監禁51日目
地下には広い賭博場が作られていた。
綺麗な服を着る子供たちは、ある程度年齢も高く綺麗な外見をしていてディーラーの役割を行っていたそうだ。
そこで裕福な家系の貴族や商人はお金を使った遊びに夢中になり、さらには綺麗な子供を買う人すら出てきた。
人身売買出ある。
子供は沢山いる。 一定量の国からの支援に賭博と人身売買からくる多額の金銭。
勿論それは孤児院に変換されること無く子供達は搾取され続けた。
綺麗な外見の子供は賭博場に、それ以外は少ない金銭を持たされて孤児院からだされる。
それを繰り返し、増やした金銭はほかの領地に家を買い将来の為に蓄えているようだ。勿論違法である。
その家には以前孤児として育てていたひとりの女性がいるのだが、それはまた別の話だ。
「…………まさか、賭博場ですか……孤児院が……」
頭を抱える公爵。
自領のしでかした過ちは、領主である公爵にも監督不行届として罪を課せられるがいち早くの解決をと王家に連絡したのも公爵家だ。
どうにも出来ないと自らの無能を晒す事になるのに、それ以上に孤児院の不穏を良しとしなかった英断でもある。
だが、この孤児院も昔から運営されていていつから賭博場が始まり運営されていたのか、どれくらいの地域から賭博場を求めて人が流れて来ているのか、その金額はどれくらいか国を上げての調査をこれから実施するのだ。
こういった闇はどこにでもあり、人知れず蔓延っている。
シスターたちも、分かっていて施される金銭に口を噤んでいたので罪に課せらるようだ。
今後孤児院は一時閉鎖。
あまりにも賭博場としての設備が整いすぎて、そのまま孤児院として使えないからだ。
「……ひとまずは国からの調査が入るわ。孤児院は持ち他にも無いか細かい調査が入るそうよ。そちらの管轄は私から離れるから、上手く立ち回ってちょうだい」
はぁ……と息を吐き出して言うザラノアール。
これで視察も終了となる。
既に孤児院内は侵入禁止エリアとなっていて、内部の調査が本格化するまで騎士が護衛として立つようだ。
これでザラノアールの仕事も終了である。
予定していた滞在日数よりも伸びたが、それも計算のうち。
むしろ3日で解決したのは普通ありえないだろう。
子供の教育や杜撰な管理体制、揺さぶると分かりやすくボロを出す性格とむしろ良く今まで生き伸びていたものだと感嘆すらしてしまう。
「……ありがとうございました」
「いいわよ、これも私の仕事だし……私の気持ちもわかったし」
にっこり笑ってメリルを見ると、困ったように笑い返すメリル。
この妙に甘ったるい雰囲気に反応するのは公爵夫人だ。さすが女性。
だが、聞けない事に歯がゆい思いをしている。
「……お帰りはいつに?」
モルデバイルが紅茶を置き聞くと、明日ね、とサラッと返事が返ってきて眉尻を下げた。
出来ることならこの視察中に仲良くなりたかったのだ。モルダバイルの妹も。
だが、視察や調査の為に動き回るザラノアールは時間を取ってはくれず交流する時間がなかったのだ。
それはそうだろう、メリルには下心ある気持ちで誘ったが目的は視察であり問題解決なのだ。
遠くまで来て交流を深めに来た訳では無い。
「では、せめて夕食を交流の時間にさせて頂けませんか」
頼み込むモルダバイル。
将来も見据えてではあるが、自らの失態を挽回したい気持ちが見え透いている。
ザラノアールは疲れもだが、好きだと自覚してしまったメリルと少しでも一緒の時間を過ごしたいのだ。
断ることは可能だが、貴族との交流も王族の勤めの1つ。
悩みに悩んで頷いたザラノアールにモルダバイルはホッと笑った。
「…………はぁ、私帰りは絶対離れないわ。馬車の席は隣に座って手を繋ぐの。休憩では寄りかかって貰って本を読むメリルちゃんを眺めるわ。大丈夫、メリルちゃん見て紅茶5杯は余裕……」
「やめてください、引いてますよ」
ソファに座って手を組み、その手の上に顎を乗せてジッとメリルを見ているザラノアール。
ぷるぷる震えるメリルは、手から伝わる振動で本がガタガタと震えている。
必死に本から顔をあげないメリルを眺めていたザラノアールはアンを見た。
「…………あら? 声に出てた?」
「うわぁ、無意識ですか? 犯罪者予備軍です」
「違うわよ! 無理やり襲ったりなんか………………しないわ」
「タメが長い、あからさまに顔を逸らした。ギルティ」
「だって仕方ないじゃない! 可愛いメリルちゃんが手の届くところに居たら……ねぇ」
「ねぇ、じゃありません」
ないです、駄目です、と言うアンに唸るザラノアール。
行き同様に2日かけて帰る馬車の中、メリルは不安になってきた。
「…………ザラさん? あの……大丈夫よ、ね?」
「なんの心配かわからないけれど、安心してね。帰りまでしっかり守るわ」
「……ザラ様が1番危険人物です」
「アアアァァァァアン!!」




