第二話 屋敷の謎
今日も今日とて見たくもないものを見ながら学校に登校していた。
今日は途中の道が工事で通れなくなっていたので少し遠回りになるが大きな屋敷の右側を通っていった。
この屋敷の中を通れればこんな迂回しなくて済むのにな。などと思いながら進んでいくと屋敷の門が開きそこから黒塗りの車が一台出てきた。
見た目はどこにでもありそうな車で目の前を通るまで気づかなかった。
それが目の前に来た瞬間、気配がした。
何かはわからないがとてつもなく重く、動けなくなるほどのものだった。
その車が走り去っていくにつれその気配は感じなくなった。
「なんだ今の。人のもつ気配じゃねえだろ。神様か何かかな。まあ何だとしても関わりがなければ何でもいいか」
僕はそう思い、また歩き出そうとしたがちょうど車が出てきた門が開いていたので気になって少しだけ中を覗いた。
中を覗いて初めに感じたのはただの人間が住める場所ではないということだった。
それは神社などで感じる神の作る領域の神域に似たものだった。
通常の神域なら大体人を加護するようなものなので人に害が出ることはない。
ごくたまに人には毒となる神域があるがそういった場所は人が暮らす場所から遠く離れた場所にあるのであまり人に影響を及ぼすことはない。
じゃあなんでこんな人が暮らす場所の中心にとてつもない神域があるのか。
そしてなんでその周りで俺たちは暮らせているのか。
前者の理由はわからないが後者はおそらく壁周りにあるこの鎖が理由だろう。
この鎖のようなものが神域とこちらの世界を明確に分けていた。
壁が物理的な仕切りであるように鎖は概念を仕切っていた。
そして俺の目が屋敷の中の複数ある建物の中の一つに集中した。
その建物からは明らかに周りとは違う異質な気配がした。
それは自分の思考では考えきれていなかったが本能的に気づいた。
これ以上踏み込めば必ず大変なことになると。
しかし、これを放置しようとは思えなかった。
今は目の前のものに近づくのは良くないと考え、まずはこれに関する情報を集めようと図書館へ向かった。
それから、学校は無断で休み、一日図書館であそこの屋敷について調べた。
親から一度電話があったがそれに一言
「図書館で勉強している」
と、答え電話を切った。
今日で分かったことはあの屋敷は昔、ある神へ使える一族が暮らしていたそうだ。
神への信仰の中心でこの地方以外からも多くの信仰を得ていたそうだ。
だがそれは時が経つにつれ失われていったそうだ。
その一族の繁栄は信仰心と神の力によるものだったそうだ。
だから信仰心がなくなれば、神の力も失われ自然と廃れていったそうだ。
だがある時代の当主がこのままではだめだと思ったらしく、どうにかして神の力を取り戻せないかと考えた結果、一代にに一度人を、魂を貢げば一族が滅ぶことはなくなるだろうとなったそうだ。
そうして、神に一代に一人、巫女を捧げて繁栄を戻したそうだ。
図書館で探した結果はここまでしかわからなかった。
図書館から帰り、俺は家でも頭の中にずっと今日のことが頭にも残り続けていた。
俺はどうしてもこれだけでは納得できなかった。
あれだけの神域を作る理由には足りない気がしていた。
僕は一つだけ思い当たることがあった。
今朝のあの車だ。
おそらくあれがなにかしら関係している可能性があるのではないかと考え、明日またあの門の前で確認することにした。
その日、家に帰った時のこと
僕が図書館から家に帰り着いた時、家の庭になにか小さい玉のようなものが落ちていた。
僕は気になり近づこうとしたが、その玉は急に消え見えなくなってしまった。
なんだったんだ今のはと、気になりしばらくそのあたりを探したり触ったりしたが何もなかったのでとりあえず家の中に入った。
僕が家の中に入った後、その玉はまた姿を表した。
「あの少年は私が見えていた。これは繋がりなのか、新たな変化なのか。いずれにしてもこの時代こそはあの一族を滅ぼすことができるかもしれないな。この時代こそは彼女を助けなければな」
その玉はどこかへと飛んでいってしまった。