生産性の無い会話。テーマ『 禿 』
「ハゲとチビって、実は漢字にすると同じ字を使うのよね」
いつものように唐突に始まる俺と彼女の会話。
突発的かつ生産性の無い会話は、俺たちの楽しみでもあった。
「へー。じゃぁ、ハゲでチビな爺さんがいたら、まとめて禿で良いんだ」
便利だな。
「いや。チビる、という動詞にしか禿は使わないらしいから、厳密には違うんだけどね。ところで、チビとロリ。根本的には言っていることが一緒だけれど、でもイメージは違うわね」
「前者よりは後者に好感を覚える俺は、既にオタクだな」
ロリ万歳。
「前者は一般的に、後者は犯罪的に、あまり良いイメージをもたれていないわね。まぁそれは置いておいて。アレ、発毛グッツとかサービスってあるじゃない? あれって効果あるのかなって」
「さー。どーなんだろうな。でも、あれでどうにかなるなら、世の中に禿はいなくなると思う。少なくとも万能ってわけじゃねーんだろうよ」
将来お世話にはなりたくないものである。
「ところで、つるふさの法則、と言うものを知ってる?」
「なにそれ」
まったく聞いたことが無い。
話の流れからして、髪の毛絡みだと思うが。
「ソ連・ロシアでは、?つるつるな人?と?ふさふさな人?が交代で最高権力者になっているのよ」
「……マジで?」
「まぁ、ジョークみたいなもんで、昔まで遡ると、かなり無理がある法則なんだけどね。例えば──」
彼女が、テーブルに紙を広げ、名前を書いていく。
ミハイル・ゴルバチョフ ── つるつる
ボリス・エリツィン ── ふさふさ
ウラジーミル・プーチン ── つるつる
ドミトリー・メドヴェージェフ ── ふさふさ
「──と、まぁこんな感じ」
「おおぉ……」
なんかスゲー法則だ。と言っても、俺はふさふさな二人の顔が思い出せないが。
「まぁ、できればハゲにはなりたくないものよね」
「そうだな」
まぁ、俺の親戚はみんなフサフサだから、多分大丈夫だと思うけど……。
「ところで」
「何?」
「この会話──いつもどおり不毛な会話だな」




