表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王弟殿下のストーカー日記  作者: くみたろう
オネェに監禁された幸せの100日間
52/81

監禁25日目


 それからお茶を飲みつつ話をするのは予想外な内容だった。

 普通のお茶会でするドレスを含むファッションの話等は一切せず、恋愛の話や今の情勢どう思う? など予想外なところまで。


「じゃあ、まだ好きな人はいなかったの?」


「……そうですねぇ、恋や愛はお話の中だけしかよく分からないですねぇ」


 最初よりも気持ちに余裕が出てきたメリルは2人の許可を得て言葉使いを普段の口調に戻した。

 そして、聞かれた内容に首を傾げながら答えた。

 好きな人……好きな人……と首を傾げるメリル。

 幼い頃から側にいて婚約を結んでいた過去があるが、メリルに恋愛感情はなかった。

 良くて優しい兄である。


「メリルちゃんはやっぱり好きな人と結婚したいわよね?」


「……結婚ですか? 私はセオドアと結婚すると思っていたので、あまり考えたこと無いかもしれませんねぇ」


 んー……と悩むメリル。

 今は結婚が出来るか分からない状況だからそんな贅沢など言っていられないと思っている。でも、今だからこそ、愛し愛される結婚がしたいとも頭によぎるのだ。

 そんな事を考えているとは思っていない2人はメリルの様子を注意深く見ていた。 


「ザラはどう思う?」


「ザラ様、ですか? 優しい方です。お姉さんみたいにふわりとしていて隣にいて安心しちゃいますねぇ」


「姉……安心……か」


「はい」


 ふわりと笑ったメリル。

 話しの流れ的に恋愛相手としてはどう? と聞いているのに意図的にかどうかわからないが、ザラをお姉さんのようと言った。

 それは牽制なのか、なんなのか。


「ねぇメリル様。この間話したザラとの結婚とかはやっぱり気がすすまない?」


「ザラさんとの結婚?」


 目をまん丸にして、復唱するメリルは困ったように笑った。


「それはザラ様にも話をしましたよ。この間の件で罪悪感や使命感とかで私との結婚を選ばなくて大丈夫って。王族の婚約は恋愛結婚って聞いていますから、そんな理由で好きでもない人と結婚はザラ様が可哀想です。王様の仕事は激務で、その心を癒す時間に好きじゃない妻がいるのはザラ様がすり減っちゃいますものねぇ」


 そうフワフワと話すメリルを見てから王太后と王妃が顔を合わせた。


「……ザラ……の、気持ち?」


「ザラはキャロライン嬢よりメリル嬢に好意的に見えるんだけど、カナリアどう思う?」


「私もそう思います」


 頷く2人は紅茶を飲んで、砂糖を追加しようか悩んでいるメリルを見つめた。




  

 あれからも様々な話をしていた。

 やはりメリルは初恋もまだの、恋? それってケーキのトッピングだったかしら? と首を傾げるレベルだ。

 恋愛小説などを読んでその意味はわかるが、それを実際に体感していないメリルは本当の意味で恋や愛、愛おしいというという気持ちがわからない。

 そういっていたメリルにマティラエラは楽しそうに笑った。

 

「ふぅん、ザラに嫌悪感とかはなさそうだったから、可能性は0じゃないね」


「所作は美しいし、矯正も必要ないわ。王妃として人前に立っても何の問題もなさそう」


「コミュニケーション能力も高いね。私たち相手にも怯まないで自分のペースを貫ける。かといって輪を乱すこともない上に自分の意見も言える」


「……ただ、ちょっと自分に自信がないのかしら。この結婚は確かに謝罪の意味も含まれてはいるけれどメリル様の無事や変な憶測から守るためなのよね」


「たぶんあの口ぶりはわかっているね。分かってて……何かひっかかってるんだろうよ」


 2人は空席となったメリルが座っていた椅子を見つめる。


「あの子、きっと厳しい教育を受けてきているのだわ。近しい年齢にザラとセルジュ様がいたから侯爵家出身の母親がよりしっかりするのは分かるけれども」


「理解力も高いね。あのふわっとした雰囲気で騙されそうになるけど、自分の不利益になる事は絶対明確に返事をしない。そして、揚げ足を取られない為の理由付けもしてる」


 2人は1度言葉を切る。

 そして、同時に笑みを浮かべた。


「「王妃としての資質は合格」」


 2人はお茶会を通してメリルの資質を見ていた。

 王妃になるなら、それなりの教育が必要となるが、その下地となるメリル自身を見たかったのだ。

 いくら教育を施しても性根が腐っていたらなんの意味も無いし、芯のない令嬢はテイゲティーナのように周りの貴族に簡単に食われ丸め込まれるだろう。

 だが、王太后や王妃2人にすら笑みを浮かべ続けてペースを乱さなかったメリルにその心配もないのでは無いかと思わせた。

 穏やかなように見えるが、メリルは決して御しやすい子ではない。


「あの子を落とせたら、ザラは幸せになれると思うよ」


「裏切ることのない安らぎが傍らにずっといることになるわ。それはいい事ね」


 王や王弟といった権力がある男達とはまた違う、妻という目線も王城では大切なのだ。

 王を支え、時には正す妻は弱くてはいけない。

 大袈裟に言えば、王すら制御する力を持つくらいの女傑がいい。

 そのタイプは様々。メリルの場合はフワフワと傍らで微笑み話を聞くだけでザラノアールは満足するのじゃないかとマティラエラやカナリアは思っている。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