表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王弟殿下のストーカー日記  作者: くみたろう
王弟殿下のストーカー日記
18/81

ストーカー日記 18


 休憩と称して中庭でティータイムをしていたザラノアール。

 座り直して少し冷めた紅茶を飲むと、向かいにセルジュも座った。


「あの性格なんとかしないと嫁の貰い手いなくなるよ」


「王家からの打診を無下に断れないからこそ、こっちから話も付けにくいのよね。王女の降嫁先なんて、公爵家か侯爵家が妥当だし。そうなると、選べる家も限られているじゃない? マリアンヌの生まれに合わせてその年の子は婚約者居ない方が多いけど、よりにもよってゲイル家の息子を狙うなんてしなくていいじゃないの。婚約者がいるのに」


「相手が子爵家のお嬢様だから簡単に引きずり下ろせるとでも思ってるんでしょ? 」


「何よりゲイル家は駄目よ。派閥がどうのじゃなくて」


「そうだよね。まったく、マリアンヌもいい加減にして欲しいよ……彼は大丈夫なの? 」


「テオドア・ゲイルの事? かなり心配はしているけど事情を話したら納得したわ。あの子の安全だけは保証してって」


「…………メリル・ラクシーン子爵令嬢、か」


「まだ目が覚めないの、かなり強い薬を使われたのかしらね、本当に気の毒だわ……まったく今すぐにでも尋問出来ないのが歯がゆいわ」


「裏を取れないと安易に動けないしね」


「…………はぁ」


 現在マリアンヌが懸想しているテオドア・ゲイルを手に入れるために、複数の貴族に手を借りているという情報は手に入れていた。

 その相手を現在調べている途中なのだが、それも時期にわかるだろう。

 王家の影は優秀なのだ、2人が求める情報は数日中に出揃う。

 

「…………そして、メリル嬢の証言も欲しいところだけど……勝算は五分五分かな」


「テオドア・ゲイルが言うには穏やかで言葉選びの面白い子とは聞いているけれど上手に会話をすり抜けるように話す時があるみたいだからねぇ……セルジュは何か知らないの? 」


「メリル嬢の事? ある程度調べたけど、彼女についての不審点は無いってことくらいだよ? 品行方正、穏やかで友人関係も良く周りや教師からの評価も高い。ただ、あまり仲良くない学生には、体型で馬鹿にされる傾向があるみたいだね」


「…………あぁ、なるほどねぇ。触れた感じはとても気持ちいい感触だったけれど……」


「……ちょっとザラ? 」


「勘違いしないでよ? 部屋に運ぶ時の事を言ってるんですからね? 少なくとも体型維持のために必死になるマリアンヌより、私は魅力的だと思うわ」


「あれは補正してるサイボーグ」


「ふふ……セルジュも言うわねぇ」


 思わず笑うザラノアールに、セルジュはホッとした。

 自らの妹が仕出かしたかもしれない事案に、兄の心労は激しい。

 セルジュは立ち上がりザラノアールの肩をぽんと叩く。


「今回は王家にも関わるし、ネネ様も悲しむし。僕も手を貸すからザラは抱え込みすぎないようにね」


「……ええ、ありがとうセルジュ。頼りにしてるわ」


「どっちにしても、早く何とかしないと父上にバレたら面倒臭いしねぇ」


「…………またあの怒りを買うのは嫌よ」


「そんなの僕もだよ」


 じゃあまたね、と手を振ってセルジュが部屋に戻ると机に置かれている数枚の書類。

 それを手にして眺めてから、息を吐き出して椅子に座った。


「もう……勘弁してよ……マリアンヌ、どこに手を借りてるのさ」


 はぁぁぁぁぁあ……と大袈裟なくらいにわざとらしく声を出すセルジュは、机に頬を当てた。


「あぁぁぁ、ネネ様に会いたい。ネネ様の小さな体を抱きしめたい。ちゅーしたい。一緒に寝たい。マリアンヌ、まじゆるさない。こんなことが無かったら3日に1回はネネ様に会いに行ってるって! 」


 もぅ!! と報告書をくしゃりと握りしめた。

 そこには、マリアンヌが協力依頼した貴族の名前と、どういった経緯だったのかが書かれていて、今頃ザラノアールの部屋に同じものが届けられている事だろう。


「……エンイール家、ねぇ。 伯爵家で昔から王家に仕えている重鎮で……テイゲティーナ母上の実家と懇意にしている。懇意とはいっても、家格が低いエンイール家がほぼ言いなりなんだよねぇ。しかもエンイール家が経営しているのは有名な病院関係……ね」


 あーあ、足つくのも早そうだなぁ……と紙をぐしゃぐしゃにして捨てたセルジュの元に、運び込まれていた令嬢が目を覚ましたと連絡が来たのは1週間後のこと。

 令嬢、メリル・ラクシーンが目を覚ましたのは、運ばれてきてから2週間以上がたった後だった。


 

「目が覚めたんだね」


 昼食を取りに食堂に行くと、すでにザラノアールが食事をしていた。

 タイミング良くザラノアールしかいないので、セルジュは隣に座る。

 穏やかに微笑んだザラノアールがセルジュを見る。

 

「ええ、元気は元気よ。ふ……ふふ……」


「なにザラ、気持ち悪い笑い方してるよ? 」


「メリル嬢がね……思っていた以上に面白い……」


 機嫌よく笑うザラノアールにセルジュがそうなんだ? と首を傾げる。

 ザラノアールの目を細めて笑う姿に、あれ? と首を傾げる。


「…………気に入ってる? 」


「ええ」


「子爵家、だよね」


「そうね? 」


「ねぇ、まさか……」


「ふふ……たぶんセルジュの考えあっているわよ」


 ご機嫌のザラノアールにセルジュは呆れたように笑った。


「あーあ、メリル嬢可哀想」


「ネネ様に執着してるセルジュには言われたくないのだけど? 」


 2人で睨み合っていたがらザラノアールが食事を再開する。

 セルジュもフォークに手を伸ばしてメインのステーキにナイフを入れた。


「思ったよりも早めに解決するんじゃないかな」


「そうして欲しい。母上達もうるさいし」


「セルジュはネネ様に会いたいからでしょ? 」


「当たり前でしょ!! もう10日以上会ってないんだよ!! こんなペースなら夏休み終わっちゃうよ!! 1日中遊びたい! あわよくばお泊まりしたい!!干からびちゃうよ!! 」


「泊まりは無理でしょう」


「冷静に言わないでよ……」


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