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プロローグ

腕時計を見ると12:24と表示している。

最後に時計を見た回収地点からはまだ20分も経っていない。


俺達は、山岳地帯の掃討作戦に参加していた。


最初は、俺が所属していた特殊作戦グループが作戦区域に展開して敵司令部に対する狙撃任務といういつも通りの簡単な任務の筈だった。




― 暗殺任務 作戦開始 ―


日本国内では、民間軍事警備会社となってはいるものの実質的には公表できないような任務を遂行する部隊に所属している。


「おい、見えるか? 10時の方向 1135M」 隣に伏せているアメリカ合衆国陸軍のレンジャー部隊に所属している観測手がスポッティングスコープを覗きこみながら英語でこちらに話しかけてきた。

何故同じ部隊にアメリカ軍所属の兵士が居るのかと言うと、今回の任務でも多国籍軍側の抹殺任務を行う部隊に編入させられた為である。


「ああ見えた」 軍用の高倍率双眼鏡を覗き込んで指示された方向を見るとコンクリートと言うよりは、泥を固めたと言った方がいい建物が見えた。

「距離1132M 高低差46M 気温15℃ 湿度4% 好きなタイミングで撃っていい。 ……外すなんてことは無いようにな?」


既に初弾を装填してあるDTA HTIの二脚を立てた後、安全装置を解除してNightForce社製8-32倍スコープを覗きこみ、レクティルの照準線を窓際で煙草を吸いながら鹵獲品と見られるノートPCを使用している敵司令官と見られる男の頭部に合わせた。


《目標σを確認、発砲許可を。》

観測手が司令部に最終確認をした。


森が静寂に包まれた。

《発砲を許可する。》


トリガーを引いた。


次の瞬間、静寂に包まれた森に銃声が響き渡った。



銃口から射出された狙撃用のマッチグレード弾が弾丸の先端部から衝撃波を発生させながら飛翔して敵司令官の頭部を貫いた。


……貫いたという表現も問題があるかもしれない。

発射された12.7×99mm弾の運動エネルギーが人間の頭部に直撃した場合文字通り『消失』する。


第一目標である暗殺任務は成功したので次に来る歩兵部隊の援護を開始した。


味方部隊の搭乗している兵員輸送車を狙って対戦車火器を構えている敵兵を射殺して安全を確保した。


確かにここまでは順調に作戦が進んでいた。


《くそっ、スナイパーだ!! 味方が被弾した! 敵射手の始末を頼む!!》

スコープを覗きながら、見た狙撃兵を見て驚愕した。

QBU-88狙撃銃を構えた人民解放軍の兵士が見えたからだ。

(中国は今回の戦争では多国籍軍側ではなかったのか?)という疑問を浮かべながら味方の命を奪った狙撃兵を射殺した。


《敵の攻撃ヘリだ!》

《スティンガーを使え!!》

散発的な爆発音の後

《おい、しっかりしろ!》と言う無線が聞こえた。


別部隊からは、《こちらの部隊はもうダメだ……俺しか残っていない》と言うような絶望的な状態になっている部隊も出て来た。


司令部からの通信が入り撤退命令が出され指定された回収地点で輸送ヘリに乗り込んだ。

《此方、チャーリー分隊回収地点に行けそうに無い。 回収を要請する!》

《すまないが無理だ。 味方部隊を危険には晒せない。》

他の部隊の損害を避ける為に司令部から冷酷な指令が出た。



ヘリの中が沈黙で包まれた。



その沈黙を破ったのは、ヘリの操縦手だった。

「俺は、助けに行きたい。 賛成する奴は居るか?」





《司令部、こちらの部隊は迷子を回収してから帰還する。》

《命令違反だぞ、分かっているのか?》

《ええ分かっています。 ですがこのヘリに搭乗している全員が賛成しています。》


《……分かった。 必ず生きて戻れよ。》


チャーリー分隊のビーコンが発信されている地点に降下して無事にチャーリー分隊を回収した。



回収した後、山岳地帯を超えたあたりで誰かが、「あれは一体何だ?」 と呟いた。

窓の外を見ると、何かが高速でこちらに近づいて来ている。


輪郭がだんだん大きくなっていき何が近づいて来ているのかが分かった。

「戦闘機だ!」

と誰かが叫んだのと同時に、戦闘機のハードポイントに搭載されていた対空ミサイルが、発射され……被弾した。


閃光と共にヘリの内壁が吹き飛ばされ意識を失った。





頭部に痛みを感じて目を開けると、広大な平原が広がっていた。


……?

眩暈と共に先程まで自分が見ていた景色とは全く違う。

つい数分前までは、確かに作戦区域から離脱するヘリに搭乗していた筈だ。


一体どういう事なんだ?





特殊作戦部隊の壊滅は、全世界のニュースで報道された。


そこでは、

死者13名

意識不明の重体2名


『行方不明』1名 と表示されていた……

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