残り10日 「呪いをかけられた、魔法使い」 中
小説書いたことありません
その日その日で考えて作っています(適当)
下手なのは承知してます、だけど感想くださーーーーい
「……きてください ……きてください」
意識が途切れていた僕に、誰かがささやきながら肩をトントンと叩いている。
「……きてくだい ……おきてくださいですわ」
どうやら僕を起こそうとしているようだ。
しかし僕は、食事の邪魔をされる事と、睡眠を妨げられる事は絶対に許せない。
なので、僕は無視をする事に決めた。
「……むにゃむにゃ」
「もう、困った旦那様ですわ」
「!?」
あれ、旦那様って僕の事?
そう言えば、口調がよくアニメや美少女ゲームに出てくるお嬢様のような……
僕は驚きと、もしかしたら目の前に女の子がいる可能性に眼を開けづにはいられんかった。
しかし、なかなか瞼を開くことが出来ない。
僕は、少しずつ瞼を開き、目の前にいる人の正体を確認しようとする。
「もーう やっと眼を開けてくださいましたわね」
笑顔で、僕を見る人は、人ではなく女神であった。
「イ……イブ様!?!?!?!?!?」
そう僕が叫びにも近い声で言うと、目の前に立っている純白のウェディングドレスを着た女神は少し頬を膨らませ、怒っているよと言う僕から見て何とも可愛いらしいリアクションを取りながら、言った。
「もう、旦那様ったら、恥ずかしいからって茶化さないでください」
「ご、ご、ご、ご、ごめんなさい」
女の子と話すのはいつぶりだろうか、緊張でやっぱり挙動不審になってしまう。
「……あれ?」
目の前にいる女神は、少し考える仕草を取ったのち、笑顔に変わって言った。
「何だか、私達が出会った頃の旦那様に戻ってしまわれた気がしますわ」
その笑顔を見るだけで、僕も笑顔に自然となってしまう
だが、容姿が整っているとは言えない僕は笑顔と言うよりにやけ顔と、世間は思うだろう。
勿論、例がいなく女神も。
なので、失礼の無いように、平然とした表情をなんとか維持しながら話す。
「そ、そうだね……」
何を話せばいいのか全く分からない。
僕は、話すのが苦手、ましてや目の前には女神
嫌な気持ちにさせたくはなかったので、咄嗟に下を向いてしまった。
よく、下を向いては、「目の前の人をちゃんと見なさい」とママによく怒られていたのだが
「フフフ」
「!?」
女の子は上品に笑った。
「またですわ」
「……?」
「ゼロさま、また下を向いていますわよ」
謝らないと、僕はすぐに顔をあげ、女神を見た。
「私を見てくださって嬉しいです 二人での約束勿論覚えていらっしゃいますわよね?」
「……約束?」
気付いたら、このシチュエーションだ。
約束とは何だろうか。
僕は、聞き返してしまった。
「もう、忘れてしまったんですの?」
そう女神は言うと、再び頬を膨らませる表情を僕に見せた。
「うそうそうそ」
僕はすぐさま嘘を言う。
他人を傷つけまいとして、すぐに取り繕う僕の悪い癖だ。
だが、悲しませたくはないこの気持ちだけで、僕はこう続けた。
「ただ、約束をイブの口から言ってほしいなと思ってさ」
12年引きこもっているとは思えない男の、切り返しだ。
さらにイブ様から名前で呼ぶ事にした、機転が利く男なのである。
僕は、自分の発言に100点を与えた。
「もう、旦那様ったら」
そう言うと、今度は女神が下を向き、もじもじしている
うーん可愛い、僕がそう思っていると、彼女はゆっくりと顔を上げ、僕を上目使いで一言。
「私とお話する時は、見つめあうそう言うお約束ですわ」
頬が興奮からか、うっすらピンク色になっている。
こんな事言われるなんて、天国?
僕は、もう死んでもいいそんな気分だ。
「もし」
女神は続ける
「もし?」
約束を破ったら何かペナルティがあるのだろうか?
僕は、聞き返した。
「もし、恥ずかしくて目を背けてしまったらその……接吻を」
「接吻!?」
それって、チュ、チューの事だよな?
罰で、女神とチューなにそれ、全然罰じゃなくない?
それってご褒美の間違いじゃ?
