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The GORK オカルト探偵目川純は助手の女装高校生リョウが気になってしかたがない。  作者: Ann Noraaile ノラエイリ・アン
「裏平成十龍城とクラブ・チェルノボグ・サーカス」
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The GORK  23: 「禿山の一夜 魔女たちの盛大な夜会」

   23: 「禿山の一夜 魔女たちの盛大な夜会」


 俺はついに、オルゴン蓄積器こと、オルゴン・アキュムレーターを見つけた。

 それは悪の秘密結社の秘密基地等ではなく、何の変哲もないマンションのテーブルの上に置かれてあった。

 日帰りキャンプに持っていくような、クーラーボックス程度の容量の代物だった。

 今は、持ち運ぶ必要がないためか、透明カバーが剥き出しになっていて、内容物が丸見えになっている。

 こうやって、肉体の部位が綺麗に取り出され、安置されている様を見ると、精肉屋のショーケースを覗き込んでいる気分になる。

 台所から拝借してきたアイスピックを、臓器保管容器に振りかざした、その一瞬、俺に躊躇が産まれた。

 この臓器で誰かの命が助かるのかも知れない。

 それを今、お前は断とうとしている。

 いや、闇のルートで臓器を手に入れようとする人間に、同情しなければならない理由が何処にある?

 その反問は、暫く繰り返されたが、結局、俺の身体の方が自ら下すべき決断を知っていた。

 アイスピックの先端は、その機械の心臓部へ、突き刺さって行く、何度も。

 透明カバーから見える臓器そのものへの貫通を避けたのは、少しでも己に残った偽善を慰める為だった。

 適正な冷蔵が損なわれれば、やがて臓器は腐ってしまう、、結果は同じ事だ。

 俺はアイスピックを胸ポケットにしまうと、直ぐさま走り出して、十蔵の部屋から逃げ出した。

 証拠隠滅のために指紋を拭き取るなどというような、悠長な事はしていられなかった。


 白目十蔵は、間違いなく、自分にとっての最大の資本を粉々にした犯人を捜し出し、報復しようとするだろう。

 その犯人であるこの俺に辿り着くのは時間の問題だ。

 こうなればマリーの元へは帰れない。 

 今が、平成十龍城から脱出する潮時だった。

 あわよくば、田崎修の情報を得ること、当初はそんな目論見もあった。

 結局、それどころか、煙猿の行方も皆目掴めていない。

 ただ蛇喰の思惑通りに、事が進んだだけだった。

 だが事ここに至っては、為すすべもない。

 2週間で裏十龍の秩序は崩壊すると蛇喰は言った。

 外界に出てからは、その2週間、何処かで身を潜めていよう。

 裏十龍の力という背景を持たぬ白目十蔵なら、俺にも対峙する事が可能だろう。

 相手は臓器密売人、、、そう只の犯罪者にしか過ぎない。

 いざとなれば警察でも、あるいは蛇喰にでも頼ることが出来る。

 そうさ、もしかしたら煙猿の事だって十蔵から聞き出せるかも知れない。



「鷹匠クンなにしてるの、目を覚まして!!」

 鷹匠クンは、既に張り付けの戒めから解かれているのに、ロドリゲスの言いなりになって、服を脱ぎ、四つん這いの格好でロドリゲスの革靴を舐めている。

「説明不足だったな。あの薬は人間の意思をも、へし曲げて相手を自由にコントロール出来る。・・煙猿が、よく使っていた、、。」

 煙猿の名前を聞いて、僕の心臓が跳ね上がる。

 蘭府がワザと僕に煙猿の名前を言って聞かせたのか、それとも自然に出た言葉なのか。

 そして蘭府は、煙猿の名を聞いた時の僕の反応を見逃さなかった。


「・・そうだった、猪豚と接触したんなら、煙猿のこともアンタは知ってるんだろうな。アンタの友達は煙猿に浚われた可能性が高い、、煙猿達は死体で商売をしてる、そのマーケットの末端がここなのさ。そう、アンタの読みは、それほど間違っちゃいない。」

 カチャカチャとロドリゲスが自分のズボンのベルトを外す音だけがコンテナの中に響く。

 ロドリゲスは自分の唾を鷹匠君の臀部の中心に吐きかけている。

 それを受けながら鷹匠クンの唇の両端が快楽への期待に吊り上がる。

 吐き気がこみ上げてくる。


「これって、一体、なんなの、、」

「大した薬だろう、、誘導次第では、四肢を切断されても、その痛みが快感にすり替わるらしい、、煙猿の奴ら、こんなものを何処で手に入れたと思う。あの物騒な隣国の軍事化学研究所からだよ。」

 ロドリゲスが鷹匠君に覆い被さって彼の中心を犯していく。

「さあ、アップシーンといくか、、」

 蘭府がそう呟くと、さっきロドリゲスが開けたロッカーの中からカメラを取り出す。

「何、さっきからこの一部始終は、自動的にあのカメラが、撮影してるんだがね。それだけだとインパクトにかけるだろう。それに、こんなものでも買い取りたいという物好きもいるんだ。それなりの出来にしないとな。」

 蘭府は、ロドリゲス達の前に陣取りながら、親指を立てて、彼の背後にある天井の一角をさした。

 そこには確かに、目立たないが小型のカメラが設置されていた。

 レイプフィルム・・鷹匠君が受けているこの受難は、やがて僕を襲うだろう。


「止めて!!叔父さんって、元刑事なんでしょ。なんでそこまでやる必要があるの!」

 カメラを構えていた蘭府の顔だけが、僕の方に向き直り凝視する。

 だが撮影ボタンは押されたままだ。

 鷹匠君は、お尻を高々と突き上げ、自分の頬を床に擦り付けている。

「ほう、色々、知っているんだな。ご褒美に、なんで俺がここまでやるのかを教えてやるよ。それは俺が、元刑事だからだよ。」



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