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メッセージ

 その夜。宿題を済ませて『Another Gate Online』にログインしようとすると、スマホにメッセージが届いた。


 あ、康太さんだ。なになに。


『由真ちゃん、こんばんは~(^_-)-☆

 真希から聞いたけどAGOやってるんだって?くぅぅぅぅぅ。俺が受験生でなければ、手取り足取り、色々教えちゃうのになぁ。残念無念天下御免。

 ちょっとだけしかINできないけど、今夜10時頃に行くからさ。フレ登録だけしようよ。もし都合悪いならメッセおくれ~。

 ちな、俺のキャラ名はルナルナ☆ミだよ。超絶可愛いキャラだから、びっくりしないように。惚れちゃダメDAZE!

 じゃ今夜のデート、楽しみにしてるね!』


 AGOって『Another Gate Online』の略かな。

 それにしても、相変わらず昭和テイストなノリだなぁ……というより、オヤジ入ってる、みたいな?

 ほんと、普通にしてたらモテるのに、残念な人だ。キャラ名もおたく全開で、いっそ清々しいね。


 でも、私にとっては、その方が接しやすいからありがたい。だって、変に好かれても困るもん。お試しで付き合ったりなんかして、でも別れたとかなったら真希ちゃんとの友情にヒビが入りそうだし。

 いや、それよりも、隠れブラコンの真希ちゃんが康太さんの彼女という存在を認めるんだろうか。認めなさそうだなぁ。


 とりあえず康太さんとの待ち合わせの時間の前に、村長の薬草を集めておこうと思う。


 PCでゲームを起動して、VR器を接続する。ゴーグルみたいな装置を装着すると、瞳の虹彩を認証してゲームにログインしてくれた。


 ゆったりとした音楽が流れて、少しずつ風景がはっきりしてくる。

 さあ、『Another Gate Online』二日目だ。


 オルサの村でもらった自分の家でログアウトしたので、そこからの再スタートだ。家から出ると、村の住人たちが挨拶をしてくれる。それに挨拶を返し、中央の噴水とゲートがある広場へと向かう。スライムの森へ行くゲートをくぐると、そこには昨日と同じ風景があった。


 湖に行く途中で薬草がないか、キョロキョロしながら歩いていると、地面の近くで黄色い矢印が見えた。近づくと、薬草、と書いてある。


 これが薬草かぁ。

 葉っぱは丸くて赤い色をしていた。


 ポンと音がして、目の前に文字が表れる。


『薬草が生えています

 取りますか?

 はい いいえ』


 はい のところをポチっと押す。ここはマウスと指の映像がリンクしてるから、左クリックでOK。


『薬草を手に入れました。

 残りは9個です』


 目の前で薬草がヒュンと飛んで、小さくしてある私のステータスバーのところへ飛ぶ。

 ほーほー。これで集めたことになるのね。


 他にも薬草がないか探してみたら、結構すぐに見つかった。

 試しに近づかない状態で黄色い矢印を左クリックしてみると、その近くまで行って、なんと武器として装備してるシャベルで薬草を掘った。

 あはは。なんかちょっと笑える。

 これって剣を装備してたら剣で掘るのかなぁ。一回試してみたいなぁ。


 10個集まっても、薬草は取れた。何かの役に立つだろうかと、ちょっと余分に採取しておく。


 他にも何かないかと見回したら、木に成っている「ルコの実」という赤い実が採取可能だった。とりあえず取れるものは取っておこう。

 ルコの実はそんなに数が多くないらしく、3個ほどしか見つからなかった。他に取れそうな物もないし、仕方がないので採取は諦めてスライム観察のために湖へと向かった。


 湖は相変わらず静謐な美しさを保っていた。キラキラと光る湖面に、時折小魚が跳ねている。

 そしてやっぱり最初はスライムの姿はなかった。

 しばらく待っていると、昨日と同じように、ぽよよんとスライムがやってくる。やっぱり可愛いなぁと思って見る。スライムはこっちから攻撃しなければ襲ってくることはないので、思う存分観察できるのだ。


 しばらく観察をしているとポンと音がして文字が表れた。


『フレンドのお誘いです。

 ルナルナ☆ミからフレンドのお誘いがきました。

 受けます  受けません 』


 ああ、もう10時になっちゃってたんだ。はい、を押して、康太さんとフレンドになって、っと。

 するとまたポンと音がして


『ルナルナ☆ミ とフレンドになりました』


 という表示が出た。


 するとすぐに康太さんじゃない、アニメ声の女の子の声が聞こえた。


「やっほ~。由真ちゃん。ルナルナだよ~。こんばんは(^_-)-☆」


 ……えーと。ルナルナって康太さん、だよね? 声、は……ああ、ボイスチェンジしてるのかな。確か設定で、女の人の声にしたり男の人の声にしたり、って変えられたはず。


「康太さん、こんばんは~」

「や~ん。康太なんて言っちゃダメだぞ。ぷんぷん。私は、ルナルナなんだから~」


 ……なりきってる……幼女キャラになりきってるよ!

 でも康太さんらしいけど。しょーがない、私も合わせますか。


「あ、ごめんね~。ルナルナ。ところで星マークの隣ってカタカナのミ?るなるなほしみって言うのがフルネーム?」

「由真ちゃん、ひっどーい!ルナルナの名前の隣は流星なの! ルナルナ星を表してるんだから~」


 ルナルナ星……そ、そんなのがあるんだ。へー。ほー。

 ……この会話、続けなくちゃダメかな?



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