1
中学の入学式の時は本当に驚いた。あの時よりもだいぶ落ち着いた大人に見えるが、見間違えるはずが無い。人が殴られるシーンなど小学生には衝撃的すぎて脳裏に焼き付いている。
数学の授業が始まってみれば、先生が自己紹介で生徒から彼女は?って聞かれたときの、あのどや顔……2人に迫られて、1人は断ったとか言っているし……「嘘つけ二股しただろう」なんて言えない感じだったので授業が終わってすぐに、先生捕まえて聞いたよ!
でも、しらばっくれるのでその時の会話を一字一句間違えずに話していった。先生の顔は笑顔からだんだん笑顔が消え青白くなっていった。なんて言ったって動画の再生回数凄いからね!!
別に言いふらすつもり無かったし黙ってろって言われたから言わなかったけど……期末テストの配点には頭にきた。
椎奈はふと優菜のテストを見て顔が引きつった
「………98点…え?このぽかミスで満点じゃ無くなったの……??」
数学だけは得意だからねって苦笑しながら言った…本当に何でこんなミスしたんだろうね……こんなことなら問題用紙に男のバニーなんて書くんじゃ無かったわ……でもやっぱりリアルに近づけると筋肉ある方がいいね?細い筋肉無い人じゃ気持ち悪いわ……見返しの重要性を再確認したところでホームルームのチャイムが鳴った
「ところでさ優菜、数学の時間昼寝してたんでしょ?また夢でも見たの?」
帰り道自転車を押しながら椎奈が聞いてきた。優菜は神妙な顔で答えた
「……最近段々はっきり見えてきて今日はいつもと違うところでうつ伏せにされて頭を上げたの。そしたら鏡があって……………本当…本当に……本っ当に!!!私赤ちゃんだった………」
「………初めて聞いたときかなり頭の心配したけどもしかしたら心療科行った方が良いんじゃ無い??」
「ひ、酷いよ!!!」
友達からの酷い言葉に泣きそうになる優菜
「いや、もしかしたら心に何か傷が残ってるからそう言うのみるのじゃ無いの?ほら、………優菜の友達さ……昔、交通事故で亡くなったの…今まだ立ち直れてないんじゃ無いの??」
ビクッとした……立ち直る?立ち直ってない?どうかは分からないけど、彼は、私の初恋の人。もう2年は経つけれど今まだ私の心にいるのは彼だ。中学に入ったらその乗りで好きな人出来るのかと思ったけれどそううまくは行かなかった……
「この夏三回忌なんだ………早いよね」
夕焼けを見ながらぽつりと言った。