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サウスホルンへ

焚き火に土を掛けて火を消し荷物をまとめた後、サーニャと共にサウスホルンの街を目指して歩き出した。


「さっきから何を見ているんですか?」

「ん? 腕時計を見ているだけだが……」

「その左腕の腕輪が時計なの?」

好奇心が旺盛らしく、先程から質問攻めにあっている。

「ああ、その通りだ」


「これから何処に向かうつもりなんですか?」

「ん~これからか…… 取り敢えず東に向かおうかと思っている」

「東にですか? ここから東にある街は、かなり遠くにあるから馬とかで行かないと厳しいですけど……」


「……すまないが、ここの地名は何だ?」

「あの……もしかしてなんですが、違う世界から来たんですか?」

「……やっぱりそうなるのか」

「だっていろいろと変じゃないですか」


サーニャ曰く、缶詰のように容器を完全に密閉する技術は、この世界にはまだ無く仮に旅人だったとしても、つい数日前まで戦場だった場所を歩くというのは盗賊が出るので大変危険な為殆どの旅人はやらないらしい。

そういったことからこの世界の住人では無いという結論になったらしい。



「その背負っている、金属とよく分からない素材で出来ている筒を組み合わせた物は何?」

恐らく銃のことを言っているのだろう。


「この世界に『銃』と呼ばれる物はあるか?」と質問に質問で答えた。

サーニャが少し考え、

「マシケット?マスケット?? どっちだったか忘れたけどそれぐらいなら聞いたことがあるんですけど詳しいことは、分からないので……」


「機械は、あるのか?」

サーニャが首を傾げながら

「キカイ? キカイと言うのはその時計のような工芸品ということですか?」

どうやら機械では無い別の何かをこの世界では利用しているようだ。

「自動的に動く道具のことだ」と言うとサーニャが、「魔導機関のことですか?」と首を再び傾げながら答えた。


また世界が『違う』ということを認識させられた。

(魔導機関? 内燃機関とかでは無く魔法を使った機関のことか?)

「魔導機関と言うのは、何だ?魔力を燃料に使うのか?」

するとサーニャが長さ15cmぐらいの杖を取り出して虚空に向けて杖を振った。


うっすらと枠が何も無い空間に表示され、それが濃くなっていき簡略化したエンジンのような物が表示された。

「凄いな……これが魔法なのか」

これが、俺が初めて見た魔法だった。


「ここに魔石を入れて…… って聞いています?」

「いや、すまない聞いていなかった。 初めて魔法を見たものだからつい」


「はぁ、次はちゃんと聞いて下さいよ」


サーニャ曰く、魔導機関と言う物が地球で言う原動機であり、特徴としては……


・ガソリンなどの燃料の代わりに魔力が結晶化した魔石を使う。


・内燃機関では無いので熱からの変換効率は85%以上

 ……地球上のガソリンエンジンの場合良くて変換効率が30%なのでこれは驚異的な数値にあたる。


・熱などは一切発生しない。


・欠点としては、魔石自体の単価が比較的高価で更に、魔力を燃料とする為、魔力圧縮機の素材は魔力伝達効率が高い銀・白銀を使用するので非常に高価になる。

 ……この欠点のせいで殆ど普及していないらしい。



「分かりましたか?」

「ああ、よく分かった。 ありがとう」


「それはそうと、食料の残りが少ないんだが……」

今朝、同行者が増えるという予想外のハプニングが起きたからだ。

「……狩りでもしましょう」


「2日間獲物を仕留めることが出来なかったんじゃ?」

「……」


仕方ないので双眼鏡を中から取り出してもらい、獲物を探した。


動いているものが無いかを探して1分ほど経過して、640m先の森に一頭の熊が見えた。


「見えた」それだけをサーニャに告げて比較的凹凸の少ない地面に匍匐姿勢になった。

「何をする気なの?」と言いたげに、興味深そうにこちらを見つめているが、敢えて無視した。



周囲に人目が無いことを確認してから狙撃銃の二脚

バイポッド

を立て、安全装置を解除した後にNight Force社製のスコープの倍率を25倍率に調整してレクティルを熊の目に合わせて引き金を引いた。


「きゃっ」サプレッサーを付けていなかった為、サーニャが銃声に驚いて悲鳴をあげた。


(実際は、銃声を聞いたのは初めてだったので、サプレッサーを装着していても驚いただろう)



