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佐藤は自転車のサドルを盗まれて、立ち漕ぎして家に帰った事がある

「ウーウウ(盗まれた)」


「ん?もう朝か。ニーチェどうした?」


「ウーウウウー(盗まれた瓜)」


「?!何だって~?!」


急いで庭に出ると昨日植えて育てた魔瓜とトマトが無くなっていた。てか、何者かに収穫されていた。


「許さん。絶対に許さん⋯⋯」


貧乏人から食べ物を奪うとは許すまじ!いつの時代も食べ物の恨みは怖いのだ。


シュクルは王宮の危険と邪悪性を実感した。これはアレだ。表立って意地悪はしないが影でする根性の悪い意地悪だ。さすが王宮。仕事が早い。


シュクルは戦闘には使いたくなかったクルミを懐に忍ばせた。クルミはシュクル的に木の実界最高峰の硬さを誇る。実際にはマカダミアナッツこそ最強であると木の実マニア界隈で聞いたが、残念ながら手に入らなかったのだ。


「食べ物を戦闘に使いたくなかったが、背に腹は代えられぬ。割れたら拾って食べよう」


シュクルはキレていた。犯人を捕まえたら魔術塔に全裸のピーちゃんと卵達と閉じ込めてやると心に誓った。


魔瓜とトマトに魔力を送りニーチェの朝ご飯を用意する。ギルド長がこの家に食事を運んでくれる手筈を整えてくれたので、届いた朝ご飯を食べる。ミルクもあったのでエロチェリーにあげる。


そして今日も元気に魔術塔に向かう――


「ん?目線を感じる。あの魔術師棟の時と同じ視線だな。どうするかな⋯⋯でも魔術師は貴族が多いから危険だな」


貴族界最弱な男爵家の二女だからな。家に迷惑は掛けられない。今は様子見だな。


「おはようございます」


「おはよう」「おはよ」


入り口にいる魔術師に挨拶をして塔に入る。今日も殺風景な廊下を通り階段を上がる。

まずはトーマス先生の研究室に挨拶をするために入るが、すでに一面本だらけじゃないか。


「先生~ここで寝たんですか?家には帰らないんですか?」


「面倒臭いよ~」


貴族な先生には、王都に実家があるはずなのに動くのが嫌なのだろう。塔にあった囚人ベッドに寝ているらしい。こちらに食事の手配をしてもらおう。


さてぴーちゃんの教育でも始めるか。シュクルは隣のぴーちゃん部屋に行った。


「おはよう」


「あぁ(好)」


「おはようだ。おはよう。朝の挨拶だ」


「おはよ おはよ」


「素晴らしい」


ぴーちゃんを椅子に座らせて机に魔瓜とトマトを乗せる。プチカミーユはパンや魔瓜を食べていたのでぴーちゃんも食べられるのか調べる。


ぴーちゃんは魔瓜を鷲掴み丸飲みしようとしたので今度からは切って提供しなくてはなと思った。トマトは食べない。もしかするとサバンの野郎はトマトが嫌いなのだろうか。


「ふふふ、今日はいい物を持ってきたぞ」


昨夜シュクルはギルド長にサバンについて話を聞いたのだ。


『サバンはお子様だから~いまだに飴とかお菓子が大好きなのよ~』


『ほう、勉強になります』


「ほらぴーちゃん、口開けろ、こうだ、あーん」


「あーん」


ぴーちゃんの口に飴を入れてみる。ついでに私も食べる。飴など私にとっては高級品だ。卵の研究資金で落とすが一つくらい私が食べてもいいだろう。


「口の中でぺろぺろするんだ。おいしいだろ?」


「ぺろぺろ おいし」


凄いな⋯⋯マジで嬉しそう。本当に甘い物が好きなんだな――


「っておい!ソコは触るな!」


「あぁ(好)」


「(好)じゃねぇ!めっちゃ嬉しそうだな!サバンの野郎!⋯⋯いいか?ソコは触っちゃダメだ」


「嫌 嫌」


「おいぃぃ!どうすればいいんだ?!」


何なんだこの状況?!元おっさんじゃなかったらトラウマ物だぞ!サバンの野郎め!


「あぁぁ(熱)」


「⋯⋯なるほどな」


ソコはごちゃごちゃしていて熱が籠るのかもしれない。ある意味熱に弱い部分でもあるからな。さてどうするか。冷やす物⋯⋯氷か?でも冬の間はあるが今の王都は春まっさかりだしな。


気を取り直し、ぴーちゃんに単語を教える。その間、部屋の中を卵達が転がったり卵のつなぎ目から足が生えて歩いたりしていてカオスな室内だった。


「なんだか保育園の先生気分だ」


こんな感じの生活がしばらく続いた。

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