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真説・碧宙の星々のレムリア -The First Story That Vanished-  作者: 久遠 魂録


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荒野の決戦‼︎

この度は、数ある作品の中からこの物語をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。どなたか1人でも、当作品の存在を知っていただけるだけで幸いです。

月明かりに照らされた荒野を、万能戦車アウローラが砂塵を巻き上げて疾走する。その後方を、教団の多脚型対戦車兵器「デストロイヤー」が、金属的な駆動音を響かせながら猛追していた。

「レオ、あいつの装甲、さっきのレーザーでも傷一つついてないじゃない! どうなってるのよ!」

朝宮シャーロットが、激しく揺れる車内で真っ赤なシートの端を掴みながら叫んだ。彼女の二十九歳という落ち着きは、今の極限状態では、むしろ挑戦的なまでの熱情に変わっている。

「理事長、あれは特殊な相転移装甲です。通常の物理攻撃や熱線では、エネルギーを分散されてしまう」

操縦席で無数のモニターと格闘する鳴門レオが、眼鏡の奥の瞳を鋭く光らせて答えた。

「なら、どうすればいいんだよ! 逃げ回ってるだけじゃ、いつかこっちの燃料が底をついちまうぜ!」

マックスが、丸太のような腕で操縦桿を強引に引き絞り、デストロイヤーが放ったプラズマ弾を間一髪で回避した。アウローラは時速百二十キロの限界速度で、荒野の岩肌をかすめるように蛇行する。

その時、車内の床で自作の工具箱を抱えていた緒妻哲人が、弾かれたように顔を上げた。

「……相転移装甲なら、逆に利用できるかもしれない。一箇所に、装甲の許容量を超えるエネルギーを『物理的』に叩き込めば、回路が焼き切れるはずだ!」

「少年、理屈は分かるが、アウローラにはそんな高出力の武装はないぞ」

レオが冷静に指摘する。アウローラは本来、戦闘ではなく移動や逃走に特化した万能戦車なのだ。

「ないなら、今ここで作るんだ! タケルさん、さっきの廃校から持ち出した、教団の通信ユニットの大型コイル、まだ持ってる!?」

哲人が、後方ハッチ付近で身を潜めていたタケルに叫んだ。

「へいへい、しっかり確保してるっすよ! でも、こんなガラクタで何をする気っすか?」

タケルが、ニヤリと笑いながら、重厚な金属パーツを引きずり出してきた。その手並みは相変わらず鮮やかで、ドジな整備兵のフリをしながらも、必要な「獲物」は確実に手に入れている。

「これをアウローラのメインバッテリーに直結して、即席の『電磁加速射出機レール・アクセラレーター』にする! 計算は僕がやるから、タケルさんは接続を! マックスさんは、とどめの一撃を叩き込むチャンスを作って!」

哲人の目は、かつてないほど真剣だった。彼は揺れる車内で、リュックから取り出したジャンクの基板と、愛用のスパナを魔法の杖のように操り始めた。

「無茶を言うわね……。でも、嫌いじゃないわよ、そういう賭け!」

シャーロットが不敵に笑い、腰のホルスターから愛銃を抜いた。

荒野の決戦:合体奥義「レムリア・インパクト」

アウローラの車内では、火花と怒号が飛び交っていた。

「タケルさん、そこだ! プラスとマイナスを逆に繋いで、過負荷の状態を維持して!」

「了解っす! 哲人くん、あんたのこの発想、うちの組織の研究者が見たら腰を抜かすっすよ!」

タケルが、アウローラの装甲裏にある配線を剥き出しにし、教団のコイルを強引にバイパス接続した。車内の照明が激しく明滅し、低く唸るようなエネルギーの充満音が響き始める。

「憂さん、少しだけ力を貸して。ペンダントの輝きを、この回路の安定に使いたいんだ」

哲人が、隣で祈るように手を合わせていた憂に語りかけた。

「……はい。わたしの願いが、哲人さんの助けになるなら」

憂が碧いペンダントを握りしめると、石の中から清冽な碧い光が溢れ出し、哲人が組み上げた無骨な機械を包み込んだ。それまで不安定に火花を散らしていたコイルが、嘘のように静まり、青白いプラズマを湛え始める。

