残り10日 「呪いをかけられた、魔法使い」 上
小説書いたことありません
その日その日で考えて作っています(適当)
下手なのは承知してます、だけど感想くださーーーーい
「チュンチュン」
小鳥のさえずりが、僕を夢から現実へと呼び覚ます。
目をこすり窓の外を見ると、30歳の誕生日を迎えるにふさわしい程の快晴だ。
「ンーー」
両手を頭の上にあげ、全身を伸ばしながら、時計を見ると、午前7時を指していた。
「久しぶりだよこんな早くに起きたの」
いつもは真夜中のネットサーフィンが日課なので、だいたい起床時間は昼の2時頃。
だが、この日は違った。
憧れのイブと結婚が出来る可能性があると思いきや、僕には資格がなく、このままでは他の男のモノとなってしまう悲しみに、10数年ぶりに涙し、枕を濡らしたからだ。
「びちゃびちゃで気持ちが悪い」
もちろん、枕の肌触りは最悪だった。
30歳の男の本気の悲しみは、これほどのものか。
「とんとんとん」
「!?」
かすかだが、僕の部屋に続く階段を上る音が聞こえてくる。
「やっべ、ママだ」
軽い足音だが、力強くこちらの部屋に近付き、部屋をノックしている。
まあ、こういう時は居留守に限る。
僕はいつもと同じ戦術を使用する事に決めた。
「ゼロ 起きてるんでしょ~ 話があるからをドア開けなさい~」
……やはりばれているか。
僕のママは、北の教会の聖母で魔法を使える。
と言うか魔法の技術を競ったらこの街で5人にはいる実力者だ。
おそらく感知魔法のたぐいを使って、部屋を透視してるに違いない。
「ったく、恐ろしいロリババアだよ」
僕は小さいため息と共に、ママに聞こえないようにボソッと呟いた。
「ドスン」
「!?」
先程まで一定のリズムでドアを叩いていたが、急に物凄く怖い音がした。
「ゼ~ロ~」
「は、はい」
ママの怒った声を聞くと、なぜか背筋が伸びる。
僕は他者から見ても良い姿勢のまま、ママの次のお言葉を待った。
「はやく、開けなさーい」
ガチャ
僕は言われた通り、ドアを開けた。
ゆっくりと開かるドアに前には、仁王立ちしている140cmのママがいた。
「だーれーが、ロリババアだー」
ママの目を見ると、鬼の形相だった。
「言ってません、言ってません」
僕は、恐怖に耐えられず、首を左右に振りまくる。
「監視カメラでばっちり見てたし聞いてたんだから」
ママはそういうと監視カメラの場所を指さした。
「部屋に監視カメラって……」
僕は衝撃の事実に、言葉を失った。
しかも、それはカラオケにあるような黒い半円型のカメラだった。
なぜ気付けないんだ、このおっちょこちょい。
「いつ、いつから?」
僕は、動揺しながら聞く。
ママはやれやれと首を振り、教えてくれた。
「ニートになってからよ」
「12年間も!?」
僕の人生が終わった、12年間休むこともなく、母親に部屋での僕の様々な行為を目撃されていたのだ。
「変態ロリババア、変態ロリババア、変態ロリババア」
僕は目をつむり、呪文のように呟き、ママの怒りの返答を待つ。
だが、一向に帰ってこなかった。
恐る恐る、目を開けると、先程までの怒りに満ちた表情から、何か寂し気な表情へと変わっていった。
「どうしたの?」
変化の事情を伺うと、ママは僕に1枚の紙を渡してきた。
黙って、その紙を受け取ると、こう書かれていた。
ゼロ・アダムは、30歳になる日までに、絶対に就職して働くので、その日が来るまでは、決して口を出さないでください。
その日以降は、ママの言う通りに何んでもしますから。
「……」
短い文章だが、確かに18歳ニートなった日にママに渡したものだった。
「出てって」
「!?」
「今までよく頑張ったわね。 でもゼロをもうこの家から追放します」
「ママ嘘でしょ?」
もうこの家には必要ないと淡々とと言うママに、恐怖を感じた。
「荷物は私の魔法でまとめてあげるから、3分で済むわ」
そうママは言うと、魔導書を開き呪文を言う体勢を整える。
「何でもしますから、家にいさせてくださいー」
恐ろしい程のテンポで繰り出されるママの攻撃に僕はそれしか返す言葉が見つからなかった。
「ん?」
ママは急に笑顔になりこう続ける。
「今、何でもするって?」
この発言を待っていたのか、途端に僕の顔を聖母の微笑みで見つめてくる。
50超えているけど、見た目が若く(魔法で若く)見えてる分、僕以外なら一発で惚れる程の完成された笑顔だ。
「は、はい」
無理に逆らうと、すぐに家を追い出されてしまいそうなで僕は押し黙る。
「ゼロ、働きなさい」
予想通りの、非常な宣告だ。
「……ック」
僕は、働くと言う事を考えると、胸がとてつもなく苦しくなる。
人間関係を保つ自信もなく、朝7時に起きる事も無理、何より長時間労働って好きな事でさえも毎日そんなに続ける集中力をあいにく持ち合わせていないからだ。
それを定年までの45年間毎日毎日。
考えただけでも、気が狂いそうになる。
「……」
答えを出しきれないまま、沈黙をする僕。
「私の後に、続けていいなさい」
ママは言った。
「ゼロ・アダムは」
「ゼロ・アダムは」
コクリと頷き、僕は言われた通りママの発言を繰り返す。
「30歳を過ぎ職業魔法使いとなったので」
「30歳を過ぎ職業魔法使いとなったので」
ん? 魔法使いって何だ?
しかし、ママの顔は至って真剣なので気にはなるが続ける。
「神の名のもとに10日で」
「神の名のもとに10日で」
10日?
「就職をします」
「就職をします」
あまり僕は好きではないが、ママは聖母なので神頼みが好きらしい。
やれやれ、この茶番に付き合ってやるか
ママはまだ唱えるようなので僕は再び続ける。
「もし就職が10日で出来なければ」
「もし就職が10日で出来なければ」
「この命を神のお好きに使って頂いて構いません」
「この命を神の好きに使って頂いて構いません」
ん?なんだこれは?
「ママ今のなっ」
発言を最後まで言う間もなく、突如僕の体が神々しいまでの光に包まれる。
「ゼロ、頑張って生きてね」
「!!!!」
何が起こっているのかまるで分からない、それに生きろって?
考えたくても 体が物凄い熱を帯びた、
それに、僕を包んだ光は、あまりにもまぶしく、目を急いで閉じたが、それでも隙間から太陽を直接見ているかの様なまぶしさだ。
「熱い、熱い、熱い、熱い、熱い」
あまりの熱さに、それしか叫ぶ事が出来ない。
叫べば、少しでも痛みを和らげられるのではないかと、思っても、痛みはますばかりで、30歳のニートには耐えられる限界値を超えていた。
「もう……ダメポ」
僕は、30年で初めて気絶をしてしまった。
思考がシャットダウンし、ベッドに重たい体がズドンと倒れおちた。