初の魔法、感無量
マナの見え方はなんとなくわかった。
あとは魔法を実践するのみだが、教えてくれるよい子の妖精が一人もいなくなってしまった。
勘でどうにかなるだろうか?
闇の魔法の詠唱内容は不明だが、マナを操れるようになれば魔法を使えるようになるかもしれない。
マナはシャボン玉のように宙に浮いている。
色は半透明だ。
ただ、生徒達が魔法を放つ際、彼らの手に吸い寄せられるマナの色が変わっている。
火を使えば赤色に。
水を使えば青色に。
風を使えば黄緑に。
俺が魔法を使えない理由は、持ってるマナと言ってるマナが違うから使えなかったんだよな。
じゃあ、この半透明なマナの色を変えたらどうなる?
目の前に浮かぶマナに手のひらを当て、色が変わるようにイメージする。
闇といえば、黒でいいのか?
黒く、染まれ。
……黒く染まった。
だが、ここからどうすればいいのかわからない。
闇の魔法でできることは確か、生物相手にしないとほとんど効果を確認できないものだった。
その標的を誰にしようか?
いずれはあの王女相手に使うつもりだが、俺を異世界に招待してくれたことと、同郷の人間を襲ったことのお礼参りをしたい。
どうせ王女も日本への行き方を知らないだろうが、念入りに尋問しないとな。
その前準備として、まずは兵士相手に魔法を使えるか試してみよう。
だーれーにーしーよーうーかーなっ。
そうだ、農作業や砦の補強をする生徒達を見張っている兵士にしよう。
魔法を練習している生徒がいる方だと、万が一、生徒が犯人だと疑われる可能性がある。
それと複数人を同時に対象にするのもナシだな。
周囲に警戒されるだろう。
黒く染めたマナを放置して、農作業をしている生徒達がいる方に戻る。
お、ちょうどいいクズ発見。
やたらと気弱そうな女子の尻を撫でまわしている兵士がいることだし、あいつでいいや。
兵士の前に立つ。
もう一度マナを黒く染め、そのマナを兵士の顔に当てながら念じた。
まずは視界を奪え。
「目が、なにも、みえない?」
あっさり成功した。
だが、それもせいぜい十秒もつかどうかの効果だった。
短くても、魔法を使うことができた……。
俺は今、ものすごく感動している。
獲物はいっぱいいるし、これからの毎日はきっと楽しいものになるだろう。
そんな予感がする。
「おい、どうした?」
「疲れてたんだな。もう大丈夫だ」
「そうか。休んだらどうだ? あの子は代わりに俺が面倒見てやる」
「いやいや、俺が目をつけたんだから、他の女のところ行けよ」
「別の女を連れてくるからさ、あとで交換しようぜ」
「お前な……ちゃんと可愛い子にしろよ?」
「わかってるって」
兵士達の会話は女子達にも聞こえていたようで、彼女達の顔は蒼白だ。
これ、放置したらこの後めちゃくちゃセックスの流れじゃねーか。
魔法の実験台は一人にするつもりだったが、しょうがないな。
盛っている兵士がどれほどいるか不明だが、片っ端から排除してやる。
ちょっとずつ書き進めていきます。
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