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王弟殿下のストーカー日記  作者: くみたろう
オネェに監禁された幸せの100日間
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監禁41日目


 翌日、メリルは思っていた以上に体の疲れがあったようで起床時間を大幅に遅れてしまった。

 既に朝食は終え、ザラノアールは視察の為に出てしまった後での、のんびり起床である。


「………………まあ、寝すぎてしまったわ」


 キョトンとして窓から外を見て呟くメリルは傍らにいるアンを見た。


「おはようございますお嬢様。お先に朝食にしますか?」


 まったく動揺する様子もなく普段通りに聞いてくるアンに、メリルは小さく頷いた。

 朝食を取りに行ってくれている間に、メリルはベッドから出て身嗜みを整え可愛らしいワンピースを着た。

 流石に他家に居て緩い部屋着を着るわけにはいかないからと、用意された深緑色のワンピース。

 だが、生地は滑らかで手触りが良く伸縮する。

 着苦しさは一切なく、体の動きを妨げることも無い。

 コルセットのいらないワンピースは、やはりメリルの体調を考慮されていた。

 メリルは席について、また本を開く。


 

「どうぞ、朝食です」


「………………あ、ありがとう」


 本に集中しすぎでアンが入室したのすら気付かなかったメリルは、準備の割には時間をかなり要したのに気付いていなかった。

 にこやかに感謝を示してホカホカと湯気を立てる朝食に目を輝かせて丁寧に食べだした。

 そんな姿をアンは眺める。


「………………あの息子、本当に面倒」


「ん? 何か言ったかしら」


「いえ、なんでもありませんよ」


 首を傾げつつも、メリルは食事を終えた。

 次にする事は、部屋を出てリプラント公爵に面会である。

 朝食の席では、勿論メリルの食事も用意されていたのだが起きれなかったメリルが箸をつけることは無かった。

 長旅に疲れた令嬢が朝起きれない事は多々ある為、この世界では怒られるような行為では無いのだが、自分の為にと用意してくれた準備は無駄になってしまっただろう。

 それを仕方ないと割り切れないのだ、メリルは。


「……失礼致します」


 執事に先に声をかけて、ご機嫌伺いをしたいと言うとにこやかに微笑まれて公爵の執務室をノックしてくれた。

 扉の先には仕事をしている公爵の姿があり、傍らには夫人もいる。

 2人は目を丸くしてから立ち上がりメリルの方へと来てくれた。

 2人は子爵令嬢が簡単に話せる人ではないのだが、ザラノアール同様の対応をしてくれる。

 出来た人です……と見つめてからカーテシーをした。


「おはようございます。朝は私の分まで準備いただきましたのに、申し訳ありませんでした」


「いや、気にしなくていいんだ」


「長旅疲れているものね。わざわざ来てくれてありがとう」


 2人は穏やかに笑ってくれた。

 カーテシーから姿勢を正して2人を見る。

 穏やかな気質なのだろう、本心から言っていると伺える夫妻の様子に、メリルはやっと笑みを浮かべた。

 昨日からメリルが緊張していたのは見てわかるので、初めて笑顔を見たと夫妻は安心したように笑ってくれた。


 仕事中に押しかけたことを謝ったメリルは直ぐに退室して部屋に戻り、ザラノアールが本日の視察を終わらせるまでゆっくりと読書に耽り、部屋で時間を過ごそうとしていたメリルは、リプラント公爵家のメイドに声をかけられた。


「宜しければテラスでお過ごしいただくのはいかがでしょうか」


 にこやかに笑うメイドを見て、アンはピクリと反応する。

 それに気付かないメリルは少し考えてから頷き、アンを伴って歩き出した。

 

 既に用意されていたテラスには人影がある。

 ピタリと足を止めて、ちらりとアンを見ると分かりやすく顔を顰めていた。

 メリルはお茶を飲みながら読書をする予定だったのだが、これでその予定は崩れたのだと理解したのだった。




 

「やぁ、おはようラクシーン嬢」


「おはようございます」


 にこやかに笑ってから着席したメリルの前には紅茶と軽食にとサンドイッチが置かれた。

 昼食までの軽食らしいのだが、遅く起きたメリルは食事を食べたばかりで空腹ではない。

 だが、せっかく準備してくれたのにと悩みながら口にした。これも公爵家のおもてなしなのだ。

 メリルはメイドに頭を下げてから紅茶を頂いた。

 膝に置いている本をどうしようかなと考えていると、タイトルが見えないようにアンに回収される。

 ひらけた場所とはいえ、この家の嫡男と2人きりになる訳にはいかなかった為この場にアンがいることに再度感謝したメリル。

 街歩きの時になにかお礼を買おうと計画立てながらサンドイッチを食べるメリルを黙って見ている不躾な視線。

 落ち着かないからやめて欲しいわ……と思いながらも静かに食事を続けている時の事だった。

 足を組んで背もたれに体重を預けたその人は隠しもせずメリルを全身見てから首を傾げた。


 あぁ……と納得したメリルは、予想通りの言葉を浴びせられる。


「………………キャロライン様とはまた……随分と趣きが違う方ですね。ザラノアール様にどうやってとりいったんです?」


 そう言った公爵家嫡男、モルダバイルは心底不思議そうに聞いてきたのだった。

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