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糞虫

作者: リンまほら

『糞虫』


真原卓也はとある町に住む46歳の電気会社社員だ。


彼の特徴は一言で言うと単細胞。所謂『阿呆』という存在だ。

良く言えば純粋?

いやいやそんないいもんじゃない。


高すぎる両親の価値観を一心に受けて、育てられ培養された環境。


正しく培養されて、増えた糞虫の様だ。


彼はすぐ頭に血が昇る。

単細胞だからな。

そして、自分に都合が悪い事はすぐ忘れる。はぐらかす。

無かったことにする

棚に上げて、人のせいにする。


逆ギレして、物に当たる。


今まで、散々色んな物が彼の気まぐれの怒りで粉々に壊れてきた。


IHも、壁も、洗面台の鏡も、そして自分の娘も腹げりするわ、身体を力任せに押して娘の頭にケガをさせる。


最低な糞虫だ。



「殺すぞ。死ね!

二度と帰ってくるな!」


朝から怒鳴り散らす糞虫


今から仕事に行こうとする者に対して何とも最低な行ってらっしゃいの挨拶だ。

自分は言いたいことだけ言って、スッキリして仕事に行く。

言われた相手の気持ちを考えることもしない


哀れな事に、彼はあまりに大事に育てられたため自分をコントロールする術を知らないのだ




そんな最低な糞虫を神様はちゃんと見ている。



ある日天界に住む神様は彼のあまりにも酷い汚らしいコトバ様に、怒りの鉄槌を降した。


彼は、朝起きたとき一匹の虫になっていた。


見た目は害虫のゴキブリそっくりだった。


神様は彼を本当の糞虫にしたのだ。


彼は一生懸命、助けを求めるが誰も気づかない。

気付いても見た目はゴキブリたがら、殺虫剤をまいて追いかけられる。


彼は今まで暴言を吐いてきた自分の家族に気付いて貰えず、孤独と怒りと悲しみで狂いそうになった。


自分の事を分かってくれるのは、両親しかいない。


臭い下水道に隠れていた彼は意を決して、両親に助けて貰うことにした。


最後はやっぱりお父さんお母さんだ!


彼は糞虫の身体で、泥水を啜りながら1週間かけて実家にたどり着いた。


懐かしい実家の匂い。台所。


お母さん!

彼は叫んだ。


助けて!

お父さん!

彼は嬉しそうに叫んだ。


言葉は出なくても実の息子なら、心で解るはず!


そんな幻想を抱いていた浅はかで哀れな彼は、愛する母親に殺虫剤をまかれ、痺れている間に、父親に足で踏まれて潰された。


内蔵が飛び出し、グチャっという軽快な音がした。

彼は愛する両親に殺されたのだ。


両親にとって、彼は息子ではなく、糞虫に過ぎなかった。




これが神様が彼に与えた罰だった。


彼は永遠に両親に潰される夢を見続けるのだ。


一生逃れられない悪夢が、彼の揺りかごとなった。







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