序章プロローグ
俺は白金歩しろがねあゆむ
17歳高校2年生に引きニート。
なのだが…
今日は俺の大好きなゲームの新作が発売される日だ。
だから朝5時に起きて(朝5時まで完徹して)今からそれを買いに行こうと思う。
俺は一通り準備を終え、家を出る。
服装は何の変哲もない灰色のパーカーに、これまた何の変哲もないジーンズ。
自分の容姿はどこにでも居そうなモブ顔なので、何処からどう見ても普通の高校生である。
「やべっ。のんびりしてたらもうこんな時間かよ。急がないと。」
俺の家はアニメやゲーム、アイドルから電化製品まで揃えた聖地「秋葉原」から結構離れた所にあるため、
中々時間がかかるのだ。
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「何はともあれ、買えて良かったぜ。家帰ったら早速やろ。キャラ作りどうしよっかな〜♪」
無事ゲームの買えた俺は、今からプレイしている時の事を妄想しながら、横断歩道を渡る。
やはり、人間現実から離れて思考していると、不注意になりがちである。
俺は、横からきた信号無視のトラックに気付かず…
バンッ!!!
一瞬自分の体とトラックがぶつかった音が聞こえ、体が宙を舞う。
(え、何が、、、)
妄想中だった俺はトラックとぶつかった事に気付かず、そのまま地面に叩き付けられた。
視界が赤く染まり、周囲から悲鳴が聞こえる。
「大丈夫か!?君!」
駆け寄って来てくれた人から声をかけられるが、上手く声が出せない。
(俺、死ぬのかな…)
何て事を考えつつ、今までの記憶がフラッシュバックする。
今日までの人生を想い返すと、
中学の時に好きになった女の子がいた。
その子は明るくて誰にでも優しくて、皆の憧れだった。
俺は学年の中ではカーストの中位くらいだったけれど、そんな俺にも向けてくれる笑顔に俺は惹かれていった。
そして、3年の修学旅行の時に一世一代の告白をした。
結果は玉砕。今思えば当たり前だったけど、
あの頃の俺には、耐えられ無かった。
(その頃からだっけ。引きこもり始めたのは。)
俺の中では命まで賭けた告白が失敗に終わり、あの子と顔を合わせるのが嫌で、徐々に学校に行かなくなった。
そんな中で、勉強もせずにゲームばかりしていた俺が行きたい高校に行けるはずもなく、結局ランクの低い高校に進学。
どうでもよくなった俺は入学式も行かず、引きニートになることを決意。
(父さんや母さんにも迷惑かけたなぁ…)
引きニートになった俺を、親は何も言わず受け入れた。毎日学校も行かずにアニメを見たりゲームをしたりな怠惰な性格を送っている事を知っているのに。
(もし…もしもう一度人生を始めからやり直せるのなら、今度はもっと堂々と生きたいなぁ…)
そんな事を思いながら、
俺の視界は暗転した。
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結論。俺は死んだ筈だ。そう死んだ筈だった。
視界が暗転した次の瞬間、俺は白くて何もない場所に立っていた。
いや、正確には立っているのかさえ分からない。
すると、目の前が光輝き始め、何かが俺の前に現れた。
「白金歩さん。あなたは死にました。」
そう言葉を口にし、現れたのは…
足まで届く長い金髪に、真紅の瞳を宿した
女神だった。