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【書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)  作者: 藍上イオタ@天才魔導師の悪妻26/2/14発売
本編

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エピローグ 光芒の騎士と宵闇の騎士


 ここは、レーゲンボーゲン王国。


 王都ノイエ・ミルヒシュトラーゼの片隅にある小さな教会で結婚式が執り行われていた。

 教会のドアが重々しく開かれ、今日誓いを交わした二人が現れた。

 

 新郎は、この国で光芒の騎士と呼ばれる男、シュテルンヒェン・フォン・クヴェレだ。クヴェレは、臣下に下った王族が賜る名の一つだ。黄金の髪を輝かせ微笑む姿は、名が変わったとしても王者の貫禄は変わらない。スラリとした長身に騎士の儀状服が凛々さを引き立てる。


 対する新婦は、宵闇の騎士ベルンシュタイン・フォン・アイスベルクだ。真っ白いドレスに流れ落ちる青い髪は、まるで北国の山脈のように輝く。めったに見られない姿に、人々はため息をついた。彼女はこの国で初めての女騎士だ。女騎士のいなかったこの国に、女騎士団を作る礎を築いた人である。女には閉ざされていた騎士への道を作り上げた彼女へ、憧れの目を向ける少女は多い。


 教会の階段の元には、たくさんの人々が、二人を祝うために集まっている。


 大勢の騎士たち。青い扇を持ったもの。アイスベルクの騎馬隊らしき顔ぶれも見える。黒髪の凛々しい男は隊長らしい。いつもは勇猛な女騎馬隊も今日は着飾って参列している。


 あそこにいるのは、宮廷魔道士のザント・フォン・マルモア。紫紺のローブは大魔道士の証だ。その隣には、この国の王女マレーネ・フォン・ミルヒシュトラーゼ姫が金の長い髪をなびかせて佇んでいる。

 蒼白な顔をしたザントが、マレーネ姫に腕を取られて震えている。エスコート役に緊張しているようだ。


 ベルンシュタインは微笑んで、手に持ったブーケを投げた。

 そのブーケは、マレーネ姫の腕の中に落ちる。


「次は君たちの番だよ!」


 ベルンシュタインの声が響く。マレーネ姫はにっこり笑って、ザントは顔を真っ赤にした。




 緑の髪のクラウト・フォン・ヴルツェルが、新郎新婦に向かって大きく手を振れば、大きな花びらが舞い散った。それを合図にフラワーシャワーが始まる。


 正装に身を包んだ騎士たちが両脇に分かれ剣を抜いた。キンと打ち鳴らして、剣でアーケードを作っていく。その光輝く剣の中を、今日の主役たちが仲睦ましく歩いていく。


 教会の前に待つ馬車の前まで来て、二人は立ち止まった。

 そこには、真っ赤な髪の大きな男。太陽の騎士と呼ばれるフェルゼン・フォン・ヴルカーンが迎え撃つようにして立ちはだかっていたからだ。


「ベルン!!」


 太陽の騎士が新婦の名前を叫んだ。

 周囲は何事かと驚き、ざわめく。


 フェルゼンは教会の屋根に昇る太陽を指さした。

 ベルンシュタインは、小さく頷くと同じように太陽を指差す。



 宵闇の騎士の指先からこぼれるキラメキが、太陽を射て広がる。そのキラメキに、太陽の騎士の指先から熱風が放たれる。

 霧が広がり、太陽を囲むように丸い虹(ハロ)が生まれた。


「幸せにな!」


 太陽の騎士が声を張り上げる。

 お幸せに、と復唱する声が響いた。


「「もちろん!」」


 二人は弾けるように笑って手を振ると、馬車の中に消えていった。


  

 祝福の鐘が鳴り響く。

 レーゲンボーゲン王国の空には白虹が架かっていた。

 




これにて本編完結です。


途中で更新が止まったにも関わらず、ブクマや評価をしてくださった方々、感謝してもしきれません。

それを励みに頑張れました。

最後までお付き合いありがとうございました!


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