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お勧めクエスト

 次の日、学校で真希ちゃんから康太さんお勧めクエストを書いた紙をもらった。

 うわぁ。康太さん、国立志望で勉強大変なのに、わざわざすみません。休み時間にでもお礼のメール打とう。


 それからの数日は康太さんのお勧めクエストをやってみることにした。まずはアイテムボックスの拡張だ。

 これは幸い、村長さんからもらったクエスト報酬のスライムのゼリーでクリアできるみたいだったので、すぐにクリアした。アイテムボックスの容量が50から75に増えた。またLVが上がると100まで増えるクエストもあるらしい。


 他にもお勧めお使いクエストをやると、LVが8まで上がった。戦闘を一切しないでここまで上がっちゃったよ。いいのかな。


 あ、あんまり良くないや。LV10になったら職業を決めなくちゃいけないんだから、それまでにどの職がいいか選んでおかないとダメだ。


 職業を選ぶには教会の中にいるそれぞれのマスターに話しかければいい。最初に職業を選んだプレイヤーは、このマスターからスキルの本を買う。剣士マスターなら剣LV1のスキル本を買える。ここで買えるのは剣LV3までのスキル本だ。


 康太さんメモによると、剣士を選んだ場合、剣LV1のスキルを覚えた後に、自力で片手剣や両手剣の武器固有のスキルを覚えなければいけないらしい。

 つまり、剣LV1のスキルだけを覚えている場合、斬る、という動作しかできないが、ずっと片手剣を使っていると、速度剣LV1、スラッシュソードLV1なんかを覚えるのだ。そしてその速度剣をLV1からLV2に上げるには、速度剣を使い続けるのはもちろん、剣スキル2を基本として覚えていないといけないというようになっているらしい。

 剣スキル1は、プレイヤーが剣士を選んでいればLV1から使えて、プレイヤーLVが10になると剣スキル2が覚えられるという、LVと熟練度の両方を必要とするシステムになっている。

 その他にも炎の剣を使っていると火炎斬りを覚えるとか、特殊な効果のある武器を使っていると、特殊なスキルを覚えるらしい。


 魔法職も同じだ。魔法スキルの本を買って基本的なファイアやウォーターを使えるようになるけど、ファイアーボムやファイアーウォールという魔法を使いたい場合は、熟練度を上げて覚えるしかない。


 では私が選んだ村人はどうか。LV10まではどんな職業にでも転職できるし、基本的にスキル本はLVさえ合っていればなんでも読むことができるし、武器も何でも装備できる。つまり、剣も魔法も回復もできる、オールマイティーな職業だ。

 ただし欠点もある。力は剣士ほどはないし、魔力も魔法使いほどないし、回復魔力も僧侶ほどないし、敏捷性もシーフに負ける。微妙に弱いのだ。

 それに強いスキルを覚えることができない。村人が覚えることのできるスキルは職業マスターが売っているスキル本からのみ。

 つまり序盤はそこそこいいけど、後半になると使えなくなるキャラが村人なのだ。だから大抵の人が、転職可能なLV10までの間に、他の職業に転職してしまうらしい。


 そこで私も転職を念頭に置いて、色んな職を試してみた。


 剣士―――攻撃力が高くて『戦う』を選んでるだけで勝手に倒してくれるので、一番楽。でも回復ポーションの消耗が激しい。回復役と常に一緒にプレイできるならいいけどね、私には相手がいないから無理だよね。


 魔法使い―――攻撃力は剣士よりも上。ちょっと魔法を使う時に「ファイアー」とか叫ばないといけないのが恥ずかしい。防御力はほとんどなくて、弱いモンスターでも一撃でやられてしまうので、戦士と僧侶と組んで戦うなら最高。ペアでも無理なのに、3人とかさらに無理。一人でまったり戦わせて欲しい。


 僧侶―――はっきり言って、攻撃する手段がない。誰かアタッカーと組むしかない。


 シーフ―――職業マスターは山賊みたいな顔で、あんまり近寄りたくない。シーフって言えば聞こえはいいけど、盗賊だよね?却下却下。


 アーチャー―――引き狩り、という後ろに下がりながら魔物に弓を打って倒すスタイルが好きならお勧め。弓矢代がかかるのがネックだけど、康太さん財団から支援を受けた私にはあんまり関係ない。だけど、どーもアーチャーやりたいとは思わないのよね。康太さんはソロでやるならお勧めの職だよ、ってアドバイスをくれてたけど、う~ん。


 村人ってLV10までの職業なのかな。ずっと村人のまんまじゃダメなのかなぁ。


 ずっと住めるわけじゃないけど、何となく飾りもないのは寂しいし、と思って花を飾ったりした家を見回す。何もない殺風景な部屋だけど……でも愛着がわいてきてるのよね……


 うう。こういう時こそナビゲーターのルルリアさんに質問したい。そういうの、できるんだっけ?確かステータスバーのチュートリアルってとこを見ればいいんだっけかなぁ。


 あ、これだ。ポチっと押してみてっと。


「こんにちは、一ノ瀬由真さん。何かお困りですか?」


 やった。ルルリアさんだ。

 私はさっそくLV10以降も村人のままで冒険ができるのか聞いてみた。


「それは困りましたね。何かの職業を選んでも、いずれLVが上がれば上級職に転職することも可能ですよ」

「上級職ってどんなのがあるんですか?」

「剣士ですと、聖騎士や悪魔騎士やサムライがありますね。魔法使いだとハイウィザードや賢者です。他の職も知りたいですか?」

「一応お願いします」

「僧侶は教皇、預言者に、シーフはアサシン、忍者に。アーチャーはハンターとスナイパーに転職できます。他にも特定の条件をクリアした者のみ転職できる職業や、種族特有の職業などもあります」


 ルルリアさんに聞く限り、なりたいなぁと思う上級職は一つもない。どうしようかなぁ。その特定の条件をクリアして転職できる職は、村人でもなれるのかな。


「村人がなれる上級職ってあるんですか?」

「特定の条件をクリアすれば、一つだけあります」


 一つだけなんだ。でも一つだけでもあるのはラッキーかも。


「特定の条件って何ですか」

「LV20以下の状態で聖剣を抜くのです」


 聖剣!? それって―――


「そうすると勇者に転職できます」


 勇者きたー!

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