王女メイティア・レクサスのご挨拶
偉そうな女が偉そうな態度で生徒達を見下しながら、奴隷として歓迎すると言った。
なるほど、こいつは紛れもなく悪女だ。
「私は第十六王女、メイティア・レクサス。これからあなた達の主人となる女よ。砦作り、農作業、魔物退治、外敵の排除、面倒なことはすべてあなた方に任せてあげる。この国の糧となるのだから、泣いて喜びなさい」
ふふん、とこの場でトップを争うほどの胸に贅肉をつけた女が、胸を張って戯言をほざいた。
「ふざけんなクソ女!」
「そうだそうだー! 死ねっ!」
「やるわけないでしょ」
「早く元の場所に返してよ!」
「犯罪者のくせに」
「無駄に美人だぞ」
「本当だ。しかも胸でけぇ」
おや、かなり多くの男子達が悪女の胸を注視しているようだ。
俺は悪女の目の前に立った。
何を食ったらこんなに胸がでかくなるんだ?
さらに近づくとバラの匂いがする。
「ひゃ」
俺の鼻息がかかったのか、悪女は小さな声をあげた。
不審に思った奴らが何人かいたかもしれないが、誰も突っ込む奴はいなかった。
「気持ち悪い目。これだから下賤なケモノは嫌い」
悪女は生徒達から少し離れた。
ふむ? 俺が目の前にいて視線を遮っているはずなのに、向こう側が見えているのか。
認識されないだけでもありえないが、透明にでもなっているのか?
異世界っぽいし、実際にそうなのだからありえるのだろうな。
触れることはできるのに、おかしな話だ。
「ああ、言い忘れていたわね」
悪女がまたもや水晶に光を込めると、生徒達が苦しみだした。
「なに、これ」
「いたい、いたいぃぃ」
「どんどん締っていく……」
生徒達は腕輪をつけた腕を床に置いた。
腕輪のせいで痛みを感じているようだ。
簡単には外せないのだろうが、誰もが腕輪を外そうともがいていた。
「逆らったら極刑を下す。私の機嫌を損ねたら拷問してやる。せいぜい愛想を振りまきなさい」
いい具合の外道っぷりだ。
この女が相手なら何の遠慮もいらないな。
俺は、悪女が手に持った水晶を横から叩く。
水晶は落ちて、ガシャンと鳴った。
「ふぁっ? あぁーっ!」
破片となった元水晶を見て、悪女はその場に崩れ落ちた。
痛みから解放されたのか、生徒達は罵倒を始める。
「おい、あいつドジだぞ」
「だっさ」
「ばーかばーか」
生徒達が嘲笑する中、悪女はぷるぷると震えるだけだ。
それを見た王様が杖を生徒達に向けた。
「服従せよ」
その一言で、生徒達は再び腕輪の痛みに耐えるはめになった。
バカだなぁ。
救いようのないバカ共だ。
だがまあ、助けてやるよ。
それ以上バカな真似をして殺されなければの話だがな。
ちょっとずつ書き進めていきます。
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