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佐藤も隠し扉やカラクリ引き出しに憧れたが、そもそも隠すものがない。

「ただいま~あれ?ギルド長はもう戻っていたんですね。遅くなると思いましたが」


家に戻るとギルド長はすでに晩酌しながらくつろいでいた。


「遅かったわね~お帰り~シュクルもニーチェもお疲れ様~お腹減ったんじゃない?」


どうやら船の摘発が一番時間のかかった捕り物だったらしい。湾に戻るまでに時間がかかったからな。

それに船員の拘束を一人でしなくてはならなかったのも大きい。マジでサバンは何だったんだ?


「あ~もうお腹パンパンです。お腹がフルーツポンチですよ。ニーチェはカブではち切れんばかりですね」


「あら~いいわね。モヴェーズ商会の商船の方はつつがなく終わったのかしら~?」


「想像以上にサバンが使えなかったです。魔術師団や騎士団、ギルド長の方はどうでしたか?」


ギルド長達は船舶協会の会長兼騎士養成校の理事長とその関係者をすんなり捕まえたそうだ。


そして魔術師団はモヴェーズ商会と自宅を包囲し関係者を拘束。騎士団は罪を犯した海上警備兵と船舶協会員の拘束をものの数分で終えたらしい。


ここからは魔術師団と騎士団による取り調べとなるのでギルド長は帰って来たらしい。

果たしてどんな取り調べ方法なのだろうか。どちらも想像するだけで恐ろしい。寒気がして体を擦ると、お腹にカサリカサする物があるのを思い出した。


「あ!そうだ、見てくださいこれ!偶然怪しい書類を見つけてしまったんですよ。かなり巧妙に隠されていたんです。おかげで私達のお腹がパンパンになって大変でした!ふ~ぅ」


「まぁ~!書類?それとも手紙?何かしら~?どれどれ?⋯⋯」


「「⋯⋯⋯⋯⋯」」


あ、この書類は⋯⋯⋯


「シュクル~お手柄よ!さすが未来の獣王だわ~!少々面倒臭いけれども、急いで騎士団に渡してくるわ~」


「⋯⋯⋯はい」


この捕り物の裏は魔物の違法輸出や奴隷売買、危険な化粧品や医薬品の輸入だけではなかった。



――王都第三騎士団臨時詰所――


シュクルが超重要書類を見つけてきたので第三騎士団団長のボリスに直接届けなくてはならない。


「ボリスちょっといい~?」


「何だセリーヌ、今日は忙しいんだがな。で、何だ?」


「この書類すぐに確認して~」


この書類は私も驚いたわ~


「治験用奴隷売買書?治験だと?こちらの手紙はこの国の貴族からテクノポリス皇国の貴族宛?それにモヴェーズ商会の商品を購入した我が国の貴族家のリスト⋯⋯⋯」


「どうも最近テクノポリス皇国で売り上げを上げている医薬化粧品会社に治験奴隷と魔獣を売ってるみたいね~」


この書類で会社名が特定できた。 騎士団も魔術師団も奴隷や魔獣の取引先を調べていたけど、テクノポリス皇国に輸出してからの販売ルートがなかなか掴めなかったのだ。

モヴェーズ商会の人間も奴隷や魔獣の輸出は知っていてもその後については知らない様で現在取り調べが進まない状況。どうやら極々限られた人物しか知らされていない情報だと思われる。


「我が国で売り出されているモヴェーズ商会の商品に魔獣由来の毒が混入しているが、この会社を探れば一体何が目的なのかわかりそうだな。すぐに別働班に連絡してテクノポリス皇国に諜報員を送り探らせよう。またよく見つけたな?第三も血眼になって探してたんだぞ」


「私の跡継ぎになる獣王の子よ~あげないわよ~」


「⋯⋯⋯」




疲れたわね~さて帰りましょう~あ、そういえば⋯⋯⋯


「そこのあなた~ちょっと聞きたいのだけれど~サバン見た?モヴェーズ商会の船に乗っていたはずよ~?」


「あ!あ⋯⋯⋯そうですね。いらっしゃいましたが⋯⋯⋯その、サバン魔術師は潜入奴隷生活中に大変な、尊厳を失う奴隷任務?で腰を痛めたらしく⋯⋯今は救護室で寝ていらっしゃいます」


「ん?そうなの~?」


そういえばシュクルが言ってたわね『ユーゴがヘッピリ腰で檻を斜めに持って、魔獣の糞尿まみれになったんですよ!あの人アホですよ!』って。

――ピン――

私の面白アンテナがこれは絶対笑えるぞって反応したわ~救護室行きましょ~


「どこかしら救護室~あそこかしらね~?ん?」


救護室の外で医療騎士と女性騎士が何やらコソコソ話しているわ~こういう時は気配を消して情報収集ならぬ盗み聞きよ~


「ねぇ聞いた?サバン魔術師!気を失うまで船のトイレで奉仕させられていたらしいのよ。きっと奴隷生活中も相当酷い目に合っていたのね」


「聞いたわ。その⋯⋯排泄物?そういったプレイを強要されてたんでしょ?服が酷かったわ」


「腰も痛めているのよね。随分とやつれしまって。仕事の為だとは言え凄いわね⋯⋯仕事の鬼ね」


嘘~?!超面白いわ~!いい噂聞いちゃった~これは誰かに話したくなるわね!


任務遂行の為に体も自尊心も国に捧げるサバンの武勇伝は、騎士団だけでなく魔術師界隈にも広まった。だが人々に称えられている反面、女性達はサバンを結婚可能な男性カテゴリーから外した。

女性の噂は怖いのだ。

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