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新品パンツはテンション上がるが履き心地が悪い

 王都の街並みをゆく。王都に入ると、どの通りにもお店が沢山あり、道を通る馬車も美しくて豪華だ。道を歩く人々もお洒落そうで、途端にシュクルは自分のローマ服姿が恥ずかしくなってきた。


でもお洒落を気にする前に、今日のパンツはドナドナされた盗賊が所有していた男物の新品パンツだ。これがなかなかいい。 中年は見た目よりも快適さを選ぶのだ。いるだろ?娘の中学のジャージを履くオカンとか。


次はボロイ荷馬車が少し恥ずかしくなってきたが開き直った。だって乗っている子達がずば抜けて可愛いんだもの。ポワールは疲れた感じが哀愁をそそるし、プチカワなニーチェは天才竜だし、エロチェリーも見た目だけは詐欺的に可愛い。ギルド長も美女だし、うさ耳転生おじさんも可愛い。中身は男物のパンツを好む中年おっさんだが見えなければいいのだ。


「シュクル~王宮内に入るわよ~私達別働班の家があるの~」


「王宮内ですか?おぉ、緊張しますね」


いきなりの本丸。気合!


「ちょっと~どうして威圧するのよ~?!」


「すみません、ですが本丸ですよ?塵魍魎、食うか食われるかの世界ですよね?王宮とは」


「えぇぇ~?どこの戦地の話~?あなたが一番危ない人だわ~」


王宮に入る門に着いた。ギルド長は顔パス。私はバッジを見せ、ニーチェとエロチェリーはタグを確認される。


「すみません、この袋の中を改めさせてもらっても――」


「死にたいならいいわよ~」


「⋯⋯獣王よ、どうぞお進み下さい」


えぇ?何それ?いいの?確認しなよ?危険物が王宮内に入っちゃうぞ? まぁただの卵だが。


「適当過ぎません?」


「獣王だからよ~」


何だか釈然としないが、時短できたしいいか。王宮の敷地はかなり広くて一つの町みたいだ。中にお店まであるのかパンのよい香りがしてきた。


王宮の敷地内を進むとまたしても門があった。同じやり取りをして、今度は目の前にある王宮と思われる建物とは違う方向へ進む。そちらに騎士団本部があるらしい。次第に制服を着た騎士達が目に入るようになってきた。

騎士団本部の建物を越えて少し進むとその家があった。


「ここよ~」


「普通に家ですね。まあいいか。ポワールを厩に連れて行きます。荷物はここに下ろしますか?」


「ダメよ~卵は~」


「⋯⋯はい」


ニーチェと私の着替えなどが入った袋を置いて少し離れた所にある厩へ向かい、荷台を外し、ポワールに飼葉や水を沢山与える。頑張ったご褒美の角砂糖とリンゴもあげるのだ。 その後は厩のおじさんに任せる。


「ポワールまた後でな」


「シュッ(ん)」


卵袋を背負いエロチェリーを連れて歩くが、見た目が完全に不審人物な気がする。お堅い騎士服や身綺麗にして王宮で働く人々、王宮に来ている煌びやかな貴族達⋯⋯


私、ローマ服に怪しい程もっこりと膨らんだ袋を背負っている獣人の子供。頭には目に染みる蛍光ピンクの生き物⋯⋯私が騎士なら即行職質するわ。武器に手を置いて警戒しながらな。


だが意外にも見て見ぬ振りをして先を急いで行ってしまった。王宮の人々とは日本人と同じスルースキルがあるのかもしれない。危機管理能力の高さゆえ、怪しさ満点とは関わり合いたくないのか。


「いやいや、私って結構この国の為に働いていますからね。うん」


そしてギルド長と別働班の家に入り荷物を置くが、家には生活感も無く誰もいなかった。

ちなみにその間、卵は背負わされたままである。


「じゃあシュクルは~魔術塔に卵と行くのよ~トーマス先生も到着してるわよ~」


「え?!トーマス先生?!何で?!」


あのキノコが生えそうな程の出不精ことトーマス先生が王都にいる?学会とか新しい研究の発表とかか?


「あれ~?言わなかったかしら~?これからシュクルはトーマス先生と卵研究なのよ~」


「今聞きました」


これからシュクルは、この家で生活をしながら魔術塔で卵の研究をするらしい。


あれ?でも魔術師は危険だって聞いたよな?シュクルを獣人だと差別したり、マッドサイエンティストとなって襲ってかかって来る可能性があるのではないだろうか。


再度気合を入れ直す必要があるな。毎日魔獣肉をたらふく食べて血気盛んになってやる。 ヤられる前にヤるのだ。


「シュクル~案内するわよ~」


「は~い」


よい子の返事をしながら、先日磨きをかけた相棒ロープと選ばれし木の実達を懐に忍ばせた。


魔術塔はそれ程遠くはないみたいで、徒歩での移動となった。王宮は物凄く広いので王宮内に専用馬車が走っているのだとか。本当に一つの町だ。


物珍しいので周りをキョロキョロしながら歩いていると魔術塔に着いた。見た目はバベルの塔みたいな造りで、シュクルとトーマス先生は絶対にここの住民のごとく背景に馴染むと思われる。


「こんにちは~獣王よ~」


「あ!どうぞ」


入り口には二人の魔術師がいたが、以外にも獣人差別は感じなかったので、シュクルの木の実選抜隊は出陣の機会がなかった。


塔の中に入ると殺風景な廊下が続いていた。そしてギルド長は階段を上り始めたので、私もその後ろに続く。どこもかしこも装飾がなく、もう少し絵とか飾った方がお洒落だと思う。白布巻いてパクった男物のパンツ履いているヤツに言われたくないか。


階段をしばらく上がった先にある扉の前に着いた。ここに危険な卵があるのだろうか。想像だがここにある卵が信じられない程危険で、私やトーマス先生が呼ばれたのだろう。


ギルド長はその危険な実態を目にしてしまったので、ずっと卵を警戒していたのだ。もしかすると肉食竜の魔力を吸収した卵とか? 凄腕天才魔術師の入れ代わり?まさか巨大な魔虫じゃないだろうな?


「ここよ~」


シュクルは戦闘態勢でドキドキしながらゆっくりと扉を開けた。

その瞬間、目に突き刺さる西日に一瞬瞳を閉じてしまったが、なんとか目を細めて室内を見る。そこには人型のシルエットがあった。


(チッ、西日がまぶし過ぎて見えない。だが攻撃をしてくる感じではないな)


少しずつ目が慣れて来て、シュクルの目の前に信じられないモノが映った。


「はぁぁぁぁ!??へ、変態!!やっぱり王宮はヤベェ!!!」


そこには真っ裸でアホ面さらしてほほ笑むサバン魔術師がいた。

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