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佐藤はこの世界に順応している

「次期獣王よ、では後日農場を確認し栽培を進めさせていただきます。本当に良かったですよ。売り手の付かないこの家も手放せて、具合の良い農場を手に出来ましたからね」


「みんなが幸せになれたのですから良かったです」


騎士団では時として犯罪者に薬物や自白剤を使うそうだ。これは表には出ない第三騎士団内の公然の秘密で、大麻みたいな植物が原料になる。一応禁止薬物である麻薬に騎士団の予算を割ける訳もなく、帳簿をちょろまかして購入するか、予算をかけずに自分らで栽培するしかない。だが勿論、騎士団の帳簿関係の監査は厳しく、騎士団が隠れて大麻栽培など出来る訳はないので裏社会の人間に頼むのだ。


今回手に入れたニーナさんの家と農場は人通りもなく、かなり孤立した場所だ。畑はよく管理されていて水分を含み日辺りも良いので大麻の栽培に適している。


そして農場で収穫出来た大麻の八割を裏社会に、二割を諜報員を通して騎士団に献上する。その代わり騎士団はこの農場に対し捜査もしないし、通報されてもスルーするので裏社会の人間は安心して栽培できるのだ。


『シュクルも獣王になるのだから~自分のテリトリーを作ったり~裏社会との関わりを強固にして信頼を勝ち取るべしよ~』


シュクルはきちんとギルド長の教えの通りに動くよい子なのだ。




「さてと、あの六人の持ち物も売りに行きますかね~」


六人の衣類は水魔法でよく洗い古着屋に売る。この世界で古着は一般的だ。


そして金目な物、剣や装飾品は少しでも磨いて綺麗にしてから数店舗周り、一番高値を付けた店で売る。


「この短剣は使えるから私の物にしよう。この新品のパンツもいいな。男物だけど別にバレないだろう」


売ったお金の大半をギルドに預けポワールと荷台を迎えに行き、買い込んだ食料とニーチェを荷台に乗せて出発する。


こうしてまたゆっくりと北へ向かう旅に戻るのだった。




 ギルドはギルド同士で連絡を取り合うものだ。久しぶりにパックのギルドに顔を出したセリーヌは、副ギルド長であるサムソンから近状の報告を受ける。


「何故か南のギルドから次々にお礼が届くんです。ここパックのギルド所属の者が次々に強盗、人ざらい犯を捕まえながら北上しているみたいですね」


「まぁ!犯罪者トラッパーね~さすがだわ~」


「⋯⋯それと今年は雪での被害が多かったです。家屋が雪の重みで倒壊したり、街道を荷馬車が通れなくなり、生活必需品が届かなくなるのが通常より早く、そして再開が遅くなりました」


「それは大変な事だわ~」


パックを管理しているシュクルのご両親は対応に追われたはずだ。多分その頃シュクルは水の女神をしていた頃だったかもしれない。


「女神のご加護はここまで届かなかったのかしら~シュクルは今どこにいるのかしらね~?」


その頃シュクルは――

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