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レアスライム

 勇者かぁ。

 定番では山奥の小さな村出身で、偶然聖剣を抜いて勇者になって魔王と戦うんだっけ。え、そしたら魔王と戦わないといけないのかな。だったら村人のまんまでいいんだけど。


「勇者になったら魔王と戦わないといけないんですか?」


 とりあえずルルリアさんに聞いてみる。


「いえ。ただ魔王をそのままにしておけば、この世界は崩壊いたします」


 それって倒せってことじゃーん! だったら面倒くさいし、勇者は却下でいいかな。


「それに、勇者でなくとも魔王を倒すことはできます。そのために、冒険者ギルドでパーティーを組めるようになっています」

「えーっと。つまり勇者は一人でも魔王を倒せるってこと?」

「そうですね。装備できない武器防具はないですし、魔法や回復魔法も習得可能ですので、LVを上げれば可能です」


 ふむ。つまり、オールラウンドプレイヤーになれるってことか。それはいいなぁ。

 それに誰かとパーティー組むより、一人でまったりプレイしたほうが気が楽だし。だったら勇者でもいいかな。それで、もし勇者になれなかったら村人のまんまでいいか。


「他にご質問はありますか?」

「ないです。ありがとう」

「では冒険をお楽しみください」


 お辞儀をしたルルリアさんが光に包まれて消える。


 とりあえずこのまま村人でいることは決まったし、後は……スライムクエかな。

 正直、康太さんからコインをたくさんもらったんで、レアスライムを出現させてそれを倒す必要はない。でもここまで続けたんだから、レアスライムっていうのを見たいよね、ってことで、スライムの森へゴー!


 スライムの森は相変わらず人もいなくて閑散としていた。そこにぽよんぽよんと弾むスライム。

 そう。スライムたちは私に慣れたのか、私がゲートをくぐってやって来ても、隠れなくなったのだ。今では湖に着くと、ぽよんぽよんと集まってくるくらいだ。

 スライムに囲まれて湖を眺めるとか、ほんと癒されるなぁ。触れたらもっといいんだけど、それだけが残念。


 集まってくるスライムの中でも、一回り大きいスライムが一番人懐っこい。ここに通って3日目くらいから黄色い矢印が出て『ルコの実をあげますか』と聞かれたので、この子がレアスライムになるんじゃないかなと思っている。もちろん、ルコの実をあげましたとも。


 そして今日はスライムの森に通って10日目。

 そう、レアスライムちゃんとご対面なのである。


「ぷっちょん、おいで~」


 そう。私はこの太っちょスライムがレアスライムになるのを見越して名前をつけておいたのだ。別に倒す必要はないんだから、仲良くなっても別にいいよね。

 でぶっちょだから、ぶっちょんでも良かったんだけど、濁点は可愛くないのでぷっちょんにした。ほら、それだけで可愛いく聞こえる。


 ぷっちょんは、他のスライムより大きな体で、ぷよよんぷよよんと私に近寄ってきた。そしてまた現れる黄色い矢印。


『ルコの実をあげますか』


 もちろん、あげますともー。

 アイテムボックスからルコの実をあげる。すると、また黄色い矢印が出た。


『ルコの実をあげますか』


 ほーほー。さすがにレアスライムに変身するためには、ルコの実を大量消費しないとダメなのかもね。

 その後も黄色い矢印が出て、何度もルコの実をぷっちょんにあげた。

 すると、ぷっちょんの体がぷるるるるんと高速で揺れ始めた。


「おおー。へーんしん!」


 つい声をかけちゃうのは仕方ないよね。変身の時は声かけないとね。


 ぷっちょんはぷるぷる震えて、ピカーっと光った。

 そして現れたのは、キラキラと七色に輝く、宝石みたいに綺麗なスライム。表示を見ると虹色スライムって書いてある。


 おー。これがレアスライムかか。確かに高そう。でもって宝石とかも落としそう。


 そう考えたのが伝わったのか、ぷっちょんはぷるっっと体を震わせて少し後ろに下がった。


「あはは。大丈夫だよ、何もしないから。それにしてもずいぶん、キラキラしたスライムになったね~」


 指でつつく、というモーションをすると、しゃがんでスライムをツンツンしていた。やばい。これ楽しい。


 しばらくツンツンツンツンしていると、ポンっと音がした。


『虹色スライムを仲間にしますか?

 はい いいえ』


 え……スライムって仲間にできるの? いや、仲間にできるならしますとも! 仲間になってくれるかなー? いいともー!


 もちろん『はい』を選ぶと、ステータスバーのところに、仲間が増えましたという表示とともに、ぷっちょんというン前の虹色スライムのアイコンが出た。


「おおー。仲間になってるよー。凄い」

「一ノ瀬由真、よろしくね!」


 ……ん? 今喋ったの、誰?

やっとスライムまできた……

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