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王弟殿下のストーカー日記  作者: くみたろう
オネェに監禁された幸せの100日間
48/81

監禁20日目


「……私と、ザラノアール様が……結婚」


「えっ! メリル!貴方いつの間に?! 王子殿下……と……え、メリル? 」


 肩を掴まれて母に聞かれるが、メリルが聞きたい。

 なに? ザラさんと結婚……? と首を傾げる。

 確かにあれだけ騒がしたメリルの嫁ぎ先はもうないに等しいだろう。

 1人でどうにか生計を立てるか、修道院に身を寄せるか。

 だが、その原因を招いたのは確かに王家でメリルはその償いを受ける権利がある。だが。


「……あの、義務で私が嫁ぐというのはザラさん……失礼したした。ザラノアール様にも宜しくないと思うのです。それに、ザラノアール様には婚約者様がいらっしゃるのですよね?」


「メリル嬢。その事についても話があってな」


 そうアサルティンが言うと、一人の女性が入ってきた。

 細く背の高い綺麗な女性である。

 にこやかに微笑みメリルの前に現れたのはザラノアールの婚約者であるキャロライン・バーネットだった。

 そっとメリルの手を握って、キャロラインよりも低い位置にあるメリルの顔を覗き込む。

 その急接近にメリルはビクリと体を揺らした。


「お会いできて嬉しいわ。私はキャロライン・バーネットよ。体調はもう大丈夫かしら?」


「……あ、 お初にお目にかかります、メリル・ラクシーンと申します。体調は大丈夫です」


「そう、それは良かったわ……昨日私も話を聞いたばかりで驚いたの。まさかマリアンヌ様が……あなたが無事で良かったわ、本当に」


 安心したように笑うキャロラインは、本当に心配していたようだ。

 にこやかに笑ってから手を離すと、アサルティンに呼ばれてメリルから離れるキャロライン。

 とても機嫌よく微笑んでいる。


「知っての通り、ザラノアールの婚約者なのだが……仲が悪くてな。お茶会すら満足に出来ないくらいなんだ」


「はっ……」


 驚きに言葉が出ない。ザラノアールは優しい風貌で、それに合う性格をしている。

 優しくきめ細やかな配慮が出来るザラノアールが仲良くできない相手……と驚いていると、さらに驚いた事が続く。

 

「今回、王家の過失である事も含め今回の話をキャロライン嬢に話したのだ。メリル嬢をザラノアールの側室にと。そうしたらな」


「わたくしの立場上絶対言えない事でしたが、王家のとらねばならない代償ですから、ここはわたくしが婚約者の座を辞してメリル嬢にお譲りしたい旨をお伝え致しました」


 物凄く嬉しそうに、それはもう満面の笑みで言うキャロラインにザラノアールが苦笑している。

 その姿もしっかり見ていたメリルは困惑していた。


「婚約者を譲る……ですか?」


「ええ! 是非に! お受け取りになって! お願い!!」


 両手を握りしめて圧をかけてくるキャロラインにメリルは口をパカリと開けると、母に注意される始末だ。

 必死にザラノアールを押し付けてくるキャロラインに困惑して助けを求めるようにザラノアールを見たがらザラノアールはキャロラインを困ったように見ている。


「(……あぁ、仲違いはキャロライン様だけなのね)」


 ザラノアールがキャロラインを見ていることで盛大な勘違いをしたメリル。

 そう、キャロラインが一方的に嫌がっているが、ザラノアールはそうではないと。


「……キャロライン様。どんなに頑張っても私に正妻の座は重すぎますわ。私はしがない子爵家の娘ですもの」


 ここは、お断りするべきね! とまるで使命感のように燃やした心のままにお断りをしたのだった。

 キャロラインは満面の笑みから絶望に変わり、よろりと体を揺らした。


「メ……メリル様はザラノアール様がお嫌いかしら?」


「いいえ、まさか」


「じゃあ、結婚する事は構わないのかしら?」


「今回の過失という事での結婚でしたら私には重すぎますもの。それなら、纏まった金子を頂き自活できるよう学ばさせて頂いた方が……」


「いけませんわよ!! 女性進出が増えてきたとはいえまだ一部ですもの! 十分な生活資金を蓄える前に崩れる可能性だってありますのよ!! それならば、王城で穏やかな生活をした方がいいに決まっております!! 間違っても! 家を出て! ひとりでなにかしようなど!考えてはいけませんわ!!」


 そう力の限り叫ぶキャロラインの背後に、逃がしてなるものか!! と書いている幻覚が見える。


「まあ、まだ時間があるし、急に言われても直ぐに即決など出来ないだろう。今はしばし体を休めてゆっくりと考えればいい。まだ体内の毒は中和された訳では無いしな」


 にこやかに笑って提案してきたアサルティンに動きを見せたのはゲイル侯爵だった。

 メリルの父、ラクシーン子爵の腕を掴みアサルティンの所まで行って首根っこを掴む。

 ズルズルと端まで引き摺り顔を突合せた。


「まて! メリル嬢はうちの嫁になるんだ。お前の所の倅にくれてやる約束を取り付けることは許さんぞ!」


「でも、噂はこまっちゃうしねぇ」


「ガーヴィンの言う通りだぞ? サティラス。メリル嬢の生きやすい嫁ぎ先はザラ以外にないだろう?」


「いや! 子供の頃から一緒にいるセオドアの方がいいに決まっているだろうが! あのフワフワを手放してなるものか!!」


「お前それが本音だろう! 絶対メリル嬢を気に入ってザラがかっさらうと思ったから意地でも会わせなかったんだろう!婚約に持っていくって思ったからだろう!!」

 

「当たり前だろうが! あんな綿菓子みたいなフワフワ誰が見ても気に入るに決まってる! あの不思議な笑いを生むフワフワ、絶対お前気に入るだろう!!」


「気に入ったからお前達から奪おうとしてるんじゃないか!!」


「それを職権乱用って言うんだ! お前もなんか言え! ガーヴィン!!」


「…………んー、僕はメリルが幸せになるならどっちでもいいしなぁ」


「「こいつが元祖フワフワだった!!」」

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