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佐藤は受付嬢と話す時、緊張していた

 魔術師棟はシュクルが想像していた怪しい所とは違い案外近代的であった。

大きな扉をくぐり、数段の階段を上がって受付に着いた。


「こんにちは。少々お尋ねしたのですが、サバン魔術師はいらっしゃいますか?」


「こんにちは。あら可愛い!うさぎ獣人なの?あら?でも魔力がありそうだわ。とっても気になるわ!骨格とか――」


「うっ、あの⋯⋯サバンは⋯⋯」


「サバン魔術師に用があるのかしら?どうしてかしら?」


受付のお姉さんの顔がいきなり歪んだ気がする。もしかして警戒されているのか? 私は確かに怪しい。どうしょう?


「あ、何て説明したらいいのか⋯⋯今すぐサバン魔術師の服が欲しいんです。その、裸なので⋯⋯」


「まぁ!!アイツまたなのね!良~く分かったわ。ちょっと待っててね!!」


「⋯⋯?」


こちらは良~く分からないが服をくれそうだ。お姉さんが席を外すと色々な方向から視線を感じた。さすが魔術師、気配を感じさせないが、グリフォン譲りの超五感?を持つシュクルには感じる。これは騎士が息を殺して気配を隠す感じではなくて魔術の類だろう。へぇ~


「おまたせ!この服を着せましょう!いいでしょ?」


「⋯⋯ありがとうございます。あの⋯⋯パンツもありますか?」


「なんて事なの!!アイツまた全裸なのね!ちょっと待ってて!」


またお姉さんは行ってしまった。そしてまたしても目線が刺さる。こうも集団でジロジロ見られるとちょっとムカつく。どうしてくれようか。 最初が肝心とも聞くし。


「これを履かせればいいわ。あなたも大変ね。あんなヤツのお世話をさせられているのね⋯⋯可愛いうさぎ獣人にね。未成年なのに可哀想に⋯⋯あのクソ野郎⋯⋯」


「あ、いえ、研究なので⋯⋯あ、ありがとうございました!」


お姉さんの悲さと怖さを含んだ顔にどうしたらいいのかわからず逃げる事にした。お礼を言って気配を消し、懐から磨かれしロープを取り出して投げ、それを引っ張って担いで逃げる。




「トーマス先生一体手に入れましたよ!」


「お~?いい彫刻だね~ここに置こうか~」


とりあえずガン見された仕返しに彫刻を奪って来た。これは泥棒ではない。だって同じ魔術師のテリトリー内での移動だから。

いい仕事をした。これで先生の作業効率は上がるだろう。


「さてアレに服を着せますかね」


お姉さんから頂いた服を持ってアレがいる部屋に入ると、そこには笑顔で歩き周るサバンがいた。


「おいサバン!服を着ろ!」


「あ~(?)」


「これだよ、これ!これが服。私も着てるだろ?」


「ふく ふく」


このサバンは見た目はサバンだが知能は低いのか?でも少し理解を示している。


「そうだ。服だ。これを着るんだ。こうやって」


シュクルはシャツを着せようとしたが⋯⋯


「あ(嫌)」


「え!?嫌なのかよ!!何で?!」


私の予想では、卵は魔力主由来の本能で動く。サバンは露出本能があるのか。知りたくなかった。


「あぁぁ(熱)」


「⋯⋯あぁなるほどな!暑いのが嫌なのか!」


そうだ、こいつら卵は北の山にいる生物だ。ここは暑すぎる。


「だがパンツくらい履いて欲しいのだが⋯⋯」


多分こいつら卵は汗もかかないし、排泄もしない。よってこのサバンが汚くはないのは分かる。でもな⋯⋯ノーパン⋯⋯


「どうしても嫌か?」


「ふく、あ(嫌)」


「嫌だ、嫌。言ってみろ」


「嫌、嫌」


「おっふ⋯⋯」


このサバンは学習能力がありそうだ。すでに単語を二つ覚えた。 ちょっと面白い。

名前を与えてみるか。サバンに似た感じがいいかな。


「サタン、サガン、サモン、サロン⋯⋯さ、さしみ?」


「⋯⋯」


「え、どうしょう?私は名づけのセンスなどないし、何も思い浮かばないぞ?もうシロとかタマとかピーちゃんで――」


「あぁ(好)」


「はい?どれよ?ピーちゃん?」


「ぴーちゃん ぴーちゃん」


マジかよ。よくある初老トークで言っただけなのにピーちゃんがいいらしい。まあいいか。


それから私は机と椅子を持ってきて座らせたり、単語を覚えさせたりした。

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