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花瓶な季節

作者: 沙華やや子

LOVEは時に過敏に反応するもの... そっと優しく

お花を愛でるように・・・

挿絵(By みてみん)


あたしは「ふまみ」。いくつかですって?ぷんすか!レディに年齢を聴くなんて失礼ね!! ナ・イ・ショ!

ふまみちゃんは朝早く起きて、ゆっくりオフロに入ります。朝ごはんは気分次第。アイスクリームを山盛り器に盛ってパクパク、そんな日もある。

骨董品のお店でパッと目に入ったふまみちゃんの花瓶は、藁灰(わらばい)で焼かれた独特の曇り空のようなお色。いつもお部屋にお花を欠かさないふまみちゃん。

バラ・芍薬・ポピーやラナンキュラス・スイートピー・百合・ポンポンマム、四季折々のお花はふまみちゃんを素敵な気分にしてくれるのです。

ある日、なんとしたことか、ふまみちゃん、お花屋さんに寄るのを忘れて帰って来てしまいました。

明日はダーリンがくるというのに。

ふまみちゃんがお熱になっているのはモリオくん。モリオくんも・・・ふまみちゃんを愛しています。

お花のないお部屋は落ち着かない。ソワソワ…ソワソワ・・・ふまみちゃんがリビングを行ったり来たり。

するとスマホが鳴りました。...あ!モリオくんからだ!!

「もしもし…ふまみ?」「はい♪」ドキドキ、ドキドキ・・・

「明日ね、お仕事が終わったらすぐ行くよ!」「ええ。おつまみとノンアル用意しとくね。」「ありがとう!」

ダーリンのモリオくん、ハニーのふまみちゃんが大好きです。


そして翌日の夕方・・・ ♪ピンポ~ン ...あ!! モリオくんだ! 大急ぎで玄関まで行き扉を開けるふまみちゃん。そこにはダーリンモリオくんの笑顔。ギュ! キャ、いきなり抱きしめられちゃった。ふたりは玄関でらぶらぶなキッス。

手を引っぱって、モリオくんをキッチンへ連れて行くふまみちゃん。

「ちくわにね、レッドチェダーとクリームチーズ、そして青紫蘇をはさんだチーチクだよ~」「わ!美味しそう。」

「ハイ、ノンアルね!」モリオくんは車でお家に帰るのでノンアルコールビールです。ふまみちゃんは、お酒を何年も前に辞めました。ノンアルも普段ほしいとも思わない。でも、ダーリンとの乾杯の時だけはプシュッとするのです。

「・・・へ~、そんなに今会社、立て込んじゃってるの?」「そうなんだよ、違う部署のとばっちりが全部うちに来ちゃってさ~...」モリオくん、ぐちりながらも可愛いふまみちゃんと過ごし幸せそう。


「あ!ふまみ?今日はお花、活けてないんだね?」「そうなの、買い忘れちゃって...」「なぁ~んだ、ふまみ?言ってくれたらオレが今日買って来たのに・・・」「うん、ありがとう」ニッコリ。


なぜだか知らないけど、口の大~きなその花瓶に引き寄せられるふたり、置いてある棚のところまで行った。

そして、ふたりしておでこをくっつけながら覗き込んだ・・・


             ら!


その瞬間、ふまみちゃんとモリオくん、花瓶に落っこちた!!?


      ヒュウーーーーーーーー!どっし~~~~~ん!!!


「えーーー!?」ふたりは目が点。

「ふまみ、ここって花瓶の...中...?だよね?」

「モリオ君・・・た、たぶん、...おしり、イテテ.....」「だいじょうぶ?ふまみ。」「はい、大丈夫です。」

          花瓶の中らしきは真っ暗闇。

束の間呆然とするふたり。

「ねぇ、あたし達ちっちゃくなっちゃったのかな?!モリオくん?」

「う~む、それか花瓶が突如と巨大化したか?」

「いったいなんなんだろう!とっても怖いわ!モリオくん...」ギュ!手探りでダーリンにしがみつくふまみちゃん。

「大丈夫だよ、オレが居るからふまみ(ギュ!)」なんとかここを脱出しようね!」

手を伸ばし、見えない中 壁...つまり花瓶の内側を探るモリオくん。「キャ!エッチ!」ぽにょん!

なんと、伸ばした手がふまみちゃんのお胸に当たってしまいました。「ご、ごめんなさい!ふまみちゃん。」ふたりはハグや口づけはしますが、それより先は・・・未経験です。


「ムー・・・」ガサゴソ... 「?モリオくん...モリオくん、なにしているの?」「座禅組んでる。」

              「ぇ」

「無になり今を突破する術を得るのさ。」ふまみちゃんは呆れています。「オーイ!オーイ!」突然すっごく大きな声で叫び始めるふまみちゃん。助けを求めて・・・も、ここはあたしのお家だから、誰にも聞こえないか...ハァ~ 絶望。でも、あきらめないわ!「たすけてー!たすけてー!!オーイ!オ~~~~~イッッッ!」

外からの反応もなければ、モリオくんの声もしません。なんにも見えない。モリオくん、どこら辺で座禅組んでるだろう? 手を伸ばすふまみちゃん。

そして呼びかけます。「モリオ・・・くん?ダーリン!どこにいるの、座禅なんかやめて抱きしめて!!」

ハッ.. 静かにばかみたいに座禅をし続けるモリオくんの背中に手が当たりました。「モリオくん、もう座禅なんかやめちゃって、ギュ!して、あたし怖いわ、さみしいわっ...」

「ふまみちゃん、ふまみちゃんがおしゃべりするから集中できない、オレ無になれないわ。」

「そんなのイイじゃない」ぶちゅ!!.. ふまみちゃんがいつになく大胆。

・・・そして・・・花瓶の中でふたりは、初めて結ばれました。

「愛してるわ...」

「オレも、好きだよふまみ...」


                パリーンッ!!


と、花瓶が割れ「ハイ、カット―!!!」監督の威勢の良い明るい声「いいね、いいね!いいね~っ・・・役名をそのまま芸名にしたのが良かったのかな。うむ!最高のラストシーンが撮れた。」

女優のふまみちゃんと俳優のモリオくんにスタッフ一同拍手喝采。

役柄だけじゃなく、プライベートでも恋人同士のふたりです。


「ねぇモリオくーん?」「ン」「今回の映画、シュールだよね。」「うむ...」

車を運転しているモリオくんもビミョーな表情。

「あ、お花、新しいのほしいわ。お花屋さんによってください、ダーリン。」「オッケ~!」

ブーン・・・


なんでこんなことに...キャハ✰



※挿し絵は「みてみん」サイトより「深雪な」様によるものです♪

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