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佐藤はモテない耐性、シュクルは毒耐性を持つ

 たかがマナー、されどマナーこんなに大変な事があるとは。人間一度ついた癖はなかなか直らないものだ。正直学院への入学を舐めていた。


「ジュール先生はマナーをどうやって学びましたか?」


今日も元気に放課後はギルドでジュール先生と新たな境地を試す。


「マナーの学習?産まれた時から始めるんじゃないか?正確には自分でスプーンを持てるようになったら食べ方とか椅子の座り方とかから始めるのでは?だから気づいた時には出来て当たり前だったな」


もうマナーが癖みたいな物なのか。


「良し!シュクルはあの藁人形の鼻の鼻根筋に魔力を突き刺せ!魔力は針の様に細くするのだ!」


「はい」


私は先生に言われた通り魔力を細長い針の様にイメージして藁副ギルド長に刺す。


「おい!お前達またここで変な事してるな!シュクル!何で俺の目を重点的に刺してるんだよ!」


「あ、サンソンさんこんにちは」


「サムソンだよ!何してんだよ毎日ここで」


「魔力の練習ですが?」


「何でワインの樽背負いながらやるんだよ?」


ジュール先生が体に負荷をかけた状態でもいつものパフォーマンスを出せるようにする訓練だと言っていたが変なのだろうか。


「ははは!シュクルよ、俺は藁人形の鼻根筋を狙えと言ったぞ?目の外眼筋じゃないぞ?」


「つい目に攻撃が吸い込まれちゃうんですよね」


「お前らなあ!!前にシュクルが路上で漏らした覇気の件を隠すのだって大変だったんだぞ!それなのにここで毎日魔力ブンブン飛ばして何してんだよ」


噂で聞いたが、あの件は王都からやって来た高位貴族達が仲間割れをし、喧嘩中に覇気を出してしまったという事になっている。私達親子は巻き込まれた体だ。


「ここでジュール先生が魔力を出している事にしましょう」


「あまり目立たないでくれよ。そろそろギルド長が戻るからな」


「ギルド長?」


そういえば見た事がないな。だがサムソンさんが苦い顔をするくらい怖い人なのかな。




今日は校庭で体育の授業だ。


「よし!今日はこの球技をしよう。二手に分かれてくれ」


どうやらドッジボールをするようだ。懐かしいな日本の小学校以来だ。しかし何であんなに小学生はドッジやらされるんだ?クラスで嫌われてるヤツいつも狙われてたし、若干虐めの要素を感じたが。


「じゃあ準備は『シュクル~シュクル~』用意、始め!!『ギャァ!』」


あ、やべ。いきなり名前呼ばれたから驚いてそいつに投げちゃった。


「近所の怪しいおじさん、サセーン!ボール返して下さい~」


返事が無いしボールが返ってこないと授業にならないので仕方なくおっさん家へ向かう。


「おっさん生きてますか?球回収します」


「やあ!シュクル久しぶりだね~生きてると思ってたよ。君はミントよりも生命力がありそうだ」


薬草臭い家の中から三年前と何一つ変わっていないローマ服におかしな眼鏡の変なおっさんがそこにはいた。


「トーマス先生お元気そうでなによりですね。クレマンさんはいないんですか?」


「彼は王都へ戻ってるよ。学院で毒の研究に精を出しているさ」


毒草先生の一番弟子として彼は頑張っているのだろう。よかった。非イケメンに成長した彼はもう女子に狙われる事ないだろうし、学院生活は大丈夫だろうな。


「今までどんな生活してたの~?ドクダミ茶飲む~?」


「う、結構です」


ドッジボールは私が参加しない方が平和なのでここで時間を潰すことにした。


そして私は今までの事の成り行きをおっさんに話した。


「へぇ~不思議だね!三年も知らぬ間に経ってたんだ。それはグリフォンに温められてると何かの作用で深く眠ってしまうからかな?そのシュクルの魔力量は魔獣の生肉を食べてたからなの?それとも寝てる間に親グリフォンから魔力を与えられるとか?」


「さ、さあ?」


そんな事聞かれてもわからない。


「その聴力と視力、臭覚は今どうしてるの?」


「今は慣れました。注視しなければ特に気にならないですね」


数日間は五感に疲れさせられたが、今はもう慣れた。スマホに集中してる時に周囲の音が聞き取れない感じだ。


「へぇ~面白い!ねぇシュクルは魔獣の生肉を食べてたんでしょ?生肉には毒が含まれてると思うけど、シュクルは大丈夫なんだね!それって毒耐性でしょ?チョット血液ちょうだいよ!まずはこの試験管五本くらいだけ!それに髪の毛も欲しいな!毒は髪にも含まれるかなぁ~?」


「ヒィ!授業がありますのでさようなら!!」


危険すぎる。しばらくあそこへ行くのは控えよう。



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