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佐藤はB級映画よりB級グルメがいい

 要塞で一晩を過ごしパックの町に戻って来た。ギルド長はムース辺境伯領の調査準備をし、再度出発する予定だとか。


ギルド長と別れた私は先生の家に帰る。


「ただいま~元気にしているかな~?」


「ウーウ(おかえり)」


ニーチェが出迎えてくれた。


「カミーユはどうかな?」


カミーユがいるはずのリビングに行くと元気そうなカミーユがいた⋯⋯?


「カミーユよ、随分と縮んだね⋯⋯」


カミーユはニーチェサイズ(120㎝)になっていた。


「おや~シュクル~元気~?」


「あ、先生!どうしてカミーユは小さくなったんですか?!」


きっと先生のおかしな研究に使われたに違いない。家を空けた事を後悔した。


「はは~違うよ~カミーユは外にいるよ~この子はあの卵から産まれた子だよ~昨日産まれたんだ~」


「えぇぇ?!」


は?どうすれば小さいカミーユが産まれるんだ?理解が及ばない。


そういえば何故エロチェリーは先生が見せてくれた図鑑のぴんぐぅに似ていないのだろうか。この生き物は何だ?


「図鑑が間違っていたんだよ~この卵の生き物は先日シュクルに見せた挿絵の生き物じゃなかったみたい~」


北の山岳地帯に住まう数少ない魔獣があのぴんぐぅで、このミステリー卵はそのぴんぐぅに植え付けられている事が多い。他に植え付けられる魔獣が生息していないからだろう。


この卵は宿主の魔力を吸収して成長し、宿主と同じになるそうなので、図鑑の作者もぴんぐぅと間違えたに違いない。


「先生、じゃあこの卵って何なんですか?」


「わかんない~宿主と同じになれる変な生き物?」


「怖」


想像してみて欲しい。魔力を持った人間が山で遭難中、謎生物が現れ卵を植え付けられる。その人間は魔力も体力も枯渇して亡くなる代わりにその人間そっくりな生き物が産まれるのだ⋯⋯


ホラーだ⋯⋯B級映画が一本作れそうな気がする⋯⋯どんどん増殖して世界征服されそう。サブタイトルは『隣人は本当に以前の彼か?』みたいな。


「北の山岳は謎が多いからね~それぞれの部族で成り立っているから国も国交もないし~」


「ガーガー(パン)」


「うぇぇぇ?君は話せるのか?!」


驚いた事にグリフォン語?で話し始めた。


「え~?シュクルはこの子が何言ってるか分かるの~?」


「パンが食べたいそうです。以外ですね、小さいグリフォンだから肉食かと思いましたが」


肉食じゃなくて良かったかもしれない。謎の肉食生物と一つ屋根の下⋯⋯恐ろしすぎる。でもトーマス先生は不味そうだな。食べたら腹を下すだろう。


「はは~うちはパンしかないからね~」


「あぁ私が毎度買ってくるパンですか?もう少し違う物も食べた方がいいですよ」


トーマス先生は食に興味が無いので色々買って来ても食べずに腐らすのだ。だから私はパンや保存できる物しか買わない。


ちなみに先生は出不精なので毒草関連以外はあまり出かけないで怪しい研究をしている。

先程買ってきたパンをちぎって与えてみる。ぴんぐぅはパンを食べた。


「ちょっと待っていてね、魔瓜も持ってくる」


この生き物の気になる点を解決する為にも庭に出て魔瓜を収穫したい。


シュクルは急いで庭に出たら――


「お?カミーユ!元気そうだな!だがそこはトーマス先生の庭じゃなくて学校の校庭だぞ?」


随分と回復したカミーユが校庭で子供達に触られていた。


「ガガーガ(おかえりミミ)」


「カーカーカ(ただいま)」


子供達に人気の様だ。カミーユは大人しいし、人間に手を出したら狩られる事を理解しているので大丈夫だろう。触られるのが嫌なら先生の家に逃げるだろうし。


では魔瓜の収穫を進めよう。魔力を注いで魔瓜を成長させてサクサク収穫する。



「ぴんぐぅよ、この魔瓜は食べられるかい?」


ぴんぐぅはしゃりしゃりと食べ始めた。


「⋯⋯やっぱり⋯⋯この生き物は先生の影響もあるんじゃないですか?魔力吸われていましたよね?」


パンに庭の魔瓜。これが先生の主食なのだ。


「そうかも~面白いね!僕とグリフォンの子かぁ~ひまわりの種食べる~?」


ん?だとするとエロチェリーは何だ?椅子にいる精霊を見つめる。見た目はチンチラ風で蛍光ピンク。魔鹿に植え付けられていたのにクールな魔鹿らしさ皆無。だからと言ってシュクルらしさもない。


「ニーチェ、魔瓜食べてね」


「ウー(うん)」


「エロチェリー、お前は何を食べるんだ?食べている所を見た事がいないぞ?」


パンと瓜を見せたが食べない。砂糖とか食べるのか?そういえば乾燥チェリーがあったはずだ。それなら食べるのかもしれないな。


「チチ(乳)」


「⋯⋯もしやミルクか?」


まさかチチ乳言っていたのはミルクが欲しかったからか?ギルド長のスケスケエロ下着もパンツじゃなくてブラジャーの方だったし。


もう夕方になるがミルクは売っているだろうか。シュクルはひとっ走り買いに行く事にした。




「すみません、ミルクはありますか?」


「山羊のミルクならありますよ」


「ではそれを下さい。あと卵と肉と野菜を少々――」


ミルクが飲めない可能性もあるので、少しずつ色々買って試してみよう。




「へぇ~ミルクを飲むんだ~」


「そうみたいですね。驚きです」


エロチェリーはミルクを飲んでいる。だからギルド員のサラさんの胸に顔を擦りつけていたのだろう。エロではなくてミルクが欲しかったのだ。


「お腹が減っていたのか。エロ扱いしたり空腹に気づかなくてごめんな」


その後それぞれ食事をとり就寝した。ここ最近、随分と生き物が増えたな。




『ムヒヒ』


『ムフフ』


「⋯⋯?ん?何だ?」


何か音がした気がする。まぁいいか。まだ夜だし寝よう。


『ムフフ』


「⋯⋯何だ?何なんだよ!!」


シュクルはベッドから飛び出た。


「もしかしたら違うのかな?って昨日は思ったんだよ!!でもやっぱり変態精霊だったな!!私のベッドの中で何してんだよ!!どこ触ってんだよ!」


「ムヒヒ」


やはりこの淫獣は変態だった。元々ミルクが好きなのではなくて、乳が大好き過ぎでミルクも好きなのだ。


「お前カミーユに植え付けられてた卵とは別の種族だろ!北には変態精霊がいるのか?お前は私のベッドへの侵入禁止だ!」


「くぅん~(涙)」


「くぅん~じゃない!!」


やはりただの変態精霊だった。人間の何気なく感じた第一印象とは当たるものだ。

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