佐藤はふれあい動物コーナーが大好きだ。
私は今、アベル先生がゆっくりと手綱を引いてくれているポニーに跨っている。本来であればメッチャ楽しい状況だが、先ほどから物陰に隠れて私を監視する数名の目線を一身に受けているので全く楽しめない。
かなり覗き魔の正体が気になるので、私は少し魔力を使い五感を強める。
「ヒヒヒッ」
「プッキーどうした?急に止まって何かあったか?」
おっぷ、馬は敏感だな。乗馬しながらの魔力操作は止めよう。だが元々高感度な我が耳からの情報を精査すると、監視している奴らは数名いる。何を話しているのかまではわからないが、話し声が低いので大人の男性達だろう。
騎士学校の校内にまで入り込んで私を監視しているなど普通ではない。早めにギルド長に連絡するべきだな。
「早くお前も一人で馬に乗れるようになるといいな。そういえばカイザーは魔法は使えるのか?」
「うーん魔力はありますけど、それほど魔法訓練はしていませんよ」
「お!魔力持ち!じゃあさ個人的にお願いがあるんだよ。放課後ちょっと時間あるか?」
放課後になった。アベル先生に頼み込まれて指定された運動場脇にまでやって来た。
「この武器保管庫の奥にあるんだ。一緒に入ってくれ」
「はい」
薄暗い保管庫の中に保管されている練習用の武器などを避けながら進む。学生の頃嗅いだ体育倉庫室の匂いを思い出すな。所であの匂いは一体何から発せられているのだ?
「ほら見てくれ。これなんだが、どう思う?」
「えぇ?!凄い、大きいですね。これは僕には無理ですよ!」
「そう言わずに試してみてくれよ。俺はずっとこの瞬間を待ってたんだよ。楽しみにしてたんだから、とりあえず少しでも弄ってみてくれよ」
「少しだけですよ?えぇ?どこを触ればいいんですか?掴むのかな?こんなの始めてでわかりません!経験ないし⋯⋯」
「大丈夫だ。慣れれば怖いもんじゃない。一度ぶっ放せば癖になるさ!さあ!」
「本当ですか?⋯⋯ちょっと怖いですけど、じゃあ少しだけ⋯⋯」
「ゴラァ!!!クソ教師が可愛い子に何してんだよ!!」
「エロい事してんじゃねぇだろうな?!こんな怪しい所に可愛い子連れ込みやがって!」
「見損なったぜ!アベルのエロ教師!可愛い子を解放しろ!」
「「はぁ?!」」
今朝プレゼントをくれた先輩達が突然怒りながら流れ込んで来た。
「おい、見ろよ!可愛い子がポニーに乗ってるぜ!」
「可愛いな~だがアベルが邪魔だな。あいつは何で可愛い子にベッタリしてんだよ?」
俺達は可愛い子が危険に合わねぇ様に陰から監視している。教室で着席して学ぶ学科に危険は無いだろうが、外での訓練は危険だろう。今は乗馬の時間だが何故か担任のアベルが可愛い子にだけ特別扱いをしているぞ。
「アベルって独身だよな?まさか⋯⋯ねぇよな?」
「⋯⋯わからねぇ。だが彼女もいなそうだぞ?筋肉とか訓練とかが趣味な変人だが⋯⋯まさか⋯⋯」
俺達は可愛い子の担任アベルを危険人物一号と認定した。
可愛い子の下校時は危険が一杯だろう。ヤベェ野郎が可愛い子の尾行をしやがったり、誰もいない空き教室に連れ込んだりするかもしれねぇ。 想像しただけで胸が痛む。
きちんと家まで見届けなくてはな。
「あ?可愛い子が出口と反対方向へ行くぞ?どこ行くんだよ」
「訓練場か?可愛い子が一人で訓練でもするんか?あんな泥臭い場所は危険過ぎるぞ!」
「おい!見ろ!アベルの野郎だぜ!可愛い子と落ち合った。どこ行くんだよ!」
なんと俺達が危険と見なしたアベルが可愛い子と二人きりで保管庫へと入って行った。
「やべぇぞ!ジェロームどうする?!」
「アベルが黒と決まったわけじゃねぇが、可愛い子に何かあってからじゃ遅ぇ。ここは俺達が助けに行く!お前ら気配を消して中に行くぞ!」
アベルに気づかれない様に保管庫に入って二人に近づく⋯⋯
『ほら見てくれ。これなんだが、どう思う?(ハァハァ)』
『えぇ?!凄い、大きいですね。これは僕には無理ですよ!(うぇーん(涙))』
『そう言わずに試してみてくれよ。俺はずっとこの瞬間を待ってたんだよ。楽しみにしてたんだから、とりあえず少しでも弄ってみてくれよ。(ハァハァ~)』
『少しだけですよ?えぇ?どこを触ればいいんですか?掴むのかな?こんなの始めてでわかりません!経験ないし⋯⋯(ぴえーん(大涙))』
『大丈夫だ。慣れれば怖いもんじゃない。一度ぶっ放せば癖になるさ!さあ!(ハアハアハアハア!!)』
『本当ですか?⋯⋯じゃあ少しだけ⋯⋯(うぅぅぅぅうぇーん(大泣き))』
俺は仲間達と目で確認し合う。これは黒だろ?完全なる真っ黒だ。
アベルめ!ぜってぇ許されねぇ!お前ら行くぞ!
「ゴラァ!!!クソ教師が可愛い子に何してんだよ!!」
「エロい事してんじゃねぇだろうな?!こんな所に可愛い子連れ込みやがって!」
「見損なったぜ!アベル!この変態教師が!」
「「はぁ?!」」
助けに出た俺らの前には驚いた顔をした可愛い子とアベル、なぜか二人の間には大きな大砲があった。




