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王弟殿下のストーカー日記  作者: くみたろう
オネェに監禁された幸せの100日間
54/81

監禁27日目

※ メイド、アン。


 私はアン。

 メイドとして王城で従事しております。

 基本的に表情筋が死滅しておりますので、無表情がディフォルトです。そこの所よろしくお願いいたしたす。

 最低限のマナーと致しまして、笑うよう筋肉に働きかける事は可能ですが、疲れますので出来る限りしたくありません。


 つい最近の事ですが、我儘で有名な王女殿下であらせられるマリアンヌ様が色々とおいたを致しまして、お叱りされる場面がありました。

 いつもは叱られ数日間の謹慎が多かったのですが、今回は王太后様も絡み命を脅かす事があった為に、捨て置けぬ!! と普段は温厚な国王が采配を振るいました。

 元は、王妃と側妃の争いから来ていて、現在まで続いてきたのですけれど、ほぼテイゲティーナ様の逆恨み……いえ。メイド如きが口にしていい事ではございません。

 それにしても、先王様にはご自身の奥様方を御して欲しいものです。

 面倒ごとは嫌いだからと放置するから……いえ。出すぎたことを致しました。

 いくら子を成すのが大切なお役割だからといって子を成すだけで本当に……いえいえ。何でもございません。


 ですが、現在のザラノアール様の情緒の欠片もないのは確実にその時代から来ているのではないかと私は考えます。

 祖母にあたるテイゲティーナ様からの愛情を頂かなかった現国王アサルティン様も恋愛表現には不得手です。

 幼い頃から王太子教育を受けていたからでしょうか。カナリア様も、最初は義務での結婚だとかなり悩んでいたくらいでした。

 そんな国王のもと、育ったザラノアール様も同様に恋愛表現は苦手です。ですが、その性格は良く人格者として育った為、それ以外はそつなくこなします。

 全てはカナリア様とマティラエラ様のご尽力と愛のなせる技でしょう。

 ですが、その時間もあまり長くは取れません。勉学優先だからです。


 逆に、たっぷりの愛を受け取り育ったセルジュ様は愛情溢れる男性として育ちました。育ちすぎました。

 愛情溢れすぎて、狙う令嬢の家族公認ストーカーとなり、日々気持ち悪い日記を書いております。

 バレていないとお思いでしょう。

 このアンにかかれば、そんな鍵などひとひねり……。

 いえ、これはセルジュ様の秘密ですから私は何も言いません。

 それにしても、王族の愛は何故こんなに極端なのでしょう。

 セルジュ様にしてもザラノアール様にしても、愛された方は大変だろうなと思います。

 

 え?ザラノアール様はそうではないと?

 まぁ、馬鹿を言ってはいけません。

 あの方たちは半分とはいえ血が繋がっています。

 そして、その2人に愛を教えたのはマティラエラ様です。

 あの方の深い愛情を受け、なぜかねじ曲がった愛を垂れ流すセルジュ様がいるのですよ?

 それを見てザラノアール様が普通に愛するなど、私はこれっぽっちも信じません。


 捕まってしまったネネリーナ様。

 まだお会いしておりませんが、可愛らしい方のようです。

 …………かわいそうですね、セルジュ様に狙われたからにはもう、逃げられないでしょう。

 是非お会いした時には最高級の茶葉とお菓子でおもてなし致しましょう。


 そして、現在捕まっておりますメリル様。

 あの方はもう、王妃として捕まえる気満々の王家から囲われております。

 本人にその気がないようですが、逃がしてなるものかという執念がザラノアール様よりもその周りが強いようです。

 メリル様は帰りたがっていますが、王妃になる確約が出来るまで出さないのではないでしょうか。


 そんな方に、ザラノアール様の言葉を聞かせてしまいました。

 痛撃な一言です。この言葉は、後に大変な事になるのでは……と私は危惧しています。

 試しに確認してみました。その結果がこれです。



『……ちょっと怒る意味が……ザラさんが私を好きじゃないと言われても、それは完全に個人の趣味趣向というか……私が好きになってと言って気持ちが簡単に傾く問題でもないし……なによりザラさんが私を好きじゃないってだけの話にどうして私が怒るの?』




 心底不思議そうでした。

 まるっきり気持ちがありません。

 いえ、令嬢としてしっかりと教育されているメリル様ですから、もしかしたら上手に感情を隠して顔に出さないのかもしれませんが。

 そんな相手に自分には恋愛感情がないけど結婚しよう、と言っているのです。

 恋愛結婚を推奨している我が国で、頷く人は少ないのではないでしょうか。

 これは見ものですね。如何様にザラノアール様はメリル様を落とすのでしょうか。

 あと2ヶ月弱です。上手に立ち回れるのを祈っていきましょう。

 このフワフワしたお嬢様のお世話はまだ続けたいですから。

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