そう僕が思ってると
「ウッオホン」
力強い声が突然聞こえてきた。
「ウワッ」
僕は叫び声を上げた。
物凄くビビリなのだ。
声の方向に目をやると、今までは気配すら感じなかったのに、教会の神父の恰好をした凛々しい顔立ちの老人が立っていた。
「ほっほっほ お若い者同士結構結構」
神父は、怒っているのようではなさそうだ。
僕は、すみませんと言うと、神父は言った。
「それでは誓いのキスを」
「キスッ!!!!」
目の前の女神を見ると、もう目を瞑って唇を僕に許すポーズになっている。
どうやらこのシチュエーションから察するに、僕は第三者から見ても正当にキスをする権利を与えられているらしい。
否、今結婚式の真っ最中であるのだ。
だから実はドッキリでしたとは、99%ならないだろう。
僕も、目を閉じ唇を少しずつ彼女の唇へと近づける。
「ムチューーーーーーーーー」
ゆっくりとゆっくりと近づける
「……ロ ……ゼロ」
耳の奥に、何か聞こえる
今良い所なのに、何だっていうんだ。
「……ゼロ ……ゼロ起きなさい」
……起きなさいだと
まさかの夢、ネタバレの早すぎる夢。
天国から一気に地獄へと落とされるそのような気分に僕はなった。
だけれども、僕はどうしてもキスだけは、キスだけはしたいと、唇を近づける
一秒より早く! 一秒より速く!! 一秒より卂く!!!
恐らく、12間のニート生活で一番本気を出しているだろう。
イブとキスううううううううううううううううううう
しかし、そんな思いとは裏腹に視界が上下左右に揺れ動く
まずい、タイムリミットが迫っている。
近づけろ! 近づけろ!! 首がもげようとも近づけろ!!!
ゥオオオオオオオオオオ
僕は心で叫び死を厭わぬ覚悟で近づけた。
「チュッ」
「!?」
触れた! 目を瞑っていて正確には分からないが、触れる事に成功した。
初めてのキス。 夢だとしても憧れのイブとのキス
一日に2度泣く日が来るとは、僕は初めて自分で勝ち取った勝利に一筋の涙を流した。
物凄く柔らかくて、柔らかくて、柔らかくて
まるで、雲に触れているかのようだった。
それに少し、ほんの少しだが甘い香りがする。
「!?」
僕の唇に優しい風が衝突してきた。
女神、否、イブの口から出た吐息である事は、考えずとも理解していた。
今までで一番嬉しい風、いや、エアーだ。
何と言うバラ色の一時。
これがキスなのか、これがキスなのか!!
この時間を永遠にし続けたい。
僕は考えぬまま、両手をイブの背中にあて、キスを続行した。
彼女も同じ気持ちなのか、僕の大胆な行動にびくっとしたものの抵抗はせず、僕のアプローチを受け入れてくれた。
1秒が過ぎ、3秒を超え、5秒が経過した。
僕は、死ぬまでに本当に女の子とキスが出来て良かった。
胸の中には、その達成感でいっぱいとなった。
だが、1つだけ悪い欲が頭をよぎる。
それは、キスの上位版があると言う事だ。
キスでさえ、翼を授かり、お空を二人で飛んでいる様な感覚。
では、キスの上位版とは如何ほどのものなのか。
僕の頭の中は次のステップでいっぱいとなってしまった。
30歳になって後がない男の欲は貪欲なのである。
これは夢、先程、視界がぶれた事で確信をしている。
キスをする事に成功をしたが、恐らく時間はないのだ。
「イブいくぞ」
僕は、○貞特有の相手を置いてけぼりにして自分の欲を優先するがっつきならぬ本能を元に舌を出そうとした。
「!?」
イブが察したのかは分からないが、抵抗をし始めた。
やはり、強引な男は嫌なのだろうか?
夜な夜な読んだ恋のマニュアル本に書いてあった通り、キスとキスの上位版の間には乗り越えなくてはならない高い壁が存在しているのだ。
イブの抵抗が激しくなる。
だが、これは夢だ。
そう僕は確信しているので、イブを掴む肩をより強くホールドし、舌の突破の再開を試みた。
が、その刹那
パチーーーーーーーーーーーーーーン
僕のほっぺを叩く強烈な音と共に、極上の夢の中から、楽しみのない現実へと強制的に戻されてしまった。