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佐藤はワンダーフォーゲル部にいそうな顔だと言われた

 事情を知った私はギルドに戻りニーチェにポワールと荷台を持ってトーマス先生の元に行った。


一応は貴族である先生の家には、厩があるのだ。先ほどギルドで買った藁と水をあげてブラシをかけ、長旅をよく頑張ったご褒美にリンゴと角砂糖を一つあげる。 ポワールは一頭で南から北まで横断したのだからよく働いたと思う。

大量な荷物を積んだ荷台も必要な物以外は屋根のある厩の横に置く。


「先生こんにちは~!」


いつも通りの薬草臭い家に勝手に入ると、エントランス横の裸婦彫刻にコートをかけ、バッグや傘類は彫刻の腕に下げる。そうしていると奥からいつもの変なおっさんが沸いて出てきた。


「やあ!シュクルじゃないか~さすがだね!」


「⋯⋯何がですか?」


このやり取り⋯⋯嫌な予感しかない。


「明日から採集に行くよ~雪解けに咲くフラコンの花を採りにね~」


「フラコンの花ですか?へぇ~きっと可愛らしい花なんでしょうね」


雪解けに咲く花⋯⋯雪みたいに白くて儚そうだ。そんな素敵体験もたまにはいいかもしれない。 最近はマジでパンイチおじさんのオンパレードだったからな。浄化が必要だ。


「冬眠明けの動物を食らう可愛いくて白い肉食植物だよ!可憐で強力な消化液で動物を儚く溶かして栄養にするんだ~驚きでしょ?」


「⋯⋯確かに驚きました。先生の感性に」


これは浄化じゃなくて消化されかねない。


次の朝、先生とフラコンの花の採集に出かけたのだった。


ポワールに多めの餌と水を与える。ニーチェは寒いのが苦手みたいであまり動かないので、先生の家の中にきゅうりやサラダを置いてお留守番する事になった。


「行ってきますねニーチェ」

「ウー(うん)」


シュクルはギルド長にもらった戦闘服、熊の着ぐるみ風パジャマを着てバッグを背負って行く。


「先生はいつもの服で行くんですか?」


いつものカーテン巻き巻きした様なローマ人服に布を重ねていた。雪山を舐め過ぎじゃなかろうか。


「採集だからね~着慣れた服の方がいいでしょ?」


おい、そりゃ遠足とか運動会の時に ⋯⋯


『よい子のみなさんは履きなれた靴で行きましょうね~』

『は~い!』


とか言われるけど、この状況は――


『おじさんは着慣れた普段着で雪山を登りましょうね~』

『先生!我々は凍死しませんか?』

『は~い!』


だろ?でもトーマス先生は変人だしな⋯⋯まぁいいか。


「では行こう!」


心配しかないが二人はフラコンの花の採集に出発した。


「雪がまだ大分残ってますね。つま先が痛くなってきましたよ。雪溶けの水が靴の中に入ってしまったのかも⋯⋯」


いつもの森歩き用ブーツで来たが雪用ではないので水が染みてきてしまったみたいだ。地味に辛い。


「魔法で乾かせばいいよ~寒ければ火魔法で暖をとればいいし~」


「えぇ?先生火属性持ちですか?」


たまに植物に水を撒いているので水の適正と植物魔法を使っているから土かな?と思っていたのだが。火もだとは。いいな⋯⋯火魔法があればその場でもぎたてキノコをこんがりと焼いたり、冷えたお弁当を電子レンジ感覚で温めたりできそう。火加減を押さえて風魔法とミックスして布団乾燥機もいいな~お風呂を沸かしたりも⋯⋯


「違うよ~火の魔石を使うんだよ~」

「あぁ!なるほど!」


火の魔力が込められた魔石。魔石はピンキリだがそれなりに高い。シュクルは買った事が無いのでその発想がなかった。


「でもさ~シュクルは火属性の魔獣を食べれば火魔法も使える様になるんじゃない~?試してみようよ!」


「うーん、そんなに上手くいきますかね?」



先生はいい場所があるといい、雪が残る山を登り始めた。普段運動していなそうな癖して山歩きが上手い。雪山を歩くローマ人⋯⋯何だか雪山の仙人みたいだな。


「ここだよ~」

「え⋯⋯こういう所嫌いなんですよね⋯⋯」


雪山にぽっかりと口を開けた洞窟の入り口。嫌な予感しかない。


「行こう~」

「うぅぅ⋯⋯絶対コウモリアタックが来ますよ。怪しいゲジゲジとか巨蜘蛛とか!」


トーマス先生って結構メンタル最強な気がする。怖い物とかないのだろうか。すいすいと進んで行く先生に置いて行かれないよう必死に歩く。上から背中や耳にポトリと何かが入ったら怖いのでしっかりと侵入経路をフードで塞ぐ。フードの紐も暇なアホ小学生並みに最大限に引っ張って結ぶ。もはや目しか出ていない。


「あれ火属性だよ~食べようか」


「うぇ⋯⋯絶対に嫌です。先生は食べれるんですか?」


大きな赤いムカデだ。顎が剪定ばさみ並みなのだが?こんな生き物がこの世にいたのか。知らなかった。帰りたい。


「あ~シュクル~あの節足魔虫がこっちに気づいたよ?」


「えぇぇぇ?!ウギャ――!!」

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