仲良し双子♡エメとアデリーンの研究しちゃうぞ♡
仲良し双子♡エメとアデリーンの研究しちゃうぞ♡
「まずは受付のお姉さんにお話を聞きましょう」
二人は受付に行った。
「「すみません、今の可愛い柔らかそうなピンクのふわふわな草食動物系精霊様は、お知合いですか?何をお渡しになったのでしょう?」」
「え?あぁ!聞いてくれる?あの変態サバンがまた全裸なんですって!可哀そうにあの子が洋服を取りに来たのよ!きっと可愛いうさぎ獣人だから、サバンのヤツの愛人とかにされたのよ!あいつの家って公爵家で金だけはあるじゃない?モテないからって最低!」
「「ひ、非道です!!」」
なんて事だ。時々噂に上がるあのサバン魔術師が精霊様に悪さをしているらしい。これは許せない。だが相手は公爵家。二人は南方の国に伝わる呪いの土人形を交互に恨みを込めて練り上げ、サバン魔術師の研究部屋から拾った髪の毛を土人形の股間部に埋め込んだ。
「「尿路結石が沢山できますように!!」」
二人は心から願った。祈りの力は奇跡を生むという。これできっと沢山の尿路結石ができるだろう。
そして二人は精霊様について聞き込みを開始した。まずは王宮内。
「「可愛い柔らかそうなピンクのふわふわな草食動物系精霊様を見ませんでしたか?」」
「え?さあ?」「精霊?知らないな」「精霊って見えるの?」
次は王宮に来た貴族にも聞いてみた。
「ハァハァ、君たちが僕ちゃんの精霊じゃないのかなぁ?可愛いねぇ~精霊って触れるのかな?どれどれ?ハァハァ」
「「サンダートルネード!!」」
「ひぉおおぉぉ?悪くないぃぃぃ⋯⋯⋯⋯★」
聞き込みは難航したが灯台元暗し。同じ女性魔術師から情報を得る事が出来た。
「?もしかしてピンクのウサギ獣人の子かしら?あの子は確かアテナの任務の時にいたわよ」
「そうそう!サバン魔術師がアレしている間に、すべての仕事を熟した優秀な子よ」
ムムム。またしてもサバン。土人形に膀胱炎も祈らなくては。
「あの子は次期獣王よ。しかも北の」
「「なんと!!」」
北の獣王。それは元獣人の国があった北地域を統べる者。代々ライオン獣人や熊獣人、今は黒虎が統べている肉体的強さの最高峰。
「「多分人違いです。私たちは可愛い柔らかそうなピンクのふわふわな草食動物系精霊様を探しているので」」
「そう?あ!ちょうどよかったわ!あそこを歩いているじゃない!」
「「ムムム?」」
お姉さんが見つめる先を見ると、ものすごく重そうなテーブルと椅子を掴んで歩く精霊様がいた。
「あの木製のテーブル百キロはあるわよ。それを担いでではなく、片手で掴んでいるのよ」
「「?!さすが精霊様です!!」」
片手にテーブル、もう片手に椅子を二脚掴んで高速移動している。精霊様は重さを感じないのだろう。きっと人には見えない沢山の精霊達が手伝っているのだと思う。
魔術師のお姉さんにお礼を伝え、急いで精霊様の尾行を開始した。だが⋯⋯
「「尾行開始した瞬間にバレた感じがしたわね!!凄いわ!」」
尾行には気配を消す魔術を使う。ほぼ完ぺきに気配と姿が見えなくなるので諜報に使う魔術であるが、一瞬で見破られた気がする。さすが精霊様。人知を余裕で超える。
「どこに向かうのかしら?あっちは魔術塔ね」
かなり距離を開けて尾行を続けていると精霊様は魔術塔に入って行った。この塔は罪を犯した可能性のある魔力保持者を閉じ込める牢獄。どうして精霊様が入るのかわからない。
「すみません、先ほど可愛い柔らかそうなピンクのふわふわな草食動物系精霊様が塔に入りましたよね?どうしてですか?」
門番の魔術師に聞いてみた。
「はい?あぁ、ウサギ獣人の次期獣王ですか?今ここで研究をしているそうです」
「え?でも獣王って騎士団員ですよね?魔術塔で何を研究するのでしょう?」
「さあ?でもここにはサバン魔術師Ⅱが収監されています。それ関係でしょうか?」
門番は魔術師だが、失礼ながらかなり底辺の魔術師である。得られる情報は少ない。
