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佐藤は深夜の謎なテンションでいらぬ物を購入してしまった

「ルベルさんはいらっしゃいますか~?」


シュクルはパックの町にある大工のルベルさんの所に行った。


「こんにちはシュクルちゃん。うちの旦那に用かい?」


ルベルさんの奥様が店番をしていた。ルベルさんは大工として建築も行うが、それ以外は木工職人もしていて、そのお店は奥様が店番をしている。


「家の再建について相談がありまして」


「そうかい。じゃあ旦那呼んでくるね」


店内を見て回ると棚やテーブル、椅子などが所狭しと並んでいた。これを一つ一つ手作業で作っていると思うとその労働量に圧倒される。機械による大量生産とは違った温かみがある気もする。


しばらくするとルベルさんがやってきた。


「男爵の所の子かい?どうした?」


「男爵家の第三子シュクルです。あのですね――」


ルベルさんに再建について相談する。すると⋯⋯


「費用関係は商業ギルドに聞いてくれ。それと少しでも費用を安く抑えたいなら自分たちで木を森から入手すればいいぞ。それで木の切り出し費用は浮くからな」


「ほう」


この世界の銀行とは商業ギルドが賄っているのだろうか。それなら費用関係はそちらに相談だな。


今から森で良さそうな木を切り出して庭に並べて置くか。木材の乾燥には時間が掛かるからすぐに行った方がいいよな。その分費用が抑えられるのならするしかない。


シュクルはルベルさんにお礼を言って実家近くの森へ向かった。


「おぉ~愛用の薪割り斧が物置にあってよかった~」


森の中でも特に真っすぐに伸びていて、幹の太い木を選び斧を振る。


「確か斧で木を切る速さを競う大会あったよな?シュクルなら優勝間違いないだろうな~」


――ガッ――ガッ――ガッ――ガッ――バキバキ――


「次」


切り倒した木を運ぶのに邪魔な枝を軽く落とし、丸太を引っ張って物置付近に並べる。とりあえず十本ほど用意した。


この世界の家は基本的に小石をセメントみたいな物で混ぜ固めた石造りだ。木は柱や梁、窓枠、床などに使う。シュクルは専門家ではないのでどれくらい使うかはわからないが、これ以上は作業場の邪魔になりそうなので、これで十分だろう。ついでに我が家の畑をモコモコ耕して魔力も混ぜ込んでおこう。父だけじゃ大変だからな。


家族と過ごす日々が少ない分、私も少しは役に立ちたいのだ。 


そして商業ギルドへ向かい、住宅ローンの話を聞いて家族の元へ戻り、無事に家を再建をする運びとなった。



「ただいま~ニーチェ、カミーユの調子はどう?」

「ウウーー(いいよ)」


カミーユは寝ている様だ。きっと体力がまだ無いのだろう。そっとしておこう。


トーマス先生の家の庭に出て魔瓜の前に立ち魔力を注ぐ。魔瓜はグングンと成長するので実った魔瓜を収穫し、ニーチェに与える。森の緑がまだ少なく、売られている野菜もないので魔瓜だけで我慢になってしまうが、ニーチェは文句ひとつ言わない良いドラゴンだ。


シュクルは買ってきたパンに蜂蜜やジャムを塗って食べ、ついでに魔瓜も食べた。今日も疲れたので水魔法で全身丸洗いして蒸発させ、早めに床に入った。




『ムヒヒ』


『ムフフ』


「⋯⋯?ん?何だ?」


何か音がした気がする。まぁいいか。まだ夜だし寝よう。


『ムフフ』


「⋯⋯何だ?何なんだよ!!」


シュクルはベッドから飛び出た。


「マジで昨日からおかしいと思ったんだよ!!何かいるだろ!!私のベッドの中!!」


急な動作と驚きで心臓がはち切れそうな程だが一気に布団をはぎ取る。


すると ――


「また卵だ!!何で?どうして?」


手足が生えている訳でもないのに、どうやってシュクルの布団に入って来たんだろうか。怖い⋯⋯


「怖いけど確認しなきゃな。安眠できないし」


ベッドの上にある卵に近づき観察する。見た感じはただの卵に見えるのだが⋯⋯


「割ってみようかな?でもな⋯⋯ニーチェの件もあるし、ピータンみたいな物が出たら精神的にクルよな⋯⋯」


卵を恐る恐る手に取り、よく見て見ると何故か殻にヒビが入っていた。


そのヒビはくるりと一回りしており、不自然極まりなかった。


「左右に引っ張ってみるか?そしたら何が出て来るんだ?中の卵を食べていた蛇とか出たらどうしょう⋯⋯」


やはり怖いから明日の昼に割ってみよう。夜は怖さが倍増する。夜に怖い話とかネットショッピングはしてはいけない。後々後悔するのだ。


シュクルは卵を浴槽に入れてドアを閉めた。これで大丈夫だろう。


そしてまたベッドに戻り朝まで寝たのだった。

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