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残り10日 「呪いをかけられた、魔法使い」 下

小説書いたことありません

その日その日で考えて作っています(適当)


下手なのは承知してます、だけど感想くださーーーーい

 「いってえー」

  やはりこれは夢だったらしい。

 頬に残るヒリヒリとした痛みが、強制的に叩き起こされた何よりの証だ。

 痛みと共に、視界も少しずつ定まってきた。

 「とうとう私を襲おうとするなんて、本性あらわしたわなこのサルめ」

 「……?」

 理解し、整理するには余りにも時間が足りない。

 目の前にいるのは、18歳でぴちぴちで天使にも勝るイブではなく、齢50を超えたおばさん(ママ)

 その眼は、怒りと失望の表情と共に涙を流していた。

 「ちっ、違うんです」

 うるうるとした表情を見せるママ

 確かに他人から見たら20才、いやそれ以下に見える事もないだろうが、僕はそんな気では見れない。

 「ご……ごめんなさい、ママ」

 だが、ママのあの顔を見たら、謝らずにはいられない。

 「でも、どうしてもイブ様とキスしたくて……本気だったんだ」

 僕は、誠意の謝罪と共に、夢の中での僕の必死さを訴えた。

 「……そう」

 ママは、落胆した表情で、悲し気に語りだした。

 「まあ、最後の夢をかけた代償として、キスで済むなら安いものね」

 「最後の夢?」

 ごろ悪すぎじゃないですか? なんだその最後の夢と僕は思ったが、重たい表情で、ママは話を続けた。

 「そう、最後の夢、最後のドリームでもいいわ」

 少し語呂が良くなったな。 ってそう言う事じゃない。 僕は心の中で突っ込んだ。

 「ゼロ、手を見なさい」

 「え?手?」

 ママはコクリと頷いたので、僕は手を見た。

 うーん豚のような手だ。

 だけど、白いので白豚。

 少し高級感がある。

 そう思っていると、ママは言った

 「手の甲じゃないわ ひっくり返して」

 あまりにも美味しそうな手だったので、うっとりしていたら怒られてしまった。

 って誰が、豚の手だ。 

 そう自分にノリツッコミを入れながら、手をひっくり返してみた。

 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 「なんじゃこりゃ~~~~」

 違和感をすぐに感じ取った。

 10本ある手の指先が、漫画でたまにあるぐるぐるほっぺのような指紋に取って変わっていたのだ。

 しかも、左手の親指から順番に、赤色、橙色、黄色、緑色、黄緑色、青色、水色、藍色、紫色、黒色と、それぞれ色がついていた。

 手を合わせると、わーい虹が見えるー、って馬鹿野郎!

