その1 はじまり
朝8時前の駅のホーム。こんなにも人がいるなんて思ってもみなかった。あたしはちゃんとした勤めなんてしたことがない。世の中のまともに働いている人たちはみんなこんな風に決まった時間に電車に乗るんだって改めて思う。誰もびしっとした格好で列を作って、平然として電車を待っている。馬鹿みたいに足を出したふわふわした服で、落ち着き無くきょろきょろしてるのなんてあたしだけだ。自ら招いたこととは言え、これから何が起きるのか不安で、あたしは何度も所在無くスースーする足をこすり合わせる。
思い出したくもないけれど、ここ1か月くらいに起きたことがぐるぐる頭をよぎる。大型ディスカウントストアでマニキュア液をちょろまかして店を出ようとしたところで、捕まえられて事務室に連れてかれた。ごまかして謝ったら何とかなると思ってたらそうはいかなくて、すぐお巡りさんが来てしょっぴかれた。あたしには前から時々たいして欲しくもないものをそうやって持っていきたくなる癖があって、警察のお世話になるのも初めてではなくて、今まではしおらしくしてればお説教だけですんでいたのだけれど、今回はそうじゃなくて、しばらくして裁判所に呼び出されて、懲役の実刑判決だって言われた。あんまりにもびっくりしてあわあわしてたら、ただ今回に関しては、「罪を悔悟し、市条例の定めるところのボランティア等に一定期間従事する場合に限り」刑の執行を猶予する、みたいなことを言われて、あたしは頭をたれてどうかお願いします、って懇願した。だってあたしは、産みの親からもまともに面倒をみてもらえず、小ちゃな頃から施設を転々として、学校にもろくに行かずまともな仕事についたこともなく、ふらふらしてるところを何でか同情して家に連れてってくれて、そのまま「結婚しちゃおうか?」って本当に入籍してくれたシンゴちゃんの奥さんになってやっと寝るところに困らなくなったばかりで、今刑務所なんかに入れられたらすぐまた離婚されちゃって帰る場所も無くなる、ってわかっていたから。
家に帰って、シンゴちゃんに、ボランティアとかしたら刑務所行かなくていいんだって話したら、喜んでくれて、離婚もされなくてすんだ。けど何をするかとか、なんか裁判所で色々長いこと難しい話されたはずだけど、全然わかってなかった。従事する仕事が決まったらメールで連絡が来る、ってだけ覚えていた。それで、そのメールが来たのが昨日のこと。「市条例に基づく奉仕業務指示」という件名。何をするんだろう、って読んでみたら「市中通勤・通学中の女性への痴漢等性的ハラスメントを撲滅することを目的とし」、「市内青少年、中高年男性の性的欲求不満を解消するため」○月○日8時00分より○○線○○行き列車に乗車し性的欲求不満者の欲求解消にあたること、と書いてある。どういうこと?つまり、満員電車で痴漢されろってこと?服装にも指定があって、オーバーコート等の着用は不可、ゆったりした淡色の薄手の前ボタン式ワンピースを着用、膝上丈20センチ以上、下着は一枚が上限、って?
シンゴちゃんにももちろん見せた。こんなのひどいよねって。けどシンゴちゃんも、ボランティアの条例について色々調べてくれてたらしい。罪を犯した人が従事するボランティアにも様々あって、うんと肉体的にきつい労働や危険な仕事、特別な専門技術を要するものなどあって、あたしのようにどれにも向かない若い女性だとこうした役目を割り振られることが多いらしい。「しかたないよ、僕だってミサが人にそんなことされるの嫌だけど、刑務所に入れられるよりいいよ」だって。それであたしは、こんな格好で生まれて初めて満員電車に乗ることになったんだ。
気がついたら、あたしの周りに、にやにやして値踏みするように見る男の人が何人もいた。あたしが乗るべき電車も、何両目の何番乗車口に乗るかもメールで指定されていて、この「ボランティア活動」の実施については市内広報にも載せられているから、あたしがその人だって、彼らはみんなわかっている。あたしは恥ずかしくって、ただうつむいているしかできない。電車が到着する前から、気の早い誰かが短いワンピースの裾をまくり上げて、お尻にぺたぺた触れてきている。どうなっちゃうんだろう?不安で目が回りそうになっているところへ、ホームに電車が滑り込んできて、開いたドアからあたしたちは乗り込んだ。車内はたちまちぎゅうぎゅうの込み合いで身動きもできない。