「よし……準備完了だ! マックスさん、これをあいつの脚部に叩き込んで!」

哲人が差し出したのは、巨大なボルトとスパナを組み合わせた、即席の電磁弾頭だった。

「応よ! このマックス様に任せな! 筋力と気合なら、誰にも負けねえぜ!」

マックスはアウローラのサイドハッチを力任せに開き、荒野を駆けるデストロイヤーを直視した。猛烈な風と砂塵が車内に吹き込む。

「レオ、姿勢制御! 一秒だけでいい、アウローラを完全に水平に保って!」

「……やってみる。死ぬ気で掴まっていろ!」

レオが精密なレバー操作を行い、アウローラのホバー出力を一瞬だけ前方に集中させた。車体が不自然なほど静止した瞬間、マックスが雄叫びを上げた。

「いけぇぇぇぇ! 男の魂、受け取りやがれぇぇ!!」

マックスの怪力が、電磁弾頭をデストロイヤーの関節部へと投げつけた。弾頭は哲人の計算通り、コイルが発生させる強力な磁場に吸い寄せられるように加速し、敵の装甲へと突き刺さった。

「タケルさん、今だ!!」

哲人の合図と共に、タケルがハッチから身を乗り出した。その手には、自らカスタマイズした高精度ピストルが握られている。

「……タイミングは外さないっすよ。チェックメイトだ」

タケルが放った一発の弾丸が、敵の装甲に刺さった弾頭の信管を、ミリ単位の精度で撃ち抜いた。

ドォォォォォォォンッ!!

次の瞬間、蓄積されていた電磁エネルギーが一気に解放された。青白い雷光がデストロイヤーの巨体を包み込み、相転移装甲を内側から焼き切っていく。

凄まじい爆発と共に、無敵を誇った教団の兵器が、荒野の砂塵の中にその残骸を晒した。

冒険の余韻と、新たな旅路

爆炎を背に、アウローラは静かに速度を落とした。

「……やった。僕たち、本当に勝ったんだ」

哲人が、膝をつきながら大きく息を吐いた。手にしたスパナは、熱で少しだけ歪んでいる。

「あははは! 傑作っすね! あのデカブツが、あんなにあっさり鉄クズになるなんて!」

タケルが腹を抱えて笑い、マックスの背中をバンバンと叩いた。

「お、おい、やめろよタケル! 俺の肩が外れるだろうが!」

「マックス、今の投擲は計算上の最大出力を15%上回っていた。……人間業ではないな」

レオが呆れたように、しかしどこか満足げに呟いた。

「全く、とんでもない家族を持ったものね」

シャーロットが、乱れた髪をかき上げながら、哲人と憂を見つめた。

「哲人、あんたのそのスパナ……もしかしたら、この世界の壊れた運命を本当に治しちゃうかもしれないわね」

「そんな……僕はただ、みんなで無事に逃げ切りたかっただけだよ」

哲人が赤くなって頭を掻くと、隣で憂が静かに微笑んだ。

「哲人さん。わたしのペンダントが、さっきとても喜んでいました。……あなたが、未来を繋いでくれたから」

夜が明け、地平線から黄金色の太陽が顔を出した。

碧宙あおぞらの下、少年と少女、そして騒がしい仲間たちを乗せたアウローラは、再びゆっくりと走り出す。

廃校での戦いは終わったが、無貌教団の影は依然として世界を覆い、星舟ノア・レムリアの謎も深まるばかりだ。

「さあ、相棒! 次の街まで飛ばすわよ! 今度こそ、美味しいデザートをゆっくり堪能させてちょうだい!」

シャーロットの号令の下、アウローラは朝焼けの中へと消えていった。

時速百二十キロの冒険は、まだ始まったばかりだ。

彼らの行く手には、さらなる強敵と、失われた文明の真実、そして胸を焦がすようなワクワクする展開が待ち受けている。

この度は、私の作品を最後までお読みいただき、心より感謝申し上げます。読書のお一人でも、心に響いて頂けましたら幸いです。

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