7.62×51NATO弾独特の銃声の後、静寂が包み込んだ。


放たれた弾丸は、放物線を描き、木の幹で爪を研いでいた熊の目に吸い込まれていった。


側面から目に吸い込まれた弾丸は、熊の脳を貫き、かき混ぜながら後部へと風穴を開け命を消した。



「一体何が起こったの!? こんなに大きな音が鳴るなら先に言ってよ!」 とサーニャが若干涙目になりながら文句を告げて来た。



「これが、俺が元いた世界の技術だ。 殺す為だけに作られた技術だがな……」







仕留めた獲物の傍へと警戒しながら歩み寄り、その熊の巨大さに驚いた。


サーニャは、熊の大きさよりも、熊の頭部に開いた大穴を見た後、昨日止められていなかった場合のことを想像して顔を青ざめさせていた。


「これは、あまりにも大きすぎないか?」

「問題無い……と思いたいですけどさすがにこれは大きいですね……」

仕方ないのでナイフで熊の毛皮を剥ぎ取り、食べることのできる部分のみを削ぎ落として残りは、野生動物たちの餌としてその場に残した。


「ここからあとどのくらいの距離があるんだ?」

「今から歩いて大体……そうですね半日ぐらいですね」


それを聞いてある疑問が浮かんだ。

(ん? 距離をあらわす単位は無いのか?)




「魔法には一体どんな種類があるんだ?」

「系統魔法・精霊魔法・古代魔法の三種類があって今、最も普及しているのが系統魔法で精霊魔法は、一部の高位の魔術師や私のようなエルフしか使えないと言われています」


「古代魔法は?」

「……古代魔法は、禁じられた魔術が多く存在していて表面上は、どこの国も開発・運用を禁止していますが、水面下では開発が進められているという噂です」


(禁じられた術式か…… 大量破壊兵器的な術式なのか?)





※魔法の種類について


・系統魔法 ― この世界で一番普及率が高い形式の魔法


|魔法具<デバイス>を所持していれば誰にでも最低限の術式を行使することが出来て、最適化をしていない場合には翻訳機能のみが使用可能。

最初期には、言語の共通化の為に用いられていたが魔法技術の発展と共に行使することが出来る術式が増加して現在に至る。

自然的な現象を強制的に行使する術式の為、自分の実力に見合わない規模の術式を行使すると最悪の場合、生命維持に支障の出る可能性もあるが、魔法具自体に安全装置が組み込まれている場合が多いので行使すること自体できない場合が多い。


余程の魔力量や実力が伴わなければ精霊魔法に正面から挑んで勝利を収めることは無い。


魔法技術が洗練されてきた時期になると、攻撃用の術式が完成したものの、殆どの都市では市民の反乱を恐れて一般市民には術式の構成情報が提供されることは無く一部の魔術師・権力者の私設軍のみが知っている為に 略奪・虐殺行為に走る部隊も存在する。


※系統について ― 大きく分けると、『火』・『光』・『水』・『風』・『無機物』の5系統に分類される。




・精霊魔法 ― 使用者が制限されるが強力な術式を行使することが可能


精霊と呼ばれる存在に意思を伝えることにより自然的な現象を引き起こすことが出来る術式


精霊によって自然的な現象を起こす為、例えば、そよ風程度の風から竜巻のような壊滅的な損害を与えることも可能。



(解説ここまで)





サーニャにこの世界や、魔法について説明してもらいながら歩き続けた。


「はぁはぁ、つ……疲れました」 肩を上下に動かしていたサーニャが息をあがらせながら呟いた。


ふと時計を見るともう4時間が過ぎていた。

「大丈夫か? 休憩するか?」

少しの間の後

「……すいません、そうします」と申し訳なさそうに返答が返ってきた。


日は既に高く昇っており、平原だった道が途中から砂丘になっていたことからしても当然の結果だろう。


未開封だった水の入ったペットボトルを差し出して自分は残りが少なくなっている水筒の水を飲んだ。


「そういえばサーニャはどうしてあそこに居たんだ?」


「世界中を旅をして、いろいろなことを見て・聞いて・体験して好奇心を満たす為です」 と嬉しそうに言った。


「岡崎さんはどうしてそんなに体力があるんですか……」

「俺か? 俺は元居た世界では軍隊に入隊していたからな」


「軍隊……ですか? 地主が農民を徴兵しているから元は農民とかじゃないんですか?」

「ああ、そういう事か。 民間軍事警備会社といって戦争の際に物資輸送の警備とかを仕事にしていた。 所詮、職業軍人と言うやつだよ」


それを言って立ち上がるとサーニャに手を差し出し、立ち上がらせてまだ見ぬサウスホルンの街へと向かって歩き出した。


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