今日という日の魔法
もうだいぶ寒いのに、まだ雪は降らない。
でも、今年もこの季節がやってきたことに変わりはない。
街では、鈴の音と、鐘の音と…もうすぐ『それ』が訪れることを意味するものがあふれているんだろう。
ぼくたちを照らし出す小さな灯をキャンドルに灯した。
その小さな温かさは、ぼくときみの手の中に。
ぼくはサンタクロースに願った。
ぼくにとってのプレゼントは、きみとの日々。
きみの願いはわかるよ。
きみに、ぼくの願いはわかるかい?
寒いぼくの部屋に、きみとふたりで飾りつけをした。
面倒くさいと言いながら、どうしてきみは笑ってるの?
きみはぼくにこう言ってまた笑った。
――あなたが面倒くさいって言いながら笑ってるからだよ。
ショーウィンドウに映るぼくの後ろを、人々は足早に通り過ぎていく。
この人たちにも、向かいたいところがある。
一年間の何気ない日々を振り返りながら選んだプレゼントを、誰にあげるんだい?
息は白いけど、見上げた空から雪はまだ降ってこない。
今日は、すべてがいろんな光に包まれる日。
街中でかかってきた電話越しにぼくは、今日はみんな笑顔だね、といってみる。
どこかの店のジングルベルと重なったきみの声は、今日という日の魔法じゃない?って言っていた。
――いつもの駅前で待ってるよ。
今きっと、ぼくは笑ってる。
きみのマフラーの温かさを噛み締めながら見上げる空は、今にも雪が降り出しそう。
駅前の人々の想いや願いは、『今日という日の魔法』で叶うんだろう。
☆☆
駅前に駆けるわたしは、きみを見つけてその胸に飛び込んだ。
空から舞い落ちてきた白いきせきは、温かいきみに溶かされちゃった。
雪は、緑と赤一色だった街に白を落としていく。
『今日という日の魔法』にかかった雪は、冷たい雪じゃなくて温かい雪。
どの人も、その温もりを感じてくれる。
☆☆
サンタさん、わたしの願いは『大事な人との日々』です。
叶えてくれますか?
Mery Xmas...
時期外れだよね~。
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