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佐藤は筆から色が出なくなるまで洗う方だ

 自分のアホさ加減に絶望しながら家へ向かう。自分の家へ入るだけなのに恐ろしいほど緊張する。


「た、ただいま⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


「クラリス?帰った⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯え?!?シュクル?!」


「はい。只今戻りました」


「あ、あなた――――!!シュクルが!!シュクルがいるわ!!!」


その後大騒ぎになった。



「う~シュクルが死んじゃったと思ってたんだよ!」


「森にグリフォンがいてシュクル食べられちゃったって聞いたんだよ!」


「⋯⋯⋯⋯⋯⋯すまぬ」


言えない。グリフォンの卵泥棒に失敗して、自身にマインドコントロールを施してグリフォン化し、すっかり実の家族を忘れていたなんて。



「でも本当によかった。生きててくれてありがとう。シュクル大きくなったな」


「う、すまなかった父よ。そして私は成長しましたか?」


「ああ。大きくなった。それに魔力が漏れているよ。どうやってそんなに魔力を増やしたんだい?三年の間に何があったんだい?」


「三年?!三年ですか?!私は三年も出奔してましたか?!」


嘘だろ?!三年はありえないぞ?!体感は六か月くらいだったはず⋯⋯


「はぁ。シュクル、色々聞きたい事はあるけど、とりあえず休みなさいね。それにお風呂に入りなさい。獣臭がキツイわよ。服もボロボロじゃないの」


「臭いのか私?それは恥ずかしいな。すぐに洗って来ます」


母はやはり母だった。変わりなくて安心する。



お湯と布でゴシゴシこすったら水がありえない色になった。全身を色が出なくなるまで洗う。正に書道の筆の様だった。


「お!あの鏡まだあった!お?おお?」


二年ぶりに自分を見る。確かに成長している!だが⋯⋯


「か、可愛いお顔が日焼けしておる!巣は日陰ゼロ位置だったもんな!」


美白が必要だぁ!シミでも出来たら嫌過ぎる。どこで買えるんだ?美白液おいくら?!

シュクルになって早十年。自身でも気づかぬ内に少女思考に染まりつつあった。




家に戻った次の日、今日は母に医者に連れて行かれた。


「背も体重も特に異常はありませんが、筋力量と魔力量が異常値ですね。この魔力量は高位貴族以上かもしれません。魔力の少ない獣人としては異常ですね」


「そうですか」


「それに視力、聴力などの五感も動物並みですね。シュクルさん、今先生が話している会話がうるさく感じますね?」


「はははそうですね」


正直外の通行人の会話も待合室で待機してるおっさんの呼吸音も聞こえる。どうやら森生活で五感が動物並みになってしまったらしい。


困ったな。これは情報過多で頭が痛くなりそうだ。


「魔法医療の先生をご紹介いたしますね。そちらへご相談下さい。あとシュクルさんの耳の中が汚れていますので綺麗にしましょう」


「はい。うわわわわわわ――――!!!」


耳掃除はイカン。体の内側から臓器を触られてる気分になる。




「はぁ困ったわねシュクル」


「母よ、どう困ってますか?」


「魔力量よ。高位貴族以上の魔力量よ?どうしたらいいのかしら」


そんなに困る事態なのか?私はすこぶる元気だが。



「おお?超可愛いウサギ獣人だぜ!見て見ろよ!」


「本当だ!すげぇ美人じゃん!この子供も可愛いな!ちょっと俺達と遊ぼうぜ?俺達王都から来たんだけどよ?暇なんだよ。いいだろ?」


「え?はぁ?」


「いいな~北は!可愛い獣人沢山いてよ。王都はスカして着飾った女しかいねぇし。さ、行こうぜ!」


「うむ。母から手を退けよ。王都の薄汚い手で触れるなよ」


うるさく柄の悪い連中に美しい母が目をつけられてしまった。距離があれば逃げられたが、こう至近距離だと逃げにくい。私はイラっとしてしまった。


「あ?なんだよ?⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯うっ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


「グ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ア」


「あ?」


あれ?私は何もしていないぞ?なんでこいつら震えてるんだ?


それに周りの人も歩みを止めてこちらを見てる。何故?

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