


「みんな、警戒を解いていい。彼らは森の精たちが連れてきてくれたんだ」

そう告げる青年の声に集団は武器を下ろすのが分かった。そして緊迫した状況にもかかわらず森の精たちはきゃっきゃと跳び跳ねている。


「森の番人さんなのれすー!」

彼が……森の番人。

松明ではなく周囲を照らす火魔法でその姿は鮮明に映る。


「くらら、ひまり、るりな。少し静かに」

彼が告げれば3人の森の精が『はーい』とお手々を挙げてすちゃっと整列する。


「ようやっと戻られたのですね」

「……やはり森の番人はお前だったのか、世界樹の森の番人……キハダ」

キハダと呼ばれた青年は魔族であった。ラシャと同じ形の白い角、深緑の髪に瞳。見た目の年齢は二十歳そこそこだ。


「お帰りをお待ちしておりました、ラシャさま」

キハダさんがラシャの前に跪けば、周囲もそれに倣う。


「彼らは……クレアもいるようですが」

「ご無沙汰してるわねぇ」

クレアも警戒を解きひらひらとキハダさんに手を振る。


「これから話す。その……ここでの方がいいか?」

「いえ、ご案内します」

周りのものたちも道を開けてくれるようだ。


「アリーシャ、おいで」

「うん!」

ラシャに差し出された手を取り、みんなと共にキハダさんの後ろに続く。


歩いていけばその先に人家の灯りが見える。


「町があるの?」

「それほどの規模ではありませんが、郷といいましょうか」

私が呟くとキハダさんが答えてくれる。


「しかしラシャさま、念のためそちらの幼女との関係性を伺っても?」

あの……何故かキハダさんの目が笑ってないように見えるのは気のせいか。


「それが……ねぇ?」

「こら、クレア!妙な言いよどみをするんじゃない!」


「婚約したんだってよ」

「そうだな。一応ラシャの年齢を聞きたいのだが」

とジェームスとジェシー。


「ラシャさまって今年何百歳でしたか」

「百って……おめぇ」

「魔族は長命種だと知っているが……想像以上の年齢が出たぞ」


「引くな!ジェームス、ジェシー!長命種なんだからそう言うことも……なくはない」

「そうはいったってラシャさま。あの……彼女は人間ですよね?一体いくつで……」

「8歳だよ!アリーシャって言うんだよ!」

年齢はしっかりと言わないとね!私はキハダさんに高らかに告げた。


「ラシャさまのロリコンんんんんんっ!」

「違ぇっ!」

やはりその容疑はここでもか……。





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