第八話 伝承の謎
現在、六月に入り着々と夏休みにあるイベントのキャンプファイヤーの準備が進んでいた。
ずいぶん早くから進めていたため多少予定外のことが起きてもゆっくり対処出来ていたので早くから始めて良かったなと、話しながら教室で数名、資料の整理と予定の細かい調整を行っていた。
ここにいる人は皆部活をしていないので時間には余裕があり色々なことが試せた。
例えば、ファイヤーはただ木を積んで燃やすだけじゃ面白くないからと少し形を変えれないかと試してみたり、木材を色んな種類使ってみたりと良い思い出にするために苦労を惜しまなかった。
平日はそんなことをしながらワイワイ楽しく過ごしていた。
そんな中でも先日二人で話した月白に関することの調査は時間を見つけて行っていた。
そして今日は二人で調べたことをまとめようと葉山の家に遊びに来ていた。
「いらっしゃい」
そう言って玄関を開けてきた葉山の後ろから
「ワン」
と、吠えながら一匹の犬が僕めがけて突っ込んできた。
僕はその犬を止めて撫でてあげるとその犬は嬉しそうに尻尾を振って舌で僕の手を舐めてきた。
そしてそれを見ていた葉山が
「すまんな。こいついつもはこうじゃないんで油断してた」
と、言いながら犬を止めて家の中に戻した。
なんでも普段は人が来ても自分の小屋から出てこないらしい。
葉山曰く
「俺がこいつとよく知り合いの話してて前にお前の写真見せたことがあって多分それで認識したんだと思う」
と、言っていたが犬ってそこまで目と認識力良かったけなと僕は思いながら口には出さず家の中へと入っていった。
葉山の部屋に上がり、親がお菓子とお茶を持ってきてくれてしばらく話した後葉山が集めていた資料と僕が持ってきた資料を部屋中に並べだした。
今日はそれぞれ色々な図書館や資料館などで調べてきたことを紙にまとめてみてそれらを照らし合わせてあの屋敷が、月白がどういうものなのかを解き明かすことをしようとしていた。
「色々調べてみると結構内容に違いがあって例えばこれには龍があの一族を乗っ取り支配したと書かれてたり、こっちには困っている龍を助けてその加護をもらっていると書かれているな」
葉山が調べてきた資料を見せながらいくつかの例を挙げてきた。
「こっちが調べてきたことも似てるけど違うものがほとんどだったよ。ただ、これら全てに共通してるのは『龍』が関わっていることかな」
そう、調べた文献には全て何かしらの形で龍が関わっていた。
「しかしなんでここまでそれぞれ内容に違いがあるんだろうな。口伝えだとしてもある程度大枠は似かよるものだと思うんだが」
葉山の言うことはもっともだと感じる。
ここまで龍が共通していながら内容は全く違うのだから。
「もしかして誰かが意図的に内容を変えて流していた、のか」
僕の言葉には山が肘をついて頭を抱え
「想像はできる。だがそうだとしららなんでわざわざそんな面倒なことをしたんだろうか」
二人で議論すればするほど考えがまとまらなくなっていた。
まとめると全てに共通して龍が出てきていること、そしてその龍から何かしらの加護か何かを受けていることだ。
「しっかし、こうもそれぞれ違うと予想も対策も立てづらいよな。これいっそのことあの家に直接聞きにいったら良いんじゃないかな」
葉山がそんなことを言うから飲んでいたものを吹き出しかけた。
「葉山、馬鹿か。あの雰囲気の家がそう簡単に教えてくれると思うか。龍に憑かれているあいつがどれだけ厳重な扱いを受けてるかわかっているのか」
僕の言葉に葉山は
「それもそうか」
と、目を閉じて寝っ転がった。
僕はああ言ったが葉山の発言には一理あると考えた。
どれだけ口伝えで変えたとしてもそれは偽物として本当のことから目をそらさせるためのものだろう。
だとするともしかしたらあの家の中にはこのことに関する真実の記述が残ってるかの知れない。
「ねえ葉山、あの屋敷に忍び込んで情報を探すことに興味はないか」