佐藤とプッキーとストーカー
「カイザー君、次は乗馬だよ。早く着替えなくちゃね!馬場は少し遠いいんだよ」
「乗馬?!どうしょう?俺経験無いよ」
次の授業はなんと乗馬だった。マジで一度も経験がないが大丈夫だろうか。ん?そういえばこの間ロバに乗ったな。あれはすっごい間抜けな絵面だった。しかも一歩も歩いてくれなかったのだ。
白いシャツに黒いパンツを履いて馬場に向かう。午前のあたたかな太陽を浴びると幸せを感じてしまう。なぜなら私の心のどこかで『ケケケ~全国の社畜よ終日デスクワークでこの素晴らしい太陽光を浴びれないのだろう?拝めるのは朝日か月だけだもんな~羨ましいか?ケケケケ~』と思ってしまうのだ。
厩舎に着くとそこには当たり前だが馬がいた。私が想像した馬とは違い色々な大きさの馬がいる。超小さいポニーみたいな子に、大きい馬は佐藤でも見た事もないほど大きいく、足もすごく太い北海道にいそうな馬だ。
「カイザー君は初めてだよね?だったらこのポニーがいいよ。名前はプッキーちゃん」
「プッキーちゃん?可愛い名前だな。よろしくねプッキーちゃん?」
「ブブブー」
クラスメイトが馬に乗ってるのに私はポニーに乗るのか~ちょっと恥ずかしいなぁ。
「この手綱を持ってね。馬場へ行こう」
「分かった」
クラスメイトが馬に乗って軽く走らせているのを眺める。初心者の私はプッキーちゃんに触れたり餌を上げたりして信頼関係を築く。なにコレ超癒されるんですけど。ふれあい牧場に来たみたいだ。
「カイザー!じゃあ鞍を装着してみような。今日は先生が手綱を引くから安心しろよ!」
「はい。ん?何故か視線を感じる⋯⋯誰だ私を監視しているのは?」
――昨日の放課後――
「おい、お前一年だろ?お前のクラスに新入りいるよな?名前何てんだよ?」
「え、は、はい。カイザー君ですか?彼が何か⋯⋯?」
「カイザーって名か。そいつはどんなヤツなんだよ?何かあんだろ?好きな物とかよ?趣味とかよ?」
「す、すみません!まだ話した事がなくて、わかりません!」
「そうかよ。まぁ仕方ねえな」
俺はジェローム・モヴェーズだ。この辺りじゃ一番デカい商会をやってる家の三男だ。俺は兄貴達と違って頭も悪いし、客に対して丁寧な対応も出来ねぇから騎士になる事にした。元々体もでけぇし、顔も怖いから適職だろう。
このアテナの町はこの国の南に位置している暑い地方だからみんなこんがり日焼けをしていて、割とガサツで楽天的なヤツが多い。女も力持ちで男勝りだ。
俺の家はそれなりに裕福だから昔から欲しい物は何でも手に入った。だからだろうか?俺の周りには無い繊細そうで可愛い物に興味が沸いてしまったのは。
「可愛い子には何をすればいいんだ?」
俺は友人のキャスに聞いてみる。
「うちのババァがよく言ってるぜ!可愛い子は愛でてやって、趣味がいい送り物をするんだってな!そうすれば仲良くなれるらしいぞ」
「そうか。じゃあ明日は何か送り物をするかな」
今日のお昼を思い出す。見た事も無いほど可愛い子が俺達が渡したフルーツを幸せそうにモグモグしていたのを⋯⋯
「しかしここらじゃ見かけねぇ可愛い子だったな。色白だし獣人だから北から来たのか?」
「さあな。だがうさぎ獣人だよな?うさぎ獣人は人気の高い愛玩獣人だって聞いた事があるが、本当に騎士になれるのか?汚ねぇ騎士にイタズラされちまうんじゃねえか?」
「やべぇな」
あんな可愛いだけでも危険なのにか弱かったら変態上司に何をされるかわかったもんじゃねぇ。騎士は男世帯だから同性でも危険だ。
「強くしてやらねぇとだな。だが腕っぷしで敵わねぇなら頭で勝てる騎士にしてやるべきか?」
「そうだな。じゃあ滅茶元気になるって噂のはちみつでも食わせるか。それと勉強道具だな」
――翌朝――
「上手く渡せたな。キャス、今どんな様子だ?」
ドアの隙間から可愛い子を盗み見る。送り物への反応が知りたい。
「ジェローム見て見ろ!はちみつ瓶をほっぺでスリスリしてるぞ!!可愛いな~!!」
「はちみつであんなに喜んでくれんのか!なんていい子なんだ!くはぁ~可愛いな!」
はちみちは確かにそれなりの値段だが、女が欲しがる貴金属なんかと比べれば何て事はない値段だ。それであそこまで喜んでくれるなんて⋯⋯何故だか胸がドキドキする。
「クソぅキャス、あんなに可愛い子じゃこの校内も危険じゃねぇか?」
「確かにヤベぇ。俺達が守らねぇとな」
俺達は可愛い子を見守る事にした。




