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王弟殿下のストーカー日記  作者: くみたろう
王弟殿下のストーカー日記
28/81

ストーカー日記 28


 あの衝撃のデビュタントから2年が経った。

 その間、ネネリーナの知らない情報が山のように出てくる。

 6歳の頃にあった王城のお茶会で見たネネリーナに一目惚れをしたセルジュがカエサエル侯爵家を巻き込んでストーカー行為を開始した事。

 サイズアウトした服だけでなく、下着に至るまで母と熾烈な闘いという名のジャンケンをして誰が保存するのか決めていた事。

 ネネリーナの行動は常に見られ侍女から逐一報告が上がっていた事。

 以前にいた婚約者がネネリーナを婚約破棄にしたのは手を出していないが、次の婚約者決めはことごとく邪魔をしたこと。

 せめてデビュタントまでは待って欲しいと切に願った事から父は渋々頷いたのだとか。

 それ以上の事も沢山あった。

 いつの間にか増えているドレスや装飾品はセルジュからで、そのためにサイズすら筒抜けであった。

 乙女相手になんということをするのですか! と、流石にネネリーナが怒り狂い、セルジュは土下座して謝っているのを侍女達が眺めていたり、お詫びに僕のサイズを! と脱ぎ出したセルジュにクッションを投げて顔にヒットさせたり。

 出会った時より遠慮が無くなったネネリーナにセルジュは喜んでいる。


「わぁ、ネネ様のクッションが僕の顔に……」


 と、間違った喜びを甘受していてネネリーナが慄き震えたりと、2人での絆を育んでいった。


「そういえば、以前言っていた結婚が40歳すぎとはどういう事なんですの? 」


「うん? よく覚えてたねぇ」


 ソファに隣同士に座りネネリーナはセルジュを見上げて聞いた。

 2年が経ち、低身長で可愛らしかったセルジュは成長期が一気に来たのだろう。

 188cmまで伸びた身長にすらりとした体躯。

 今も足を組んでソーサー片手に紅茶を飲む姿はあの可愛らしい面影がほんの少し有るくらいの美丈夫へと成長していた。


「うーん、理由は僕たちの母親なんだよね」


「お母様……」


「そ。僕にとっては下らない理由なんだけどね。僕と僕の兄上は母親が違うでしょ? どうしてもザラを皇太子にしたかったテイゲティーナ母上がザラと同い年の僕に結婚を禁止したんだ。ザラの嫁が男の子を産み6歳になるまで。

 いつ結婚して子供ができるかなんてわからないでしょ? だから、早くて30過ぎ……40歳くらいには結婚出来るかなぁ……って」

 

「そんな……それは何も仰らなかったのですか? 」


「女同士のイザコザに入りたくなかったみたいだよ。とは言っても、兄さんは元々このくらいには婚約者は作るつもりだったみたい。その前にマリアンヌの事があって、それに便乗してテイゲティーナ母上が母上を……まあ、色々あって兄さんが怒って……みたいな感じかな」


「な……なるほど……色々あったのですね」


「うん……まあ僕はね、ネネ様と結婚出来るならなんでもいいんだ」


 ソーサーとカップを置いてネネリーナを見た。

 そっと手を伸ばして頬を撫でてから、とさっ……とソファに押し倒すセルジュを目を見開いて見上げるネネリーナ。


「もし婚約者になれないならネネ様を連れて逃げていたと思うな。平民になってもいい。ネネ様だけは離す気なかったからね、僕。絶対逃がさないよ、嫌だって泣いたら孕ませて逃げられないようようにするから忘れないで」


「……犯罪でしてよ……と言いたい所ですが、セルジュ様は立派なストーカーでしたわ。無理やり孕ませる行為をしたら、流石に怒りますわよ!!」


「……嫌がるネネ様もイイネ」


「嫌ですわぁぁぁ! なんだか目に光が無くてよ!! 舌舐りしないでくださいましっ!! ちょっ……どこに手を入れて……離して下さいませ! 私の上から離れ……」


 ぐうぅぅぅぅぅぅ……


「……………………」


「……………………」


「……ふっ……ごめんネネ様。お腹すいたよね」


「さいっていですわぁぁぁ!! 」


「あははははは! 大丈夫! ネネ様はいつでも可愛いから! 」


シクシクと泣きながら、軽食として用意されているスコーンに手を伸ばす。

 チョコレートたっぷりのスコーンに齧りつきながらセルジュを見ると、蕩けるような眼差しで頬に口付けをしてきた。


「愛してるよネネ様。結婚してくれてありがとう」


「…………式はひと月後ですわ」


「うん、でも誤差でしょ? ちゃんと初夜まで待ってるんだから僕偉いよね」


「それが普通です!! 」


「……ちょっとだけ味見したいな? 」


「スコーンで我慢なさって!! 」



 長年想い焦がれていた侯爵令嬢ネネリーナをひと月後に妻にする。

 そのひと月が長くてもどかしい。

 だが、その長いひと月が生涯独身最後となる。

 まもなくセルジュ・カエサエルとなって同じ苗字になるのが奇跡のようだとセルジュは目を細めた。

 こんな幸せなことがあっていいのかと、スコーンを食べるネネリーナを隣で頬杖をついて眺める。


「あいしてるよ、ネネ様」


「…………知っておりますわ」


 ああ……幸せだなぁ。


 ○月✕日


 僕の命よりも大切なネネ様を手に入れた。

 結婚まで1ヶ月を切り、もうすぐ身も心も全て僕のものになる。

 王籍を抜けて侯爵家へ。そしてネネ様の夫へ。

 屋敷の中の全てのカメラとかの確認のし直しとか、新しい日記の購入とか、ネネ様の服を買ったり。ほら、すぐに妊娠するかもしれないでしょ? そうなったらお腹に負担のない服にしないと……気が早いかな。あ、メリル嬢とのお茶会のセッティングもしないとね。メリル嬢とミネルヴァ嬢も来るよね。もしかしたらキャロライン嬢も。結婚式3週間後くらいでいいでしょ。あとは…………


 

 ネネ様日記はまだまだ続く。

 結婚して嫁になっても母になっても祖母になっても。その日記は綴られる。

 

 

こちらで第一部終了となります。

第二部では、ザラノアールが主体となるお話でボリューム感は二部の方があるかなと思います。

どうぞよろしくお願いします!

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