佐藤は赤い方も緑の方も好きだ
更新が遅れてしまって失礼しました!
「ただいま~!シュクルは帰りましたよ~あれ?誰もいないのかな?」
時刻は午後三時なのでノエルとクラリスは学校だろうか。両親は外出中か?
久々の自宅。見た目も匂いも何も変わりはないけれど、誰もいないと広くて寂しく感じるな。
「ニーチェ、ここが私達の家だよ。今日からここで生活するよ」
「ウー(うん)」
最近は人の言葉も理解し始めたニーチェ。天才過ぎる。飼い主――(以下省略)
さてさて外も案内してあげよう。草を食べるなら畑以外にしてもらわないと一家が餓死する。
「ニーチェ、ここからここまでは畑だから食べてはいけませんよ。あの裏山の草は食べてもいいよ。
さてまだ早い時間だし、せっかくだから町も案内しようね」
家を出て町の方へ進む。前に見た時と少し違う道の花々が季節の移り変わりを伝えてくれる。
ニーチェの歩みに合わせてゆっくりと歩きながら、帰りはクラリスやノエルの下校時間に合わせて帰ろうかな?と思うが、ギルドに顔を出してまだ受講していない講座のチェックもしたいなとも思う。
「ニーチェよまずはギルドに行こ――あれ?ニーチェどこ?」
隣にいたはずなのにどこへ行ったのだろうか?初めての土地なのだから迷子になってしまうし、幼竜でも一頭で歩いていたら誰かが驚いて攻撃してしまうかもしれない。急いで歩いて来た道を戻るとニーチェの尻尾が見えた。
「何してるの?⋯⋯あぁ~花壇のお花食べちゃったのか?駄目だぞ花壇のお花は町の民の観賞用だからな。あ?!芥子の花っぽいの食べてるぞ?」
これは多分食べたらダメなヤツだ。どうしょう?! この町の獣医なんて知らないぞ。そもそも獣医っているのか?!探している間にニーチェに何かあったら困る⋯⋯
「⋯⋯これは毒草案件の緊急事態だから仕方ないな、おっさんの所へ行くか」
ニーチェを抱いて急いで毒草トーマス家に向かう。
「トーマス先生いらっしゃいますか?シュクルです、こんにちは!」
「シュクルか?さすがだな!こっちだよ!」
「?」
いつもの気が抜けた声ではないトーマス先生が家の奥から叫んでいる。何が「さすが」なのだろう?とりあえず家の奥へと進む。
「シャキシャキして先生どうしてしまったんですか?」
「あれあれ!見て見て!」
「えぇ?」
先生の趣味の半裸婦彫刻達が隙間なく円形に並べられていて、その中心に何やら怪しい植物が見える。見るからにヤバそうな植物だ。
「あの植物は何ですか?どうしたんですか?」
「いいでしょ~?魔植物だよ!手に入れるのそれは大変だったよ~あ、石像に隠れて植物観察しなきゃ駄目だぞ~動く生き物は何でも食べちゃうんだ」
そんな危険な魔植物を安全であるべき自宅に入れるなんてやっぱり変人だな。
石像の腕と腕の間から息を潜めて観察するが花の形状に見覚えがある。あのゲームの食虫植物に似ている気がする。世界一有名な配管工兄弟が拉致監禁趣味のある亀共から被害者を助け出すゲームだ。ところで彼らは人間なのだろうか?一人二人とは数えず一機二機と数え、クローンの様に次々と生まれ出るのだからきっと⋯⋯
「ウーウ?(あれ食べれる?)」
あ、そうだニーチェが芥子っぽい食物を食べてしまった件で来たんだった。
「先生、うちの子が毒草食べてしまったんです」
「え?うわ~!!ドラゴンだぁ!――」
「先生危ない!!ニーチェ!!」
――ガプ――
「おおおお?」
ドラゴンに驚いたトーマス先生は重そうな石像を押してしまった。それで出来た隙間から魔植物が先生を食べようと迫って来た瞬間、ニーチェが魔植物を食べてしまった。家の中で起きた驚きの食物連鎖⋯⋯
「トーマス先生大丈夫ですか?」
「えぇぇ?よく見たら小さいドラゴンだった~よかった~」
ここで殺人事件が起こらなくて本当によかった。自宅の中で魔植物に食べられ死亡?ありえないだろ。私とニーチェが疑われるわ。




