謎モンスターゲットだぜ!
「このギルドタグ⋯⋯そうですか、最近見ない者達ばかりです」
ローヌのギルドには一月程前から街道の調査と討伐のクエストが出ていたらしい。そのクエストを熟しに冒険者は街道へ向かい、その後連絡がつかなくなっていた。
「シュクさんはこの件をどうされますか?騎士団に連絡をしますか?」
「そうですね、一応気になる事もありますし、連絡を入れて⋯⋯でも調査はすぐにでも進めておきましょう。商人が通れないのは死活問題ですから」
このままでは北のクマさんが骨と皮になってしまう。夕飯がつくし汁オンリーだなんて考えるだけで目頭が熱くなる。
ギルド長から第三騎士団に使い魔を飛ばしてもられる事になった。だがこの地に着くには早くとも二、三日はかかるだろう。
「ではギルド方にご遺体の確認をしてもらえますか?それらの場所に案内します」
先程騒いでいた冒険者達とギルド長を連れて先ほど通った街道に戻る。シュクルの臭覚を頼りに、街道沿いにあった遺体はすべて発見出来たはずだ。だが森の奥は雪解け水で足場が悪く、すでに夕方なので明日以降捜索する事となった。
「この事件は一体何なんだろうな?」
「ウー(わかんない)」
森の王者ドラゴンにもわからないのだ。私に分かるわけ無し。
今夜はギルドの部屋に泊まる。何か問題が起きた時、すぐに対応できるようにだ。
ギルド内がピリピリしている。ローヌのギルド所属の者達がかなりの人数殺されたのだ。それなりに実力がある者達だったにも関わらず。犯人は相当な手練れに違いない。
翌朝ローヌのギルド長から最新の報告を受けた。
「ご遺体に争った形跡がない?」
「全く。通常は身を守る為に手や腕に傷ができますが、それもなく、剣は鞘に入ったままでした」
信じられないほど素早い攻撃か?暗殺者?でも目的がわからない。私は体は子供、中身は中年だが名探偵シュクルじゃないので全く理解不能案件。
「致命傷は何ですか?」
「それが――」
今日は森の中を探索する事になった。私と冒険者達、それにギルド長も行くそうだ。細身のギルド長は戦えるのか心配だったが、なんと彼は子爵家の三男で王宮の下っ端魔術師だったそうな。今回の謎多き敵に対抗する為、魔術師が同伴してくれるのは実に心強い。
シュクルはエロチェリーと共に来た。ニーチェは寒くて動けないのでギルドの部屋でお留守番である。
「シュクルさん、どうですか?私の探索魔法は生き物にしか反応しませんから」
「チチ」
「そうですね、この辺りにはなさそうです」
動かず音を発さず、温度もない遺体の発見には臭覚が物を言う。正直かなり心を抉られる仕事だが、ご遺体が森に放置されていたら可哀そうなので頑張る。眠るなら墓場がいいはずだ。
昨日ほどではないが、数体の遺体を見つける事ができた。
二日目も森に入り捜索を続ける。
「チチ」
「おぉ?魔猪だ!」
久しぶりのご馳走にアドレナリン大放出だ!魔猪がこちらに猛ダッシュして来た!お 肉カモ~ン!!
「よっしゃー!えい!」
魔猪が目の前に来た瞬間、木の棒で脳天を叩く。脳を一撃で仕留めれば瞬時に天国へ送れる。即ち最も痛みを与えないで済む方法だとシュクルは思う。
⋯⋯?通常であれば動けなくなっているはずだが、それはまだ動いている。
「え?えぇぇぇ?マジ?」
「チチ」
猪が小さくなった。そして再度アタックが来る。
「うおりゃ!」
もう一発。すると――
「マジ?!マジ?!何なんだよ?!」
猪はアレになった。 二段階進化ならぬ二段階退化⋯⋯
「ギルド長!見て下さい!こちらの遺体の持ち物」
「⋯⋯どういう事だ?腐敗が進んでいて顔はわからないが⋯⋯」
捜索を続けるごとに次々と謎が増えていった。
三日目 。今日も森の探索だ。
「またおかしな魔獣攻撃かい!倒しても食べられないから無駄!チビ!アレ!」
最早、木で叩くのも面倒なので食べられない木の実を弾き飛ばして倒す。倒したアレはシュクル愛用の袋に詰める。テクノポリス皇国のバストラ薬品魔獣研究所内で見つけた袋だ。
「シュクルさん!あちらに魔鹿です!お願いします!」
「はぁ~やれやれだ」
早く騎士団に来てもらいたい。湧いて出る盗賊のおっさん並みの出没回数に嫌気がさす。
「チチ」
「もうここにはいないか?よかった」
当初予定していた盗賊狩りとはずいぶんかけ離れた任務となった。




