第一話 「始まったばかり!!」
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無能は嫌だ、楽なのが嫌だ。
楽は生とは程遠い。
生きてる心地がしなくて居心地が悪い。
かと言って忙しいのも嫌だ。
やる事があるくらいがいいんだ。
だけどそんな状態ずっとは来ない
忙しかったりすごく楽だったり
そういうことの方が多い。
この環境に耐えきれず精神を病み、
怠惰して何かを成すことを辞める
これを繰り返して『無能』が生まれる
才能とか能力は昔から磨き上げてきたものが
積み重なってやっと出来る。
産まれた瞬間から決まっていると言われてるのは
磨き上げさせる環境を整える親がいるから。
そんな親もない、なにもしたくない。
だから根性が身につかない。
俺は怠惰で才能もなし、学もろくに勉強せず
運動する時間もゲームとアニメを見ることに
全てを費やした。
今もそうだ、皆が起きる時間、才能を磨く時間
そんな時間に俺はゲームをして飽きたら
アニメを見る生活をしている。
なにも生まれないことをひたすらやっている。
「くっ...かぁあ、あー、また弓矢、クソゲーだな」
FPS いわゆる三人称視点のゲームだ。
敵と味方に別れて銃撃戦を行う
至って単純なゲーム、俺はこれにハマっている
「無音で連射できてHPの7割持ってけるなんて
普通にチートだろ!、なんで床に落ちてんだよ
こんな武器が!アップデートする度に
クソゲーになってくな、もうやめよ、萎えた」
慣れた手つきでゲームを中断そしてアニメを見始める。
「もう今期は大抵見たからなぁ、異世界ものが最近どんどんアニメ化していくな、流行ってると思ってネットで評価を見るといつもひでえよな」
少し笑いながら小馬鹿にする
でも普通に異世界に行けるのって羨ましいって
気持ちもあるんだよな、いいな。
だから見るのやめられねえんだけどな
こういうアニメ。
「たまに異世界行って辛いとか言ってる主人公とかいるけど、何が起こったとしても絶対辛くないよな、
無能で社会のゴミ扱いされる現実から抜け出せた時点で幸せもんだろ。」
本当に腐っちまったな、中学に戻って
良い高校に入りたかったとかはもう
呼吸より多く言ってるかも。
「ってそれちゃんと呼吸できてんの?」
一人でも面白い冗談が言えるんだな俺。
正直寂しくてこ寒い気もするけどな...
別に俺が寒いって言ってないぞ。
てか、本当に寒い。
「あれ、マジで寒いじゃん、俺ってギャグで
冷却魔法使えるのかよ、すげえなおい!」
冗談言える場面じゃねえ、どういうことだ。
窓は開いてねえ、俺の部屋にエアコンなんてねえ、
訳わかんねえぞ幽霊でもいるってのか!、
「つっ!」
足先が凍った、いや、言葉のあやとかそんな次元じゃなくてマジで...冷蔵庫の氷みたいに凍る、
どんどん上半身にのぼってくる...やめてくれ、
「やめ、やめろぉおおお!!」
身動きが取れなかった。意識もなくなった。
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俺寝てるのか、ふぅ気持ちいい...
毛布って離したくなくなるな。
暖かい...意識が起きててもまだ眠たい。
毎日毎日そんなだからなんも出来ない
生きる無駄使いになっちまうんだよな。
「起きなさいよバカ!!」
なんだなんだ、うるさいなぁ。
学校も辞めたし働いてもないんだから
寝ててもいいだろ!ふぅ...気持ちいい...
「起・き・ろ!!ドレイ」
「あと5分~」
無気力で返す。親にも起こされたことがないから
人生でこれを使うのは初めてだな。
てか俺の家に起こす人とかいたっけ...
驚いた俺は目を見開いて飛び起きた。
「ツインテール...?」
今は絶滅したと言ってもいいあのツインテールが俺の目の前に!!
田舎にいる俺にはツインテールなんかまともにみたの初めてだぞ。
本の中の世界だけだと思ってた...
サンタクロース的なね。
「あの、どちらさ...」
いや、ここで下手にでるのもやばい気が、
さっきドレイ呼ばわりしてたし
威厳を見せつけるべきか!、
いっけ!!俺の男の19年間!!
「誰だあんた?俺をドレイ呼ばわりだと...