「エメ、ここで張り込みしましょ?」「そうね、ここでお菓子でも食べて待てばいいわ」
二人一緒ならどこでも楽しい。二人でおしゃべりしながら楽しい春のピクニックをして過ごした。
そして夕方になり⋯⋯
「あ!出てきたわ!尾行開始よ!」「どこに向かうのかしら?」
可愛いピンクの耳をゆらゆらさせて前を歩く精霊様。よく見れば服装も彫刻みたいで神々しい。そしてその耳の間には濃いピンクの見た事もない生き物が乗っていた。
「「精霊だわ!」」
強い精霊には精霊が寄ると聞いた事がある。波動が同じとか類友的な感じだろう。
だが尾行を続けていると一瞬で目の前から精霊様が消えた。
「どこ?!どこに消えたの?!」「精霊界にお帰りになったの?!」
それから魔術を使って捜索したが精霊様は見つからなかった。そして夕日の中を二人でトボトボと歩いていると⋯⋯
『よし、ニーチェ行くぞ!』
『ウー』
第一騎士団の横にある謎の家から声が聞こえた。普段からどうしてここに家があるのか二人は不思議に思っていた。
木の後ろに隠れながら二人で覗くと庭に精霊様とピンク精霊と小さなドラゴンがいた。この家はきっと精霊の館なのだ。だから王宮にそぐわない家がぽつんとあったのだ。
『イイ感じだな。ついでにトマトも植えよう』
「「?!」」
遠目だが植物を成長させているみたいだ。確か魔術師団の副団長が植物魔法で植物を自由自在に操れると聞いたが、精霊様も凄い。こんな植物の成長速度と規模は見た事がない。
『グフフ』
『あぁ、チェリーも植えるか?でも大きな木になりそうだな。もう少し端の辺りにしよう』
庭の端でまた植物魔法を使って木を成長させている。普通に考えて魔力量が尋常じゃない。草や花を成長させるための魔力と、木を成長させる為の魔力量は全く違う。木の成長には長い年月がかかるのだから、それを一気に成長させる為には必要となる魔力量は途方もないはずだ。
『おぉ?結構魔力を使う感じがするな。今日はこれくらいにしておこう』
そして精霊様は家の中に入って行った。
「きっと精霊様は自然精霊とか植物関連の精霊ね」「そうね。間違いないわ」
精霊には火の精霊や水の精霊、風の精霊など様々な精霊が存在していると聞く。
植物をあれだけ簡単に成長させるのだから植物関係の精霊様だろう。
二人で会議をしているとドラゴンも家の中へ入って行った。
興奮冷めやらぬ二人は今夜ここで張り込みをする事にした。まだまだ冷える春の夜だが魔術で体を温めるので問題はない。
二人で楽しくおしゃべりをしていると庭の植物が成長しているのに気づいた。
「え?どうして?もしかしてここはすでに精霊領域なの?」
「アデリーン!土に魔力が含まれているわ!これよきっと!」
土に含まれた魔力を吸収して植物が成長を続けていた。
「ねえ?エメ、この植物少し研究の為にもらってもいいかしら?」
「研究の為なら仕方ないわよ。研究だし?」
二人は寝静まったと思われる家の庭に侵入し、魔瓜とトマトに手をかけた。
「「一つは研究用、二つ目は予備、三つ目は食べる用、四つ目は保存用⋯⋯」」
二人は理由をつけてすべての魔瓜とトマトをパクったのだった。
――「ムヒヒ」「フフフ」「ムヒヒ」「ムチチ」「ムフフ」「チチ」「イチチ」「クフフ」「ハフハフ」「あぁ(好)」――
「「?!」」
何かの音が近づいて来ている。急いで二人は隠れた。こんな夜中に一体何者だろう?精霊様の家を狙った泥棒だったら罰当たりだ。絶対に許さない。二人はいつでも泥棒を攻撃できるように隠れながら身構えた。
ソレが来るのを暗闇の中で今か今かと待つと⋯⋯
「「⋯⋯えぇぇぇ?!」」
二人のすぐそばまで来てやっと姿が見えたそれらは、すべて精霊様の頭に乗っていた精霊と同じ物だった。が――
「「ひゃぁぁぁぁ?!」」
精霊の列の最後に全裸のサバン魔術師がいた⋯⋯
驚いた二人は野菜を持ってダッシュで逃げ出した。未婚の二人はソレを見た事がなかったのだ。
この件以来、二人の中でサバン魔術師=Gカテゴリーなった。




