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午前中
母が言っていた。私がその店を訪れた時、決して忘れ物をしちゃ行けないよ。
私は昔の事を思い出しながら、その店に入ろうとする。
表向きはカントリー風の綺麗なお店だ。
私は母に頼まれた言付けを伝えた。
「この前の手編みのマフラーありがとう」
店員の美しい女性がニッコリ笑い、此方においでと、手招きをした。
「そのマフラー、気に良った?実はそれね。手編みじゃないの」
私は内心ドキリとする。
「車に残してある母が気になるからお暇致します」
彼女は外を指差し、こう告げた。
「もうすぐ雨が降るわ。少しだけ秘密を見せてあげる」
私は恐る恐る、お店の一番奥にある、ビロードを開けてもらう。