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佐藤竜は名前負けの典型例である

で、この精霊をどうしたらいいのだろうか。


「シュクルさん。この精霊はシュクルさんの使役精霊として登録しましょう。精霊をこのままにしてしまうと闇取引されたり秘薬の原料にされたりする可能性があります」


珍しい精霊は高値で取引され、昔から長寿の薬だの病気が治るだの言われて殺されてきたそうな。

そんな事言われたら断れないじゃないか⋯⋯


「⋯⋯わかりました⋯⋯」


「シュクルさん、この子の名前はどうしますか?」


「じゃがいもで」


「⋯⋯名前は?」


名は体を表す。佐藤は竜という名前だったが、完全に名前負けした。

名前には親や飼い主の希望も詰まっているはずだ。是非ともエロ淫獣には真面目で実直な精霊になって欲しい。 それにはどんな名前がいいだろうか。


「モモちゃんがいいんじゃない?」


「え?サラさん、それ駄目ですよ?桃なんて完全に尻です。ももは太ももみたいだし、エロ精霊まっしぐらネームですよ。ゴボウとかでいいんです。脇道に逸れず真っすぐに根を張る感じがいい」


「くぅん⋯⋯」


「ゴボウなんて嫌だって言ってるわよ?ピンクなのだから可愛いクッキーちゃんとか、ルビーちゃんとか、チェリーちゃんがいいわよ」


「チッチッ!」


「あ、シュクルさん聞いた?チェリーちゃんがいいって」


「お前⋯⋯やっぱり⋯⋯」


やはりシュクルがチェリーの種で狩りまくったオヤジ達の呪いだ。大量のオヤジ達の怨念が一致団結し、精霊となりシュクルを長期に渡ってセクハラするつもりなのだ。


ふとタンデム三角木馬で売られてイクおっさん達の後ろ姿が脳裏に浮かんだ。次はパンイチ・デス・マラソン中に少し黄ばんだパンツを見られたくないのか、内股で走るおっさんの虚しい横顔、結構恥ずかしいパンツを身に着けていたおっさんを仲間達が蔑む目線、ギルドに引き渡す際、ギルド員が知り合いだったのか変顔でごまかそうとしたおっさんの切なさ⋯⋯


「⋯⋯チェリーでお願いします⋯⋯」


因果応報ならぬ淫が応報。シュクルは応じる事にした。




「シュクル~朝から何してるの~?」


「あ、ギルド長、実は淫獣が私の使役精霊になりまして」


「精霊?すごいわね~子供って一匹ペットを飼うと、二匹目も欲しくなるのよね~うちの弟もスレイプニルの次は犬を欲しがってね~普通の犬じゃ弟を怖がっちゃうからブラックドッグにしたのよ~」


「?黒い犬ですか?犬もいいですね」




ついつい話し込んでしまい、気づいたらもうお昼になっていた。

折角ギルド長と会えたので今後の予定を食事を共にしながら確認する。 南への出発はカミーユの回復にもよるが、来週辺りになりそうだ。


「じゃあシュクルは時間あるわね~行きましょ~」


「えぇ?どこへ?!」


久しぶりにギルド長に拉致られた。


「ギルド長、私達は何処へ行くのですか?」


「シュクルは熊をどう思う~?強いかしら~?」


熊?そりゃ強いだろう。日本国内だったら最強じゃないか?でもなぁ~ギルド長はきっと虎が最強だって言うよなぁ。


「強いとは思いますが、獣王の方が断然強いですよね?」


「そうよ~だからシュクルはとりあえず熊の巣穴から食料を奪って来てね~」


「⋯⋯何それ?」


また命がけの任務が始まったようだ。無事に帰れるといいな⋯⋯




「ここよ~」


ギルド長の怪しい馬車に揺られること数時間。目的の熊の巣穴にたどり着いたみたいだ。すでに辺りは日が落ち薄暗くなっている。


「へぇ~巣穴ですか?これが?」


石造りの要塞が目の前にそびえ立っていた。巣穴とは先日トーマス先生とフラコンの花の採集に行った時に入った洞窟みたいな所を想像していたのだがな。


「そうよ~熊は弱っちいからこんな洞穴みたいな所に潜ってるのよ~私たちは最強の獣王だからこんな石コロで出来た小屋は歯牙にも掛けないわ~」


どこかで聞いたようなセリフだな⋯⋯まさかこの後は⋯⋯


「じゃあ私は探る所があるから~シュクルは食料ね~じゃあ行くわよ~!」


「ちょっと!今の時間ってむしろ一日で一番活気がある時間ですって!夜まで待ちましょうよ!!あ~~~行っちゃった⋯⋯私も行って来るからエロチェリーはここにいろよ」


「⋯⋯チチ(乳)」


「乳?お前⋯⋯」 


シュクルは気を取り直し、気配を消して要塞の裏側に進む。目指すは食糧庫だ。


「今まさに夕食の準備の時間じゃないか?もっとも狙ってはいけない時間だろ?いや、むしろ忙しくて目につかないか?」


シュクルは自分の着ている服を見下ろす。ギルド長に渡された熊の戦闘服兼パジャマだ⋯⋯だがこれは挑発していると捉えられないか?


もしゴリマッチョな熊獣人に捕まって、可愛いうさぎ獣人シュクルをそのまま厨房で調理なんて事になったらどうしょう⋯⋯怖い⋯⋯クマよけのスプレーや鈴とか欲しい。


ふと自分の右手を見つめる。そこにはギルド長に渡された今日の武器、オルゴールがあった。


「こんな武器で熊相手に何が出来るんだ⋯⋯?」


でもやるしかないのだ。

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