 この気味の悪いぐるぐる指紋に、俺は冷や汗が出てきた。

 「やっぱりね 成功していたみたいね」

 「……やっぱりって?」

 ママは何かを知っているようだ。

 恐る恐る僕は聞く。

 「死ぬ前に本人が一番見たいと思う夢の事を最後の夢と言うの。 それを見た代償として虹色の指紋が浮かんでくるのよ」

  これやっぱり、虹なのか。

 手を合わせるとキラキラ輝くんだよな~

 実際手を合わせた時だけ、幻想的な輝きを放つ。

 これ何の病気よ? 僕は心の中で疑問を呟く。

 「その指紋なんだけど、明日になったら一つ消えるのよ」

 「え?これ消えるの?」

 と言う事は、10日で完治する事になる。

 しめた!。 僕は、ある一つの答えにたどり着いた。

 光に包まれて、気絶する前に、10日で職に就く事を強制させられた事は記憶に新しい。

 だけれども、この病気は治るまでに10日間かかる。

 いくら、10日間で働くとママと約束しても、病気なら10日たす10日の合計20日間に就職活動期間を延ばす事が許されるだろう。

 本日追い出されると言う、死と隣合わせのイベントから、僕は、20日後に追い出される可能性のイベントへと繰り越す事に事実上成功する事が出来たのだ。

 我ながら本当に運が良い。

 そう考えていると、ママは衝撃的な言葉を口にした。

 「そう10日で消える……でもゼロも死ぬ」

 「えっ……今なんと?」

 僕が死ぬですとーー

 「……そういう呪いをかけたから」

 「ええええええ」

 衝撃的な言葉をママは口にした。

 「人間に呪い しかも我が子にって……」

 「それは本当にごめんなさい」

 ママはすんなりと謝った。

 今まで、僕に謝った事なんかないのに、こんなにもすぐに。 

 僕は気が動転したのか

 「な……なら、しょうがないね、へへへへへ」

 そう言ってしまった。

 「だ……だよねー しょうがないよねー」

 ママは暗い顔から、一転照れくさそうに頭をぽりぽりかく仕草を見せた。

 この空気はまずい、お互いにテンションがおかしくなっている。

 だよねーじゃないよねー?

 僕、10日後に死んじゃうよ

 そんな事を考えていたら、ある一つの常識的な疑問が浮かんできた。

 「あれっ? 呪いって人間にかけたら……」

 「そうよ」

 ママは真剣な表情へと変わった。

 「人間への魔法の使用はこの街では重罪、呪いは死罪とされているわ」

 「だっ、だったよねー」

 僕は焦りながら続ける。

 「だいたい、呪いは死罪だけど、その呪いをかけられるのは悪の魔術者だけと言う話であって、ママは善の魔術者のはずでしょ?」

 そうなのだ。 

 しかもママは北の教会の聖母、僕にかけられるはずがないのだ。

 「嘘だよね? 誕生日のドッキリだよね?」

 そう問うと、予想外の言葉をママは言った。

 「ゼロ今日で何歳よ?」

 「さっ……30歳」

 「そうよね」

 「女の子との経験は?」

 なんでそんな事を親にしかも母親に言わなければならないのだ。  

 断じて言わぬ。

 そう覚悟し、だんまりを決めようとしたが。

 ママは僕の返答を待たずして進行を続ける。

 「もちろん、ないわよね」

 勿論とは何だ。 確かにないのだけれども、親に言われると傷つく。

 「つまりよ、30歳+異性との経験がないこれはどういうことだかわかる」

 「……分からない」 

 「そう、分からないなら教えてあげる。 もうゼロあなたは人間じゃないのよ」

 「えっ? 人間じゃないって?」

 「魔法使いになったのよ」

 「魔法使い?」

 「そう、でも私のような純粋な魔法使いじゃないわ。 言わばキャンニバルと人間の間のような穢れた存在よ」

 「キャンニバルと人間の間のような存在?」

 僕は、自分の置かれている状況をやっと理解し始めた。

 確かに、幼い頃に、30歳まで孤独を貫くと、人間じゃなくなって外の世界にほうりだされるよと言われた。

 でもそれは、この街で、いつまでも平和な生活を送る事を保障出来ないからであって、穢れた魔法使いになる事など都市伝説のような話だった。

 言い忘れていたが、この街は4つの教会と中心にある古の教会で結界を張っており平和を保てているが、一歩外に踏み出すと、人間を捕食するカンニバルと呼ばれる化物がうじゃうじゃいるらしい。

 まあ、普通の人間は街の外には絶対に出れないので、その姿を見たことはないのだが……

今の状況を理解すると、どうやら僕は、カンニバル<僕<野菜<家畜<ペット<人間のランクになってしまったらしい。

 「それじゃあ、その呪いって」

 「カンニバルと同列の今のゼロにはかけられるの、だからかけた」

 終わった。 

 僕はあと10日後に、死んでしまう。

 せっかく20日間自由気ままに遊べると思ったのに、いや、せっかくの30歳の誕生日を迎えたと思っていたのに、なんですかこの仕打ちは?

 そう思った。

 「でもね、ゼロ1つだけ助かる方法があるの」

 「えっ……本当?」 

 死ぬのは御免だ。 僕は生きたい。

 蜘蛛の糸にもすがる思いでママの言葉を待つ。

 「あと10日以内に就職する事。 それが条件よ」

 「なんですとおお」

 就職出来なければ物理的に死に、就職しても精神的に死ぬ。

 何の為に生まれてきたのだろうか。

 どちらも選びたくない、究極の選択だった。

 「働くってどうやって?」

 僕は、物理的に死にたくもないので、一応話を聞く事にした。

 ママは、にんまりとした表情を浮かべ、こう言った。

 「ギルドに行きなさい ギルド長には連絡をもう取ってあるから」

 さすが、北の教会の聖母。

 人脈にたけている。

 僕は、関心をしつつ、頭に浮かんできた質問をぶつける。

 「仮に就職したら、すぐに呪いは解けるの?」

 「そうね たぶん解けると思うは」

 随分と曖昧な返事だが、ママの言葉に1つの可能性を感じた。

 あれ? 一瞬就職して一瞬で呪いが解ける、それを確認したら一瞬で退職する。

 そしてニートになる。

 この呪いの攻略法って、めちゃくちゃ簡単じゃない? 