ドアがしまって発車するとともに、たちまち四方から、周囲の男たちの手がまとわりついてきた。無遠慮に裾をまくられ、パンツ一枚のお尻がむき出しにされる。
「あ、やだ・・・」
お尻を揉みしだいてきた手を反射的に振り払おうとしたら、耳元で、
「逃げたり逆らったりしたら、すぐムショ行きだよ」
と囁く声がした。
「お前、犯罪者だからな。ちゃんと監視されてんだからな。」
とも。
あたしは絶望的になって、振り払う手を止めて、だらりと垂らした。とたんに群がる男たちの手は勢いを増して、お尻のみならず前の丘の谷間にも、もっと奥にも分け入り始め、垂らしていた手も掴まれズボンの中の怒張を握らせるように押し当てられ始める。胸元のボタンも一つ、二つとはずされて胸を揉まれ、そのうちに高々とまくられた裾から入り込んだ手がブラジャーのホックを外し、あらわになった乳房が直に弄くられるようになった。電車が動き出して5分と経たないうちに、あたしはほとんど裸にされていた。
ほどなく、パンツも下ろされて、あたしの身を覆うものは何も無くなった。陰毛を掻き分け、谷間に押し入った誰ともしれない指が、敏感な突起をこすり、膣口をこね回す。あたしの手はベルトを緩めた男のズボンの下に導かれ、脈打つペニスを直接握らされている。後どれぐらい続くのだろう?恥ずかしさに気が遠くなりそうだったが、間断無く与えられる刺激がそれすら許さない。信じられないようなシチュエーションで加えられる恥辱であるのに、いつの間にかあたしの体はなぜだか男たちに応えるように反応し、潤いを分泌し、それによって男たちの指を、奥へ、奥へと導いているのだった。
途中駅で電車が停車し、ドアが開きまた乗車してくる動きがあり車内は一層混雑を増したが、あたしに群がった男たちは動かない。再び電車が動き始めるとともに、後ろから責めていた手によりあたしの両足が、お尻もろとも左右に一層開かされた。と、明らかに指よりもずっと太く大きなものが、濡れそぼっていたあたしの中心に押し当てられ、あっと思う間もなく侵入してきた。かっと頭が熱くなった。信じられない。あたし、犯されている。電車の中で、知らない人に。大勢の人に見られながら。あたし、シンゴちゃんの奥さんなのに。侵入してきたものは、そんなあたしの思いにかかわらず激しく動いた。脈打ちながら、身体の最も奥まで突き上げ、粘膜を震わせた。あたし自身からも、後から後からおつゆが溢れ出て、足を伝って流れた。男が一際強く突き上げたかと思うと、一番深いところに、熱いしぶきが放たれた。汚されちゃった。あまりのことにへたりこんでしまいそうになったが、男たちは許さずあたしを軽々と支え、背後の男が離れたかと思うとただちに別の男が代わって侵入してきた。都心近くの終着駅に着くまでの十数分、それが延々と続いた。
終着駅に着いて終わりではなかった。半裸の私を男たちは囲んでホームを引きずるようにして多目的トイレに連れ込み、施錠すると残った僅かな着衣も剥ぎ取って全裸にして、床に四つん這いにして、続けて代わる代わる犯した。口にも男のものを加えさせ、口内にも射精した。何人もがスマホで撮影し、ライブ動画としても配信された。何人かが去ると配信を見てやってきた者が新たに加わり、終わることのない輪姦が続いた。
夕暮れになって、あたしはぼろぼろになって帰宅した。出迎えてくれたシンゴちゃんの胸で、わあわあ泣いて謝った。何十人にも抱かれ、中に出された。もう奥さんでいられないと思って泣いた。だけどシンゴちゃんは優しかった。あたしを抱きしめ、頭をなでてくれて、一緒にお風呂に入って体の隅々まできれいにしてくれた。シンゴちゃんも、あたしがやられている動画の配信を見たんだそうだ。見ながら泣いて、泣きながらすごく興奮してあそこがすりむけるほどオナニーをしたんだそうだ。お風呂から出ると、シンゴちゃんは録画したその動画をテレビの大画面に映して、
「すごかったね。ね、どうだった?どうだった?気持ちよかったんでしょ?」と言いながらあたしのあそこを広げさせ、むしゃぶりついて舐めて、果てることなく何度も何度も抱いてくれた。テレビの中のあたしも、代わる代わる犯され、口にも咥えさせられながら、すごく気持ちよさそうに声を上げていた。だから、シンゴちゃんにも抱かれながら、やっぱり大きな声を上げて、何度も何度もイッた。