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勇者が連れてきた異世界転生者のスキルは【しりとり】!?最弱外れスキルで最強になる下剋上ストーリー

作者: グナ

「勇者のヤツは何だってこんな所に俺たちを呼びだしたんだ?」


「さぁね」


勇者パーティーの盗賊と魔法使いは、勇者の『明日、ここに集合してくれ』という言葉に従い、街はずれに来ていた。




「おおーい!待たせたな」


「あ、来た」


勇者が仲間たちと合流する。勇者の隣には見知らぬ青年が居た。

青年を見た魔法使いは訝しく感じ、勇者に質問する。


「誰この人?」


彼女の質問に、勇者はいたずらっぽく笑いながら答える


「ん?彼の恰好を見てなんかピンとこないか?当ててみてくれ」




「週六で蟹チャーハン食べてるヤツか?」


「…どんな恰好してたらそう見えるのよ」


盗賊にツッコミながら魔法使いは改めて青年の恰好を見る

全身黒ずくめ…この恰好は確か異世界で『学ラン』と呼ばれる学生の制服だ


「まさか!?」




「週五で蟹チャーハン食べてるヤツか?」


「ちょっと盗賊は黙ってて!」

「あと、週六とか五とかそういう問題じゃないから!誰が惜しいって言ったよ!」


魔法使いは盗賊を睨んだ後に答えを出す




「もしかして『異世界転生者』!?」


勇者は青年の肩を得意気に叩く


「そうだ!彼は異世界転生者だ」


「凄いわ!」


「ウチのパーティにもついに異世界転生者が来るとはなぁ」


関心しながら盗賊と魔法使いは転生者をまじまじと見つめる

見た目はなんの変哲もない男子高校生だが、それが逆にチート能力を持ってそうなオーラを感じる


「で、どんな能力を持ってんのよ?」


「お、魔法使いは男に目がないな!当ててみてくれ」


「なんだその言い方!古代禁呪魔法ぶっ放されたいの?」


勇者の言動にイラっとしたが、ここは素直に乗ってあげることにした


「空から隕石を降らせることとかかしら?」




「空から蟹が降ってくるとかか?」


「オーケー?一回カニから離れようか盗賊、お前の脳みそには蟹味噌が詰まってんのか?」


「はっはっはっ、そんな能力じゃないぞ!彼の能力は…」


「能力は?」


盗賊と魔法使いは息を吞んで勇者の言葉を待つ

勇者は腰に手を当てて自慢気に言い放つ




「【しりとり】だ!」




「……………」


「次はどこ行くんだっけ?」


「ゴブリンの洞窟よ。行く前に回復アイテムを街で揃えておかないとね」




「興味失うな!」


すっかり眼の光を失った二人を勇者は慌てて止める


「凄い能力なんだって!」


「しりとりでしょ…」


「ただのしりとりじゃないんだ、彼の【しりとり】は負けた相手を即死させるんだ!」


「怖っ!」


「代償として日常会話をすると身体中の穴から血が噴き出す身体になってしまったが…」


「代償エグっ!」


盗賊と魔法使いは転生者を改めて見る。そういえばさっきから一言も喋っていない

ずっと不機嫌そうな表情で佇んでいる。


「おっ、丁度いい所に」


勇者の視線の先には低級モンスターのゴブリンの姿が見えた


「転生者くん、あのゴブリンを君のチートスキル【しりとり】で倒してくれ!」


転生者は小さく頷いてゴブリンに接近する


「おいおい、ホントに大丈夫かよ。武器も持ってないぜ」


盗賊の心配をよそに、転生者はゴブリンの目の前に進み出て【しりとり】を仕掛ける


「りんご」


ゴブリンは一瞬驚いた顔をしたが、気を取り直して応戦した。


「ゴリラ」


「ラッパ」


「パセリ」


「りんご」




「同じ言葉OKなんだ…」


勇者パーティは長期戦になるのを覚悟した。






一時間後


「りんご」


「ゴリラ」


「ラッパ」


「パセリ」


「りんご」




「いい加減にしろよぉぉぉッ!!」


業を煮やした魔法使いがブチ切れる


「なんだこのループ!一回トイレに街に戻って帰ってきたらまだやってんだよ!夢かと思ったわ!!」


彼女は怒りながら持っていた杖に魔力を籠めだす


「アイツら私の魔法でぶっ飛ばしてやる!」


「やめろよ!なんで転生者くんも一緒に攻撃しようとしてるんだ」


「お、おい!転生者の様子がなんか変だぜ」


盗賊の言葉は魔法使いの気を引こうとした嘘ではない、実際に転生者の様子に変化があった。

彼もこの状況にイライラしているようで髪の毛を掻き毟りだした。


そして次の瞬間、ゴブリンに飛び掛かり…




膝蹴りをかました


「ングゥ!」




「力技じゃねーか!?」


ゴブリンは口から鮮血を流し絶命した。


「おおー流石は転生者くんの能力【しりとり】だ」


勇者は手を叩いて喜ぶ


「いやいやいやいや、今の能力じゃないよね!【しりとり】じゃなくて【ひざげり】じゃん」


「何を言っている、ちゃんとゴブリンは()グゥと言ったぞ」


「能力で倒したのか膝蹴りで倒したのかわからないのよ!」


魔法使いの抗議に勇者は顔をしかめた


「うーむ、なら今度はあのオークで実験してみようか」


そう言って勇者は街道を歩いているオークを指さす


「治安悪っ」


「今度は膝蹴りするなよな」


盗賊に念を押され転生者はオークに接近し…




膝蹴りをかました


「ゴフゥ!」




「やっぱ膝蹴りじゃねーか!?」


オークは口から鮮血を流し絶命した。


「ほら、勇者!コイツの能力【しりとり】じゃなくて【ひざげり】だよ!」

()って言ってないし」


()ゴフゥ!って言ってたような…」


「なんで認めないんだよ!」


「『ンゴフゥ!』って言ってたよな転生者くん?」


勇者は加勢を求めるように転生者に話しかけた




「はい、言いました」




「普通に喋っとる!?」


魔法使いは脱力し、盗賊に同意を求めるように話しかけた


「コイツ、何のスキルもないじゃん!パチ転生者だよ!盗賊もなんとか言ってよ」


「んー…。」




「強いからよくねーか?」


「それは…そうだけど…。」




勇者パーティに【ひざげり使い】が加わった。

読んで頂いてありがとうございます

勇者が田植え機に乗りながら魔王城を爆走するシーンは特に力が入りました

気に入って頂けたら評価、コメント、ブクマなどして頂けたら幸いです

勇者パーティの話は過去にも書いているのでそちらも宜しければどうぞ


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