 どうやら神様は出来ない試練は与えないらしい、すぐに職を見つけて、すぐに呪いを解く。

 僕の決意は固まった。

 そして、力強くこう言った。

 「ママ、僕働く。 絶対に就職してみせる。 そして呪いを解いて、自分の足で立って生きていくよ」

 ママは息子の更生を喜んでか、うんと頷きこう言った。

 「ゼロ頑張りなさい」


 

 ママとの話し合いが終わ、ふと時刻を見ると午前9時だった。

 どうやら、まだ2時間しか経っていなかったらしい。

 一人になり、自分に起こっていた状況を整理すると、30歳になりどうやら人間界の底辺の頂である職業ニートから穢れた魔法使いへとランクダウンしてしまったようだ。

 そんなゴミのような息子に僕のママは、呪いをかけた。

 その呪いを解く条件は、働く事。

 期限は10日。

 10日で働くことが出来なければ僕は死ぬ。

 それまでに、職を見つけられれば、穢れた魔法使いと言う身分は変わりないが、死ぬ呪いは解かれる。


 こういう事だ。

 僕の辞書に働くと言う文字はなかったが、どうやら就職するしかなさそうだ。

 それに、就職すればイブへの求婚資格も得られる。

 一石二鳥どころではないのだ。

 僕は今まで本気を出していなかっただけで、就職なんて1日あれば余裕で決まるだろう。

 俺はそう考え頷くと、家を出る準備に取り掛かった。

 パソコンで調べたら、ギルドには何も持って行かなくていいらしい。

 楽で助かると、僕は思った。

 準備を整え、ママが張り切って沸かしてくれた湯船につかり、身を清める。

 ニートだから何年ぶりの風呂だって?

 僕は、太っていても、12年も引きこもっていても、ママの血を多分継いでいる血統書付きのニートだ。

 風呂は一日に1回ちゃんと入っている。

 なので、昨日ぶりのお風呂だ。

 さあ、これで12年ぶりに外に出る用意は全て終えた。

 僕は玄関の前まで行き、ママが用意してくれた新品の靴を履き、鍵を開けた。

 あとは、ドアを開けるだけ

 「やばい、緊張してきた」

 12年振りの外の世界、動機が激しくなるのが分かる。

 そんな逃げ腰の感情からか、一つの疑問が出てきた。

 この手のグルグルの事だ。

 ママが言うには、一日事に1つ消えていくらしい。

 でもそれが嘘であるならば、僕を働かせる為のハッタリではないのかと、そう思ってしまったのだ。

 それなら辻褄が 合う。

 12年も引きこもっているのだ、死で揺さぶらないとそんな人間が突然働くなどと言う行動には出ないであろう。

 であるならば、今日は外に出なくていいんじゃね?

 いいよね? ハッタリかもしれないし。

 僕はそう自問自答して、今日は外には出ない。

 そう結論付けた。


 こうして僕は回れ右をして部屋に戻った。

 ニートはそう心が変わらないのである。

 「なんかすっごく疲れたし、寝よう」

 僕はパジャマに着替え、ベッドに横たわった。

 昨日たっぷりと寝て、気絶もして、睡眠はたっぷりととっているはずなのに、眠気が襲う。

 人間が耐えられる1時間の労働も、ニートにとっては8時間労働と同じなのだ。

 それも2時間、僕は16時間働いたような疲れが、全身にきている。

 「イブちゃんと夢の中で会えますように、呪いも嘘でありますように」

 そう僕は言うと、深い眠りへとついた。








 本当に、明日指紋が1つ消えてなくなるとも知らずに……


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