いい度胸してるん」
「あ?」ギラーン
なにそのゴミを見る目は!女の子やっぱり怖い...
無理無理無理!!てか人と話したことすらほぼないのにあの言葉遣いそして異性...
いきなり難易度EXTRAすぎるだろ!!、
「あんたこそ何様よ?名乗る時は自分から言うものでしょ!」
「でしたら、名乗るのは貴女方か」
「ん?」ギラーン
「桐生 トツハ19歳 独身ニート怠惰代表です。」
「トツハ?変な名前ね。他はどうでもいいからスルーするわ。」
酷い...つか空が紫だし日本人な見た目もしてないし変な文字の本がズラっと並んでるし明らかに日本じゃないのになんで俺は同じ言語話せるんだ...
んー、、まあ、考えても分からないことは考えても仕方が無いし後でもいいか!!
後回しな性格は楽だがどんどん未来が重くなる...
俺はいつも課題に弱かったなぁ~...
何度病んだことか、しょぼん。
「トツハ」
「ふぇ?」
「何変な顔してんの?きっも、」
「酷いな...」
「あんたなんでここにいるか分かってる?」
スルーだし、唐突だな。
なんでか、、そりゃあ...
「分からないですね。」
「でしょうね」
何も言えないぜ。
「理由はアタシが召喚したからよ。」
「うん、そうだろうね。理由は」
「いや、なんとなく」
「あ、はい、そうなんですね...」
「うんそう。あと護ってくれるドレイが欲しかったのこんな可愛い主人のドレイなんて光栄でしょ!ニートっ」
「うんっふざけんなっ本当は魔王とか倒すために
召喚したとかじゃないのか?」
「そんなんならもっと優秀な人材を召喚するし、
偉大な魔王様を倒すなんて馬鹿な考え捨てておきなさい。魔王が頑張って平和を築こうとしてるのに
その魔王が倒されちゃったら戦争まっしぐらよ」
「え?」
この世界には人と魔族の争いがもうないのか...
じゃあ俺はなんのために...
「だから本当にドレイにするつもりで召喚しただけよ?」
異世界に召喚されたのがこんなしょうもない理由であってたまるか!!つかさりげなく異世界に召喚されてんの受け入れてる俺もどうかしてるよ。
そういうの見すぎて耐性ついてるのかな、
異世界耐性ってスキルとか習得してたのかな....
多分最初以外役に立たないよな!
「もうめちゃくちゃで目眩がするわ。」
「ニートだったあんたに働き口をあげるんだから
もっと喜びなさいよっ!!」
「はいはいうれしーうれしー」
「喜んでるみたいでよかったわっやっぱり
召喚するならニートよね!」
「...もしかしてだけど召喚できる相手って
選べるのか?」
「そうだけど?あんたを監視して良さそうだから召喚してあげたの!ヘヴンで生きてる意味なさそうだったしこっち、アルフで生きてる意味あげようかなぁって」
「えぇ...てかアルフとヘヴンってなんだよ」
「アルフはこっちの世界。魔法が発展した世界ね
今よりもっと先代その時代の人達が
魔法は消すべきか否かを論争してた時代があって
消すべきと唱えた人達はヘヴンという魔法禁止の世界を創造してカガクというものを発展させたのが
あんたのいた世界ね。こっちはアルフというの
説明しなくてもいいわよね?ヘヴンの対と考えれば間違いはないわ!」
「へー、勉強しなかった俺でもよく分かる。」
「天才は難しい言葉を使わないのよ!」
うわっ、ドヤ顔うぜええ、今のこいつの顔
まじでペンキを上から被せたい顔してやがる...
「まあ、あっちの世界じゃ生きる意味なんかなかったし何も楽しくなかった。こっちの世界でも同じかも知んないけどな、とりあえずやることをくれ。」
とりあえずやることがないのは一番辛いぜ...とにかく来ちまった以上ここでやり直すしかないだろ、俺の人生。
「へえ、めんどくさいやつかと思ったけど
結構使えそうなやつなのね!いいわっ」
あーもこうも言ってる余裕がねえ、
とにかくこいつの言うこと聞いて生かして貰って。
こっそり修行して強くなってからこいつから逃げて自由になってやる。戦争がない異世界じゃ生きるのは余裕だろ!まずは一つどんなものでもこいや!
「アタシを守れるように強くなって欲しい。」
「え?」
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