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佐藤が選ぶ栗はすべて幼虫入り

「シュクル~一緒に学校に行こう?シュクルはとっても運がいいね!今日は秋の味覚狩りの日だよ!」


「おぉ?何それ美味しそう!」


昨日は散々な目にあったが今日はいい一日になりそうだぞ!


私は久しぶりにクラリスと学校に登校する。今朝のノエルは少し体調が悪いので欠席だ。だが安心して寝ているがよい!私が根こそぎ秋の味覚を狩って帰るからな!それを食べたら元気百倍ビンビンさ!


昨日我が家族とドキドキの初対面をさせたニーチェは以外にも家族から怖がられず、むしろ可愛がられている。今日は父がニーチェと一緒に畑の雑草取りをするそうだ。


「今日は学校裏の森に行くんだよ。そこに沢山キノコとか栗の木もあって、一杯集めると沢山食べられるよ。私すごく楽しみにしてたの。だからシュクルが今日学校に来られてすごく嬉しいよ!」


「いえいえ、クラリスが呼べば私どこへでも参ります。クラリスが嬉しいと私はその三倍嬉しいです」


クラリスの屈託のない笑みに癒される。最近は本当に薄汚いおっさんばっかりの相手だったからな。まぁ伯爵は美形だったけどその反面、腹が真っ黒く汚れていた。


クラリスのおかげで日々の汚れが浄化できた。天使健在。銀色の髪が朝日を反射して光り輝ているぞ。後光が――


「シュクル~シュクル~これ昨日忘れて帰ったでしょ~?」


「⋯⋯トーマス先生が私を現実に連れ戻す⋯⋯おはようございます。私何か忘れて帰りましたか?」


「うん。これね、新しい白布だよ~シュクルも成長したから少し長めのにしたよ~五枚あるからね~それとこれ、よろしく~じゃあね~」


「えぇ?」


前にもらった白布は毎日使い、疲れ果ててしまって雑巾になったので新しい白布は正直嬉しい。それとこの紙切れは何だ?何が書かれているのか確認しよう。


「うん?マンドレイクに肉食系魔植物?マッシュルーム?リップス系魔植物?絵や特徴も書いてある。何だ採集リストか?」


⋯⋯これを楽しい学校行事である秋の味覚狩りで集めろと?もしかして白布が賄賂だったのか?前払い料金なのか?貰ってしまった時点で交渉成立?この世界で布類は結構高価なのだ。


楽しい学校行事から一転、危険な魔植物採集になってしまった。




「では筋肉が未発達な人物はあまり遠くへ行ってはいけないぞ!先生達がいる辺りで足を鍛えつつ、栗やきのこを集めるんだ!スクワットの要領だぞ!!」


「「「「⋯⋯はーい」」」」


気配を消し、一人スタートダッシュで森の奥深い所へと向かう。辺りを見回して怪しい見た目の植物を集め白布に包む。だがリストにある魔植物が実際にどんな大きさなのか皆目見当もつかない。先生の絵は白黒で小さい。


「マンドレイクって確か抜くと叫び声を出して、聞いた人は死ぬと聞いたことがある。嫌だな⋯⋯でも先生は根っこをご所望か」


マンドレイクの葉は濃い緑の双子葉類で花は紫だと書いてある。うむ。あれだろうか?予想を覆す可愛さだぞ?よくわからないけど、この際間違えてもいいよな。でもどうやって抜くんだ?


「困ったな。私は耳がいい。耳を塞いでも絶対に聞こえる自信がある」


棒で掘り起こしても距離はさほど稼げない。土魔法はどうだろうか?でも見える範囲で操作をしなくてはならないな。それくらいの距離なら叫び声が聞こえるだろう。


実に面倒だが私はそばに生えている蔦植物をロープ代わりにすることにした。

蔦と蔦を結び長い蔦ロープ作り、それをマンドレイクの茎と根の間辺りに巻き付ける。そして耳を塞いで遠くから蔦を引っ張る。


「う~怖いが行くぞ!えい!⋯⋯?」


無音でマンドレイクが抜けた。恐る恐る近づき根を確認しても、変わった所などない普通の根っこだった。


「これ本当にマンドレイクか?まぁいいや」


これも白布に包む。次はマッシュルームの採集にするか。


「何なに?森を歩く赤いマッシュルーム?そんなの本当にいるの?それ妖精か小人だろ?」


小さい頃から森で過ごしているが歩くきのこなんて見た事ないぞ?擬態が上手いのか、逃げるのが速いのかな。とりあえず森の中の赤色は目立つので静かに集中して赤を探す。


「いない。全く赤が視界に入らない。これは難しいぞ。先にリップ系魔植物を探そう」


先生のリストに書かれているその魔植物の特徴は⋯⋯


「人をも食べる大型肉食魔植物。人の唇の形状をしている。だと?」


何それ危険じゃん。トーマス先生は何を考えてこのリストを作ったんだ?私にどうしろと?その他にも肉食系魔植物数点とは?


気を取り直して森を彷徨う。以前赤い物は視界に入らないが何やら前方に怪しく歩行する植物がある。もうあれでいいだろうか?白布を広げて慎重に近づく。そして――


「えい!ゲット!」


割と簡単に捕まった。布から逃げない様、よく縛って結び目を木の棒の先端に縛りつける。


「キーキーキー」


植物から声が聞こえる気がするが、気にせず棒を肩にのせ、飛脚みたいにして運ぶ 。


さて急いで学校行事に参加しなくては。虫のいない栗を五感フル活用して選び取り、寂し気な我が家の食事に秋の味覚を届けるのだ!栗を冬の保存食にするのもいい。砂糖は贅沢で買えないから栗の甘味は最高の御馳走になる。フフフ待ってろよ?ゾウムシよりも早く栗を我が物にしてやるのさ!


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